※社長はでてきませんが狂人が出てきます。
そこにいたのは私と仲間。
仲間は倒れている。動けそうなのは私だけ。でも、私も敵に捕まっている。
周囲は炎に包まれて、苦悶の表情を浮かべる。
「お前が助けたかったものは、全員動けない」
ルビィはどこにいるのだろう。声をあげようとする。でも、声が出ない。そこで意識が薄れていく。それを防ぐために、相手は私に攻撃を入れる。私はなすすべなく、受けるしかない。
「これで終わりだ」
敵はとどめをさそうと、武器を出す。そして、剣を振り上げた。
「お姉ちゃん!」
その叫びにぱちりと目が覚める。もう朝だ。大量の汗がシーツにしみこんでいる。
「だ、大丈夫?」
「ええ。ちょっとだけ目覚めが悪かっただけよ」
ルビィの問いかけに少し落ち着くと、ふうと一息つく。私は着替えて、朝食を食べる。首が熱い。まだあの悪夢の影響が残っている。私がライダーになるための代償。それはこの悪夢を見ること。皆が全滅し、最期に私が殺される。その夢を毎晩のように見る。だから私は夜の暗闇が怖い。この夢は何なのだろう。正夢になるのだろうか。
「そういえば、お姉ちゃん、今日お父さんが話があるって言っていたよ」
「お父様が?」
「うん、仕事のついでにこっちに来るって」
「そう」
私はお茶を飲む。黒澤家はここ内浦の網元の漁師である家系。「黒澤に逆らうものはこの地で働けない」と祖父の代では言われていたらしい。お父様からはそんなことは無くなったけど、祖父の権力は絶大で、その家系を引き継いだ父も権力は絶大である。もちろん、ただの七光りでその権力をかざしているわけではない。私はガイアメモリを握った。
黒澤家の地下。そこに私たちの運命を決めた施設がある。ガイアメモリの生成工場。工場というのは、一応工場と言っているだけで、どういう原理でガイアメモリが生成されているかはわからない。ただ、言えるのは、定期的に点検しなければこの装置自体が暴走してしまう。そこに呼び出すのは、父しかいない。父は和服に帽子と、明治時代の貴族のような姿で待っていた。海に出る時以外はこの格好である。
「ダイヤ、ルビィ、待っていたよ」
にこりと彼は笑う。
「手短にお願いしますわ」
「そう邪険に扱うな、私は君の父親だぞ?」
「早くしてください」
彼は、まあいいかと、話を始めた。
「ダイヤ、ルビィ。君たちには生き別れた妹がいると伝えたことがあったな」
「うん、サファイアお姉ちゃんだよね」
「私の一つ下でしたっけ」
黒澤サファイア。私の妹であり、ルビィの姉という立ち位置の者がいたことは知っている。そして彼女がガイアメモリの製造に大きく関わっていることも知っていた。
「でも、なぜそのようなことを?」
「黒澤サファイアは生きている」
その男はそう言った。
私は無言でその場を去った。
「おい」
「それを伝えて、どうするつもりですの?」
「これはお前達の戦力アップになる。ルビィ」
ルビィは父のところに行く。そしてルビィにベルトとボトルのようなものを渡した。
「これは?」
「新しいライダーだ。お前がなるんだよ」
「ちょっとお待ちを。ダブルはどうするつもり?」
「ダブルの研究は、君たちがエクストリームになった段階で既に終わっているんだ。今度はこのボトルの実験だ」
「え?」
「ルビィ、どきなさい」
私はロストドライバーを構える。
「ちょうどいい。ルビィ、変身しなさい」
「そんなことできないよ!私はダブルなんだよ」
そう叫んだ瞬間、その男はルビィを殴る。その光景を見た瞬間に、私はもうベルトにメモリを刺していた。そして男につかみかかる。
「どういうつもりですの?」
「お前の中に眠るサファイアは、激しい怒りでしか出てこない!」
「何を言っていま」
そう言いかけた瞬間、頭の中で声がする。
「そう、ダイヤ。サファイアは君の中で一緒に生きているんだ」
「嘘!エクストリームになってもそんな子はいなかった!」
まずい・・・・・・乗っ取られる。そう思った瞬間、意識が途切れた。
ダイヤお姉ちゃんには悪いけど、この男のやり方じゃないと私をお姉ちゃんが意識もしないし出てくることもできない。お姉ちゃんには夢を見させてあげる。
「お姉ちゃん?いや、お姉ちゃんじゃない?」
ルビィが言う。そっか、ルビィとダイヤお姉ちゃんは繋がっているけど、私とは繋がっていない。だからダブルになれないのか。ルビィが敵意を出してくる。さて、少し暴れるかな。私は男の首を迷わず掴む。
「ねえ、あんたは何をしたいの?」
「お前がダイヤとダブルになるんだよ」
「ダイヤお姉ちゃんと?」
「そうだ」
手を離す。そして踏みつける。
「ルビィはどうするの?」
「だから新しいライダーシステムを構築したんだ」
ダイヤお姉ちゃんと私の感情は共有されている。この男は嫌いだ。憎んでいる。きっと何かを企んでいる。
「ふーん」
男は足をはね除けた。そしてロストドライバーを構える。
「このじゃじゃ馬娘!」
「誰がそう育てたのよ?」
私は姉の闇を一身に受けて育った。私の構成する要素は、ダイヤお姉ちゃんの闇。ダイヤお姉ちゃんの怒りや焦り、腹黒い一面だけを見て育った。首をゴリゴリ鳴らすとファイティングポーズを取る。この衝動は抑えられない。この男を葬りたい。
「待って!」
ルビィが言う。
「あなたは、誰なの?」
「私?私は黒澤サファイア」
腕を鳴らす。
「あなたの姉よ」
「嘘、嘘をつかないで!」
恐怖と絶望で表情が強ばっている。その表情、ゾクゾクする。私は変身を一度解除した。彼女にはどう映っているんだろう。髪の毛を触った。赤い。でもそれぐらいか。あのキバの子みたい。ルビィを見る。完全に恐怖の対象になっている。ゾクゾクするわ。ダイヤお姉ちゃんもゾクゾクするけど、ルビィもゾクゾクする。
「あ、悪魔・・・・・・」
「ふふ、褒めてくれるのね、ルビィ。さあ、変身するの・・・・・・」
ああ、もう目覚めるのね。ダイヤお姉ちゃん強ええね
「はあ、はあ」
変身が解除されている。何が起きたの?ああ、眠い。そのまま私は寝てしまった。
※次から新エピソード開始予定です!