ごめんなさい。私はわからないの。
ああ、そんなしょんぼりしないで。
でも、多分変わらない、と思うよ。
きっと、この世界で私に気を遣っているように、すごく優しくて暖かいんだと思う。
ん、ああ。あの子が話をしたいって。
ちょっと待って。じゃあこれだけは言わせて。
ありがとう。私たちを受け入れてくれて。
「だあああああ!!」
グリードに対してオーズは怒涛の攻撃をしかけていた。仲間が作った道を無碍にするということは彼女自身が許さない。斧で攻撃をし、メダルが飛び散る。
「この!」
グリードのパンチをオーズは片腕で止める。
「あなたと、私じゃね、背負う一撃が違うんだよ」
「何?」
「教えてあげる。パンチっていうのはね」
相手との距離を取り、武器を持ち替えた。そして助走をして右ストレートを放つ。左足に体重を乗せ、全身を使ったそのパンチは敵を沈めてきた黄金の右ストレート。海の方向に吹き飛び、水のしぶきをあげる。
「守りたいものの数だけ、強くなるんだよ!」
そこにウィザードが向かい、敵の体勢を一気に崩した。そこにギルスが猛攻をしかける。ギルスは二人の様子をちらっと見る。そしてメダルを浴びながら
「今だよ!」
と叫び、ギルスは触手で相手を拘束した。オーズはメダルを武器に入れ、それを飲み込ませる。
『ゴックン!』
ウィザードはそれを見て、斧に魔力を入れる。
『スラッシュ・ストライク!』
『プトティラノ必殺!』
オーズの武器から一直線に光線が出た。それは確実にグリードを捉える。その攻撃が終わった後にウィザードは斧を横に振るい、その後縦に振った。そのニ連撃が終わると、ギルスが咆吼を上げ、飛び上がり踵落とし。相手に決まった瞬間に
「うがああああああああああああああああああ!」
と咆哮するともう片方の足で相手を蹴った。そこにもう一撃、ウィザードがベルトに魔力を込めて回転する。
『キックストライク!』
そして助走をつけると側転し、ばく転。更に飛び上がり、キックを当てる。
「こんなはずでは・・・・・・!」
「やっぱり千歌ちゃんは強い。あんたは、人の弱みにつけこんだんだろうけど、絶対的な太陽や奇跡なんかには敵わないんだよ。あなたも、私も」
「何を・・・・・・」
「私が・・・・・・!」
ウィザードはそこまで言って、口を閉じる。ウィザードは最期の希望である。これはいつでも希望を捨ててはいけない、という善子とヨハネから受け継いだ言葉である。だからこそ曜はそうあろうとした。しかし善子とヨハネが支え合っていたように、曜にも支え合う者がいた。いつでも受け入れてくれる彼女に。
その彼女はギルスとなっているが、このままでは相手が倒せないことがわかっていた。ウィザードが必殺のライダーキックを行っているが、効かないのではない。倒しきれない。奥歯をかみしめる。せめて、もう一人のライダーを友人のために使えるとしたら。スイッチを出す。彼女は願った。倒すためのジョーカーは、これしかない。仲間のために力を貸してほしい。そう強く願うと、スイッチが輝き始める。
「ふぇ!」
その様子に素っ頓狂な声を上げる彼女。手のひらの輝くスイッチを見て
「千歌!今なら!」
果南のその言葉に我に返る。
「うん!」
彼女は変身を解き、フォーゼドライバーをつける。そしてスイッチを順番に押す。
『3』
「今ならいける」
『2』
「スイッチが力を貸してくれる」
『1』
「私はみんなに支えられているんだから!」
ガシャンとレバーを押し込み、スモークの中からフォーゼが出る。
「宇宙きたー!!!!!!!!!!!!」
宇宙を揺らすその叫びに、いつも通りの彼女が戻ってきたことにメンバーは安堵する。
「途中だったね、あなたは、私たちの希望に負けるんだよ!」
ウィザードが相手を強く蹴るが、それでもまだグリードは生きている。そこにロケットの噴射で飛び上がったフォーゼが一気に斜めへ下降。左足がドリルになっている。
「ライダーロケットドリルキック!!!!!」
相手はそれを避ける。フォーゼもそれを見切ったのか、直前でドリルを解除して右手のロケットで再浮上。そして空中で『ファイヤー・オン』というアストロスイッチの音を聞き、赤いフォーゼとなる。炎の射撃で相手の逃げ場を潰し、着地すると両手で構える。それに身構えているが、
