でも、記憶が少しずつ落ちていく。この空間も落ちていく。このまま私は誰にも、どこにも行けずに、どこかに行ってしまうのだろうか。
「助けて!みんなを救って!」
声にならない祈りはどこかに届くのか。今は、届くことを信じて願っている。
000章-破壊者のプロローグ
「士君、次の旅はどこにいくんですか?」
夏みかんが言う。
「行く当てなんてないだろう」
そう俺は言うが、次の目的地はもう決まっているらしい。写真館の絵がぐるぐると回るとそこに映し出された絵は荒野にライダーと少女が存在している世界。絵が光るのはいつもと一緒だ。ただそこで違うのは
「門矢士、いや仮面ライダーディケイド」
紅渡が姿を現した。初めて、俺がディケイドになった時のように。
「どうした?」
「次の世界は特別だ。君しか入れない世界になる」
「どういうことだ?」
「ライダーらしく世界を救えということさ。その中心の世界に入ってね」
ふと声が聞こえる。「助けて!みんなを救って!」、その悲痛な叫びは俺の耳に届く。
「おや、よほど強い執念なんだね」
「そいつを助ければいいのか?」
「違うね。正確には彼女たちだよ。おっと僕の役目も」
紅渡は光り始めた。
「これは言うよ。次の世界は非常に不安定でいろんなものを飲み込もうとしている。そして許容量がオーバーになった瞬間に壊滅する世界だ。君も巻き込まれるかもしれない」
「どうすればいい?」
「18人のライダーになった少女の敵を完膚無きまでに倒すんだ」
「少女?」
「では健闘を」
目を開くとそこは一見、普通の東京だった。
まずは写真を撮る。すると
「ちょっと!あんた、今、にこ達を撮ったでしょ?」
小さいツインテールの女の子に絡まれた。そこには茶髪の少女と赤い髪の少女もいる。どう見ても夏みかんの方が年齢は上だ。おそらく高校生だろう。
「にこちゃん!すいません」
「ああ、気にする必要はない」
俺は歩いてその場を立ち去る。紅渡が言っていたように、今回のこの世界は俺だけのようだ。見たところ、普通の東京。怪物がいる様子は見当たらない。ふとコンビニの新聞が目に入る。
『ライダーに復讐を』『ライダーに裁きを』などという文字が並ぶ。どうやらこの世界のライダーはどこかの盗人と同じように、忌み嫌われている世界のようだ。
「忌み嫌われている、なんて失礼じゃないか?」
その盗人が姿を現した。
「お前、どうしてここに?」
「お宝があるところに海東大樹はいるのさ」
新聞を渡された。ライダー一覧。これを見て俺は驚く。
「今まで君が旅して出会ったライダーに加えてあと8人この世界にはライダーがいるんだ。ということはこの世界はお宝がいっぱいってことだろ?」
「へえ、凄い世界だな」
「あー!」
少女の声に俺たちは振り返る。
「さっきの人!」
それはこっちの台詞だ。茶色の髪の少女がたまたま俺を見つけたようだ。
「あの、すいませんでした!」
「気にするな、そう言ったはずだ」
「あ、ちょっと待ってて下さい!」
そいつはコンビニに走ると、すぐにあるものを購入した。
「はい!」
俺と海東にそれを渡す。ランチパックのツナ味。なるほど、無難だ。
「気にしていないと言ったろ?」
「でも私は気にしちゃうんで・・・・・・」
「早速お宝ゲットかな」
「あれ?それ・・・・・・ライダー!興味あるんですか?」
海東をちらっと見る。
「そうなんだよね。僕はライダーが持つお宝に」
次は君の番だよ、士。的な目でこっちを見るな。
「まあ、こいつの付き添いみたいなもんだ」
「ふーん、そうなんですか・・・・・・」
目が笑っていない。よほどまずかったのか落胆しているのだろう。するといきなり少女は目を見開いた。「すいません!」と一言だけ言うと彼女は走っていく。
「関係あるんじゃない?」
「ああ」
「じゃあ、士」
俺は海東から500円渡された。
「君の分も払っておくよ」
「・・・・・・返しに行けばいいんだろ?」
俺はそいつを追った。
その地点に行くとその少女は敵と向かい合っていた。そして手を前にしてへその辺りでベルトのバックルを作る。すると体内からアマダムが出てきた。この変身過程は何度も見てきた。手を前にそして左から右に動かすと
「変身!」
そう叫んで左の腰の横に両手を持ってくる。するとその少女は赤き古代の戦士、クウガに変身した。クウガは敵の群れに飛び込む。戦闘、近接攻撃は得意なようだ。超変身を使い一時的に別形態になるが、基本は赤でごり押しているようだ。あのクウガ、近接戦だけならあいつにも勝てるだろうが数が多い。
「くう!」
敵の攻撃を受けて白いクウガになる。そしてその状態で敵の攻撃をまともに喰らってしまった。クウガの体は吹き飛んで、地面にたたきつけられる。変身が解けた。完全に意識を失っているようだ。追撃を加えようとする敵よりも先に俺は彼女の前に立つ。
「全く、面白い世界だ。こんな少女がライダーなんてな」
だから旅は辞められない。
「お前は一体何者だ!」
敵はそう聞く。返しは決まっている。俺は腰にベルトを巻き
「通りすがりの仮面ライダーだ」
破壊者のカードを取り出し前に出す。
「覚えておけ!」
変身をするとディケイドとなる。
「俺は既に究極を超えている」
そう、俺に敵はいない。あるとしたらそれぞれの世界の「悪意」だろうか。