バースとオーズは戦闘を行っている。バースは何度か兵器を出したのだが、結局実体化せず、失敗に終わる。よって体術とセルメダルの銃で対抗するしかなかった。オーズの剣を狭い足場で避けていく。避けながら、銃を撃ち込む。オーズはそれを剣ではじく。しかし、あまりの至近距離にオーズはバランスを崩す。少女はさらに銃を撃つ。オーズの手に当たり、剣が吹き飛んだ。それと同時にセルメダルが飛ぶ。バースは洗練された動きでそれを回収すると、オーズの大ぶりの攻撃を回避した。そしてバースはそれを銃へ入れると、すぐに打ち込む。
「く・・・・・・」
オーズはトラクローを出し、弾をはじく。その様子を見て陽炎は広い足場へと行く。オーズもそれについて行く。
オーズと対戦していたバースは、相手の身体能力に驚いていた。ライダーになれば、通常の人よりも身体能力が上がることは知っていた。しかしここまでとは。こちらも、ライダーになっているというのに、フィジカルは負けている。そんな感覚。だが、幸いオーズはこちらよりも戦闘慣れをしていない。軍人としての彼女がそう判断する。このまま距離を保ち攻撃するしかないが、使えるメダルはあと1枚。武装がわからないことを考えると、慎重に使いたいところではある。
「・・・・・・」
オーズはこちらの攻撃が全て防がれていることに驚きを隠せない。その身のこなしは、まるで特殊な訓練を受けているものと戦っているようだった。しかし、フィジカルで言えば、こちらが有利らしい。近づければ、勝機自体はある。オーズは、バッタの足で飛ぶ。しかし、それはバースの格好の餌食だ。銃を向けたと同時に放つ。彼女は空気を蹴る。そしてもう一段高く飛ぶ。
「何!その動き!」
二段ジャンプをしたオーズに、眼を丸くする。しかし、その本能が銃口を向けていた。銃を放つ。しかし、オーズはグルンと回り、銃を回避した。近くに着地し、クローで一閃。バースはとっさに後ろに飛んだものの、ダメージは蓄積される。
思わず、バースはセルメダルを入れる。
『ジャイアントアタック』
「は?」
そして、両方の腰にタンクのようなもの。そしてその中には剣があった。出した本人も、これには驚き、交戦中の夕張に話しかける。
「立体機動じゃない!こんなもの、あいつの装備に無かったでしょ!」
「だから、陽炎ちゃん用のバースよ!」
「巨人相手じゃなくて、どう使えってのよ!」
この装備自体は、元々、人に対しての兵器ではない。とある世界で巨人を倒すために造られた兵器である。
「それは使用者に任せる!」
「・・・・・・あー!もう!あんた、後ではっ倒す!」
ドンとその兵器を押すと、二本のワイヤーがオーズに絡もうとする。そのワイヤーをオーズは避ける。工廠の床と壁を支点にパチンコのような要領で向かっていく。タンクの噴射もあり、超高速で向かってくる。その手には剣。オーズはギリギリで剣筋を見極め、それを避ける。
「何なの、あの動き!」
オーズは思わず言う。バースはワイヤーを壁に刺し壁に立つと、剣をしまい、銃を構える。そしてワイヤーをオーズの手前に差し壁を蹴る。そしてセルメダルを入れた銃で攻撃する。その動きにオーズは避ける。完璧な狙撃だ。死角に隠れると、オーズはメダルを入れ替える。
「あんな動き・・・・・・でもウナギとチーターと・・・・・・・眼はこのままいいか」
バッタのメダルを抜いて、チーターに。トラを抜いてウナギに。そしてスキャンする。そしてオーズはその死角から飛び出す。赤と青と黄色のオーズは、相手を翻弄する。その速さはまるで地上最速の生き物。その動きにバースはついていけない。しかし、目視はできる。動き回るオーズに対して銃を牽制として使用する。しかし、それでも速い。弾速よりも速いのだ。こうなれば、とバースはワイヤーを飛ばした。大きく旋回しようとすると、オーズの手は、そのワイヤーに伸びていた。仮面の笑顔を読み取った陽炎の本能が次の瞬間、行動へと移る。
