ラブライダー   作:ACHA

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もうどれだけ堕ちたんだろう。叫んだんだろう。
 16年も一緒だったからわかるの。私の所にヨハネはいない。でも消えてもいない。私も段々と記憶が無くなって……私ハ何処ニ堕チルノカシラ。



000章-ヨハネ堕天

 目が覚めた。ここはどこだろう。

「気がついたかい?」

 白衣の先生。ここは病院?

「まだ起きちゃダメだよ」

 看護婦が言う。頭がぼーっとして、ダメだ。

「話を聞かせてもらえるかな?僕の名前は宝条永夢。ここの先生だ」

 にこりと笑う。

「……」

「えっと、津島善子ちゃんでいいんだよね?」

 その名前にピンとこない。疑問を浮かべたのだろう。彼は質問を続けた。

「ここまで来たときのこととか、今までの記憶って覚えている?」

 首を横に振る。

「……そうか。じゃあ、少し頭がぼーってする感じか」

 縦に振る。

「うん、わかった。じゃあ、ちょっと入院だね。君は今、この病院でしか治せない病気になっているんだ」

「……そうなんですか?」

「うん。でも不治の病気ってわけじゃない。だから安心して」

「……はい」

 私はそう言うしかなかった。でも、私は大切な何かを忘れている気がする。ここに来たことには何か目的があったはず。

「目が覚めたか?」

 白衣に身を包んだもう一人の先生が来る。

「鏡先生、ちょっと外に」

「ああ、ちょっと待て。では1つ確認したい」

「?」

「ぐえ!」

 背後に女の子が隠れていた。多分掴まれていたんだろう。みかん色の髪の毛をした女の子。

「善子ちゃん!……え?どういうことですか?」

 どうやらこの子は私、津島善子なる人物を知っているらしい。

「……よしわかった。ほら、説明するから出るぞ」

 もう一度首根っこを掴まれ、少女は退出する。何だったんだろうか。

「あれ?」

 奇妙な違和感に気が付く。こんな時、誰かが私に語りかけてきたような。それがないことの違和感。お約束がない。

「どうしたの?」

「あ、いえ」

「心配しなくていいですからね」

 彼女も病室から出る。私はやることがない。寝ることにした。

夢を見る。浜辺にいる。さっきの子は倒れていた。「絶対に許さないわよ」、私が言う。

「あいつごと異世界に送るわよ」

 今の声は誰?私の中から聞こえてきた。そして慣れた手つきで変身と言い、そしてまた形態を変化させようと指輪をはめる。そして

「さあ、ショータイムよ」

 そう言って怪人に突撃していく。水面に映るのは銀色の魔法使い。その攻撃は大地を揺らし、海を割る。この夢は何だろう。攻撃を受けた瞬間、目が覚めた。

 そこには、怪物たちが近くにいた。私は叫びながら、寝ころび、ベッドから降りた。

「新しい創造主!」

「逃げるな!」

 怪物たちはそう言って私を追う。その騒ぎを聞きつけ、先生達もやってきた。

「あいつは!」

 先生達が前に出る。私は逃げた。その逃げた先にも怪物がいる。逃げる場所はない。その時、怪物を飛び越え、男の人が私の目の前に立った。

「これが噂のバグスターか」

 黒いジャケットに帽子を着たその人は、敵にそう言う。

「フィリップ、行くぞ」

 そう言うとベルトのバックルを持つ。しばらくして

「わかった、わかった。俺一人で行く」

 別のバックルを取り出して装着した。そしてそこにメモリを差し込む。

「変身!」

 男の形状がみるみると変化する。それは黒い生物へと生まれ変わる。その姿に私は後ずさりしながら来た道を引き返す。何がどうなっているか、全くわからない。そこから出口を探して彷徨い、ある場所に紛れ込んでしまった。

「ちょ、ちょっと!ここに入っちゃダメ!」

 全身ピンクの女性がそう話す。

「た、助けて下さい」

 そう言うのが精一杯だった。その時、部屋のドアが破られる。

「嘘でしょ?ここのドアが?」

「ポッピー!この私を出すんだ」

「……うん!」

 部屋の奥にあったゲームセンターの機械に女性が触ると、男の人がそこから出てきた。そしてその男はベルトを私に渡す。

「お守りにはなるだろう」

「黎斗!それは何?」

「神である私の見立てが正しければ、この子はゲーマードライバーを使用できるはずだ」

「嘘?善子ちゃんが適合手術を?」

「あるいは、宝条永夢と似ている可能性がある」

 何を言っているの、この人たちは?

