・・・・・・ああ、だめですよ、勝手に行動して!
気がつかれないように、
ってあれ?
彼女どこに行きました!?
鞠莉の判断
ギルスの件から1週間程度が経過した。その間、大きな襲撃というものはない。小規模の襲撃こそあるが、それは千歌一人で対処できるものだったので、彼女らにとっては些細な日常である。千歌が一人でなぜ対応したかというと、データ取得のためである。それらのデータは鞠莉がまとめ、皆に配付された。それを見たダイヤが部室で立ちあがる。
「では、まず各人の状況についてまとめます。千歌さんはギルスになれる他にフォーゼにもなれる、ということでよろしいですか?」
「はい。スイッチも力を貸してくれるみたいです」
「アストロスイッチで変身するフォーゼと、体内で変身するギルスは『別の変身システム』みたいね。同一の変身システムでなければ、被らないのか、それともアストロスイッチが特殊なのかは判断がつかないわ」
検査をした鞠莉が言う。
「では、鞠莉さん、真姫さんから聞いたのですが、『メテオ』については?」
鞠莉の表情が少し曇る。ダイヤは続けて発する。
「同じアストロスイッチシステムで変身するライダ―で、『切り札』らしいですわね」
「……それは、元々曜のために開発したのよ。前線で体術だけで死線を潜り抜けてきたからね。ただ、その最中に善子がいなくなったから、ある能力に注目して話したってだけ。おそらく切り札ってそれのことね」
「それがフォーゼの新しい姿、ということですか?」
「そうなの?」
千歌の視線が彼女へ向く。
「『フュージョンステイツ』というらしいわ。計算上の出力であればインフィニティを凌駕するはずよ。ただ、無理ね」
「何で?」
「待つずら。その前に小原グループはアストロスイッチの開発に成功したの?」
「開発ではなく、エネルギーを入れる技術、ね。元のものがなければダメだけど、あればメダルもメモリもスイッチもロックシードだっていけるわ」
「眼魂は?」
「あれは、英霊たちの力だから、技術でどうこう、なんて無理よ。ついでに言うと指輪も無理よ」
「……てことは、鞠莉はそのメテオになれるスイッチを見つけたってこと?それこそ信じられないんだけど?」
「見つけたのは私じゃないわ」
紙をすっと出す。そこには国立宇宙開発機構という文字が並ぶ。ダイヤはそれに先に目を通す。
「国立宇宙開発機構……?国の組織なの?」
「どういうことずら?」
「確か、君達の説明では、そういった研究は拒否していると言っていたな」
光太郎は回されてきた書類を読んで言った。その書類にはメテオスイッチの原型となるものが山奥で見つかった、という報告書だった。そして顛末として手に負えないので小原グループへ譲渡する、という内容であった。
「それは民間の話。小原グループは別よ。そして小原グループはライダーの研究を『エネルギー転用』の名目で国に報告しているの」
「な……」
「待って。だからこそ、自衛隊や警察は私達を捕まえないのよ?それは見限っているわけではないの。私たちがそういう契約の下で『保護』してもらっている。物資も滞りなく配給されているのはそのためなのよ?」
光太郎は納得した。怪物と恐れられる少女たちの他にも、この地区には少なからずこの子たちの家族がいる。そのためかと思っていたが、ジャーク将軍から「それでは少なくともクライシスでは動かん」と言われたのだ。
「じゃあ小原グループでの実験って」
花丸が鋭い視線を送る。
「勘違いしないで。9割はこの戦闘のためのものよ。それを変身時に出るエネルギーのデータを渡しているの。だから副産物を渡しているの。ライダーの戦闘データは渡っていないわ。それを軍用にされたら困るもの」
「……」
「それに、それがあるから物資の補給もしてもらえていることは事実よ」
「……だから、無暗に言えなかったってこと?」
「そうよ」
重い空気が流れる。
「……これはどうするべきですかね」
「……」
「私は鞠莉さんの判断に賛成だよ。今、聞いた感じだと私達のデメリットよりもメリットの方が大きい気がする」
千歌が言う。
「いや、大人は何をするかわからないずら。信用できないよ」
「……話をすすめましょう。経緯についてはそこから送られてきたわけですね」
「その通りよ」
「で、フュージョンステイツになれない、というのは?」
「簡単よ。条件がわからないの。それに私は彼女たちの説明の時に『可能性が高い』としか言っていないわ。計算上ではフォーゼドライバーと適合するみたいだけど」
「実物で試しては?」
「試して、何かの罠だった場合、責任取れる?だから私は慎重にこれは調べる必要があると踏んでいるのよ」
「……それを曜ちゃんに?罠かもしれないのに?」
「私は止めたわよ。でも曜の意志だからね?あと、そのメテオへの変身自体に関しては影響が無いという判断もしているわ」
「曜ちゃん、どういうこと?」
「……ウィザードになる前に、たまたまメテオの話をしている所に遭遇したんだ。それで鞠莉ちゃんに言ったの。それがライダーの力と並ぶなら、私に使わせてって。それでメテオは私を基準にチューンナップされているはずなの。でも善子ちゃんがあんなことになって、私が受け継いでその話は凍結になったんだ。あのスイッチに罠は無かったよ。ただ、鞠莉ちゃんって用心深いから、その状態にできる条件がわからない限りはみんなに内緒、少なくともフュージョンステイツのことは公言しない、ってことにしたの」
曜は険しい表情で言う。千歌はそれ以上何も言わなかった。
「事情は理解しました。ただ、もし……いえ、何でもありませんわ」
ダイヤは言葉を飲む。
「もし、早期に導入していたら、善子ちゃんの負担を減らせたずら……なのに!何でそれをやらなかった!」
花丸は言葉を吐き、感情を爆発させた。激怒した花丸は鞠莉に襲いかかる。それを誰よりも早く動いた千歌が止める。
「どいて!」
「落ち着こう。花丸ちゃん」
「どけ!」
「本当は!」
千歌が叫ぶ。
「本当はこんなことしても、意味がないってわかっているくせに!善子ちゃんが!帰ってこないってわかっているくせに!」
「……」
「花丸ちゃん、よく聞いて」
曜が話を始める。
「彼女は生きているんだよ。消えてなんかない」
その言葉に、そこにいた全員が息をのむ。目を大きく見開くもの、口をあける者。その様子を見て、曜は静かに話を始めた。
※新エピソード突入です。ヘッダーで怪しい行動をしている子は一体・・・・・・?
※新しいタグを追加予定です!