「どこ見ているの?」
「何?」
いつの間にか彼女は後ろにいた。前にいた彼女は煙と共に消えている。何が起きたかわからない状態である。フォーゼはゼロ距離でトリガーを引いた。相手はコインを出して吹き飛ぶ。赤いフォーゼは立ち上がるのを見て
「仮面ライダーフォーゼ!タイマンはらしてもらうよ!」
そしてスイッチをつけかえる。『コズミック・オン!』と発射ボタンを押すと青いフォーゼが現れる。それは友情と絆を体現した姿。仮面ライダーフォーゼ、コズミックステイツ。フォーゼの究極の姿である。
「千歌ちゃんいってらっしゃい!」
ウィザードのその言葉と共に、フォーゼがロケットで相手に突っ込む。目の前に宇宙空間が広がり、フォーゼはそれに突っ込む。2人は宇宙空間にワープすると距離を取る。青い地球が彼女の後ろに移る。
「待て!まだ!お前の望みを!あいつらより強くなるという望みをかなえていない!」
「・・・・・・」
「俺がいれば!」
「言いたいことはそれだけ?」
ロケットのような剣を構え、コズミックスイッチをその柄の部分に入れる。
「抜いて!刺す!」
するとロケットが徐々に二つにわれ、青く光る芯が見えた。
「俺がいなければ!」
「暴走する強さなんて、そんなの不要だよ!みんなを傷つけた痛み、一生消えない痛みで償え!」
剣を改めて構える。『リミット・ブレイク!』
「ライダー超銀河フィニッシュ!」
剣を横に振り、剣撃がグリードを襲う。それはグリードを押す。かなりの衝撃であるが、このヤミーの再生能力は凄まじい。それはコズミックステイツの必殺技を持ってしても仕留めることができないほどだ。致命傷は負ったものの、倒しきれていない。
それを普通怪獣は想定済みだった。
リーダーに必要なもののうち、彼女は既にあらゆるものを備えている。意思の力と発信する力。問題が起きた時に話し合いをする交渉能力。一人一人に寄り添う能力。そして力こそ、最強とは言えないこの普通怪獣が、普通じゃ無いメンバーをまとめ上げている理由は「状況判断」が非常に長けているためである。もちろん本人には、その自覚はない。だからこそ、自分にないものに憧れ、嫉妬を生んだが、その能力によって、彼女らの被害は非常に軽減されているのである。
吹き飛ばしたその先にあったものは太陽。千歌はオーズの必殺、ウィザードの蹴りまで受けて、まだ話ができる怪物に対抗できるものは、あのエネルギーの塊以外にあり得ないと判断した。ヤミーは「一生消えない痛みで償え」という彼女の言葉を理解した。太陽に吸い込まれ、炎に抱かれる。そしてそれは、再生させることを許さない。
フォーゼが戻り、二人は変身を解いた。二人はにこりと笑い、そして手を高くパァンとお互いの手をはじいた。そしてその後に二人とも疲労の色を見せ、砂浜に座る。
「ちょっと曜ちゃん寝ますわ」
「私も、疲れた……」
浜辺に倒れ込む二人。他のメンバーが駆け寄る。表情は険しい。
「曜さん、あの姿に……」
「うん。運用方法は協議しても、きっと曜は……」
メンバーの表情は曇る。
「曜、千歌。お疲れ様」
ふう。
あっちの世界も、こっちの世界も人は変わらないのね。
あんたがそういうくだらないことで悩んでいるのも。
私から言えばくだらないわよ。だってあなたしかいないんだから。
私たちライダーはこの世界とは違うのよ。恐怖と畏怖の存在。
そこに私たちのリーダーは居場所を作ったのよ。
そして受け入れて、悩んでいればいつの間にか側にいる。
あんたも普通怪獣っていうけど、向こうも自分のことを普通怪獣っていう。
でもね、私はそうは思わない。あんたも、リーダーも。
だってリーダーって強いリーダーもいるけど、「支えたい」ってリーダーもいるでしょ?
自然にそう思わせるリーダーが普通って、そんな世界なんてないわよ。
きっと、みんなあなたに感謝してるわよ?
ほら、仲間が来た。泣かないの。行ってきなさい。この世界の千歌。あんたしかいないんだから。
・・・・・・全く、他人と比較するから自分の良さがわからなくなるのよ。ありのままでいいのに。それだけであの人はリーダーなんだから。