「持っておけ」

 カセットのようなものも渡される。そのパッケージには「フォールダウン」と書かれている。

「まだ試してすらいない。だが、ないよりかはましだ」

 すぐに敵が来た。私に迷う暇なんて無かった。そのベルトをつけ、カセットをさす。そして言った。

「変身!」

 

 すると、違う空間に私の意識はあった。ここはどこだろう。

「あら、来たのね」

 その空間に私がいた。自然と涙が出る。何故かはわからない。

「全く、世話の焼ける子ね。そうよ。私達は一人で二人なの」

「ヨハネ……?」

 頭に浮かんだ単語を言う。彼女はにっこりとほほ笑んだ。

「さあ、行くわよ。充分休んだわ」

「待って!貴方は知っているの?」

「……」

 すっと頭に手を当てられた。すると、映像が頭に浮かぶ。それはあまりにも悲惨で、悲壮的だった。何?私はここの世界の人間じゃないの?

「混乱しているようね。1つ1つ整理していけばいいわ」

「あ、ああ……」

「じゃあ、少し体を借りるわね」

「待って」

 足が動かない。

 

「善子ちゃん?」

 ピンク色一式に身を包んだ女性が声をかける。私は決まり文句のように、こう返す。

「だからヨハネよ」

 それが私の名前だ。

「ヨハネ?」

「ほう、神たる私の前でその名前を言うとは!だが、津島善子!君は何故ゲーマードライバーの影響を受けない!?」

 ドライバー?ああ、このベルトのことね。カセットを引きぬくと、そこには『堕天』と書かれていた。それを元に戻す。

「影響なら受けているわ。ありがとう、神様」

「……ほう、私を神と崇めるか」

「そんなこと言っている場合じゃない!」

「神様。影響受けているんだったら、どんな効果があるのかしら?」

「それは、君の中に眠る夢、つまり創造力を引き出すものだ!どんなものでも武器に変更する能力と、君ならその使用方法も理解できるはずだ!」

 クウガみたいな能力かしら?

「じゃあ、試すわね」

 私はその怪物に殴りかかる。武器を簡単に奪うとその大きな剣は、たちまち私にあった形状の剣に変わる。そしてこの剣を私は見たことがある。クウガのタイタンフォーム。その剣だ。

「これ、どういうこと?」

「創造は記憶の積み重ねだ。君の記憶の剣がその剣ということさ」

 そういえば、こっち側に剣が主体の子っていなかったわね。リリーのは日本刀だし。ずら丸も、どちらかと言えば日本刀か。ブレイドの武器じゃないのは、単純に大きすぎて好きでないからかしら。私の剣がてっきり出ると思ったんだけど、あれは魔法剣だから除外されるのかな。何にしても、これ重い。もう少し軽くならないかしら?そう思った瞬間に、その剣は少し軽くなった。カスタマイズも「念」でできるのね。これなら扱える。奪った敵に対して、攻撃する。一刀両断すると、敵は倒れた。敵は消滅する。それと同時に剣も失う。

「あら?」

「うむ、敵と共に武器ごと消滅するのであれば当然だな」

「随分と他人任せな能力ね」

「臨機応変、そう言ってもらいたい。さて、神たる私も参加しよう」

 そういうと私の横に並び、ベルトに彼もカセットを差し込んだ。黒いライダー。見たことがない。私は敵を飛び越え、部屋の外に出る。すると敵が追いかけてきた。黒いライダーが敵の背後に立つ。私は病室の窓から外に出た。それに合わせて敵も来る。着地をするとドライバーが唸る。カセットを取り出し、もう一度さす。すると