「パージ!」
「とらえた!」
オーズはウナギの電撃を加える。しかし、オーズが触れた瞬間にバースはその装備を放棄した。バースは電撃こそ回避したものの、その勢いのまま窓にぶつかったため、工廠の窓は割れた。外の地面についた瞬間に横に転がったが、衝撃は完全に和らいだわけではない。周囲の人々も集まってくる。オーズはタトバになってバースを追った。バースは元の陽炎という少女に戻っていた。
「いたたたた・・・・・・まだ調整中なのね、このシステム」
「・・・・・・」
「やるじゃない。慣れてなかったとはいえ、この私に一泡吹かせるなんて」
全然ダメージを受けていない。それどころか、この状況、オーズは周囲を見た。彼女はダメージを逃がしただけじゃない。まるで、外の様子がわかっていたかのように、この戦況を作り出したかのように、彼女は立っていた。この状況になった時点で、オーズの敗北は濃厚だ。
「陽炎、この方は?」
「ライダーの一人よ。セルメダルで実験していたのが、この子らにはダメだったらしいわ」
「ああ、この赤い子もですか」
感情があまりない娘がアンクを捕まえていた。
「アンク!」
オーズは叫ぶ。後ろ手に縛られ、地面にふせさせ、足で踏む。
「さあ、これでおとなしくしてくれる?」
陽炎は完全な戦略でオーズを出し抜いて、自信満々の顔で言う。オーズはそれを聞いていない。アンクを踏んでいる娘に対してタックルしていた。タックルされた相手はガードをして後ろに飛ばされる。周囲の人は「嘘だろ?」という表情でオーズを見つめた。
「すまねえ」
「いいんだよ。それにしても、変身が相手とけちゃったみたい」
ロープをほどき、彼女を見つめる。
「ふーん、やるね。まあ、でもね」
陽炎は異常な速さでオーズに迫る。
「妹に手出したのは、許さないわよ!」
オーズはそのスピードに一瞬怯んだ。そしてパンチを出される。その時、二人の間に何者かが入る。陽炎の拳を片手で受け止め、地面にその力を逃がす。陽炎のバランスを崩すと、足を払い、胸を踏むと機銃を構える。片方は陽炎に、もう片方はオーズに向いていた。見ると、それは銀色の髪のサイドテールの少女だった。どこかの優等生が着るような白シャツにワンピースの制服を着たその少女は黙ったまま、陽炎を見つめていた。
「はーい、お客さんは動かないでね」
オーズは動いたら撃たれることを悟り、変身を解く。
「いい判断ね」
「ちょっと!霞!いい加減に!」
「・・・・・・何?」
陽炎は彼女、霞の背後に鬼を見て、「な、なんでもないわ」と言った。
「で、いいわけがあったら聞くけど?ああ、言っておくけど、あんたらわざとセルメダルの研究をこの時間にしてたのよね?そのいいわけよ?」
「霞!待って!私、研究内容聞かされてないのよ!」
「それはそれで職務怠慢よ?」
「うぐ・・・・・・でも、私は知らなかったのよ!」
霞は胸から足を放すと陽炎はあとずさりした。機銃は彼女に向けている。
「とりあえず、神通さんと香取さん、どっちがいい?」
その二人の名前を聞いた瞬間、陽炎の顔が青ざめる。ひきつりながら
「あの、鹿島さんって選択肢は・・・・・・」
「あら、妹をご指名なんて」
その声にさらに青ざめる。その女性は、にっこりと彼女にほほえみ、首根っこを既に掴んでいた。その笑顔に果南も、背筋が凍る。
「あの、ち、違うんです!全部夕張が!」
「でも、霞ちゃんの言うことはその通りなのよね。職務怠慢、来客者へのおもてなしとか」
見るからに教師という姿をしたその女性は、彼女にそう言った。果南もその悪寒を感じる。霞は彼女の肩にポンと手を置く。
「大丈夫よ、後で夕張も来るから」
「さ、陽炎ちゃん、行こうか」
ずるずると引きずられた彼女の表情は絶望しかなかった。
※忙しかったんです・・・・・・
※武器は他の作品のものも出す予定です。善子の登場はいつになるんだろうか・・・・・・