『フォールダウン!』

 そうベルトが叫ぶと私の服が変化する。いわゆるゴスロリというものだ。確か、善子が憧れていたわね、こんな格好。まあ、私も嫌いじゃないわ。そして私にとって足技が使用できるのはすごく大きい。あとは武器さえあれば。外に敵を誘い出した。よくみると、ブロックやコインのようなものが落ちている。確か、これゲーマードライバーって言ったわよね?私の直感を信じることにした。ブロックを壊すと中からアイテムが出てきた。これは武器。今度はハンマー。それが形状変化していく。この武器はキバのハンマー。両手で持つ。

「フィールドの特性を瞬時に把握したか」

「ええ。広さで変化するのね」

「そう、フォールダウンガシャットの力はこれからさ」

「創造の能力、なんて神様みたいね」

「神は私だ」

 敵にぐっと近づき、ハンマーを叩きこむ。黒のライダーも攻撃をしかける。

「だあ!」

 気合いの一撃を放つが大ぶりのためかわされる。ハンマーを地面につきさし、回転して蹴りを入れる。やっぱりこんな鈍器は私の相棒にはならないわね。ハンマーと柄の部分を切り離せるように念じ、分離するとそれがロッドになる。これはWのロッド。メタルシャフトだ。それを敵に当てて行く。ガイアメモリがないとこんなものかしら。さすがにあんなものまでは生み出せないかもしれないけど、多分再現は可能ね。シャフトに念を送る。そして敵にそれを当てる。しなりを得たシャフトは蛇腹のように相手を叩く。次にシャフトを振り回すが、特殊な弾は出ない。どうやら触れているものに関してはカスタマイズできる能力みたい。

「大体理解したわ」

 ロッドを当てる。そして回転して一撃、また一撃と当てて行く。敵の攻撃をかわし、どんどんと追いつめて行く。

「これで終わりよ」

 ガシャットを抜き、そして別の場所に差す。

『クリティカル・ストライク』

 うん、いける。私は敵に向かって走り、そして側転とばく転をして飛び上がった。そして相手にキックをする。敵には当たった。しかし、威力が足りなかったようで倒せていない。ならニ発目と振り向いたその時、

『ジョーカー!マキシマムドライブ!』

 その声と共に敵がのけぞった。慌てて避けると、そこには善子の見た黒いライダーがいた。パンチを放ったようで右手を突き出していた。

「全く、とんだ暴れ姫だ。これで終わりだ」

『ジョーカー!マキシマムドライブ!』

 怪物に向かって蹴りを放つ。怪物は爆発した。私はベルトをはずす。

「ほう、流儀は教わっているか」

 そのライダーも変身を解いた。……あれ?

「善子!戻ってきなさい!」

 そう叫ぶと意識がすーっと抜ける。記憶がまだ曖昧みたい。声をかけてようやく戻ってくるのね。

「……はい」

 なんか、すごくぼーっとしている顔ね。「この子」にとっては始めてなんだから、無理はないか。その雰囲気を察したのだろうか、その男は近づいてくる。

「大丈夫か?」

「……」

 言葉が出ないみたい。

「……何が起きたの?」

 怯えた目で男を見る。

「ち、違う。私は、みんなを……痛い」

 ちょっと、これは駄目ね。『善子!変わりなさい!』

「違う。私は!あなたは!」

『休んでなさい。取り乱し過ぎよ』

「嫌、いや!」

 善子は逃げていく。それを追う黒のライダーだった人。するとそこに

「善子!」

 果南だ。でもこの子は知っているのかしら?その様子にただならぬものを感じたらしい彼女は彼女を抱きしめる。

「……怖かったね。辛かったね?」

「……あ」

 声にならずに涙が出た。一しきり泣いたら、落ち着いたみたい。

「果南、そいつは」

「ええ。知っていますよ。でも、確信しました。この子も善子なんだって」

 彼女はにこりとほほ笑んだ。私は彼女のこんな表情、なんて見たことが無かった。

 

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