SPEAR OF DEATH   作:夜廻

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ギリギリ本日二話目。


第二槍

 

 

 

「セタンタ、か。それでセタンタ。あんたはこんな所で何をしていたんだ?クエストでも受けていたのか?」

 

目の前の少年。キリトは自分の口でセタンタと反復し、心に刻むと俺にこの場にいる理由を聞いてきた。理由ねぇ、信じて貰えるか分からねぇが言うか。

 

「何をしていた?何ってそりゃあ……迷子だったんだよ」

「……は?」

 

おおう、そんなふざけてんのかって顔をしてくれるなキリト君よ。此方は割りと真剣なんだからよ。

 

「嘘じゃねぇぞ?実はな、俺は重度の方向音痴でな。草原でレベリングしようと思っていたら此所に来ちまってよ、帰り方も分からないんでここら辺を彷徨いていたところだ」

「……はぁ。あんたってちゃんとしてそうに見えて意外と方向音痴なんだな」

 

取り敢えず信じてくれたみたいだ。やっぱ若いな~少年って。社会の汚い部分を知らない子供はちょっと人を疑わ無さすぎる。まぁ、それが子供の良いところなんだけどな。まだこういう子達は穢れを知るべきではない。

 

「おうとも、所でキリト。俺は宿を探しているんだが、近くに街とかねぇか?勿論礼はするぜ。さっき助けて貰ったやつも含めてな」

「いや、そんな礼とかは別に……そうだな。セタンタ、あんたの腕を見込んで頼みたい事がある」

 

お?食い付いて来たな。さっきまで遠慮していたのに。

 

「おう、何でも言ってみろや」

「何でもって大袈裟な……。実は今あるクエストを受けていてな、さっきのモンスターからドロップするアイテムを集めるクエストなんだ。それで臨時なんだけどパーティーを組んで欲しい。あれだけの強さなら『実』を割っても生存率はソロよりは格段に高いだろうし」

 

ん?『実』だって?

 

「ああ、それくらいなら御安いご用意だぜ。だがキリト、『実』ってのはなんだ?」

 

俺が『実』の事を良く知らない事を知るとキリトは酷く驚いた顔をした。

 

「セタンタ、あんた『実』の事を知らなかったのか?」

「ああ、何分モンスターを狩るのは今日が初めてでな」

「俺、あんたの事をベータテスターだと思っていたよ」

 

前にも話したが俺は事前に『ソードアート・オンライン』をプレイしたと言ったが、あれは正確にはPVPの方の事だ。だからモンスターの事は知らねぇし、街が何処にあるのかも分からない。分かっていても迷う。

 

「リトルネペントには"花付き"と"実付き"、そしてどちらでもないものの三種が存在するんだ。前者の二種は後者の一種よりもステータス高く強い。そして"実付き"には特殊な性質があってな。"実付き"の実を割ると辺りのリトルネペントを其処に集めモンスターハウスと化させるものがあるんだ。……もしかして知らなくて割ったのか?」

 

おっと、あの『実』が付いていたヤツにはそんな性質があったのか。そりゃあ倒しても倒しても出てくる訳だ。いやぁ、ミスったな。

 

「あぁ~そうだな。確かに実を割っちまったな」

 

俺がそう言うとキリトは考え込む様にして顎をさすった。

 

「成る程……じゃあこの辺のリトルネペントはもう狩り尽くしたって訳か」

 

あ~、悪い事しちまったな。おっそうだ、リトルネペントのドロップ品がクエスト達成に必要なら俺が倒してきたヤツの何体かがそのアイテムを落としてるんじゃねぇか?

 

俺はアイテムストレージを開きそれらしいアイテムを見つける。

 

「なぁ、キリト。お前が欲しい奴ってこれか?」

 

キリトを呼び彼にアイテムストレージを覗かせる。

 

「ああ、これだ……って、迷宮区のアイテムまであるじゃないか!?」

「これか?気付いたら迷宮区に辿り着いててな。次いでだからそこでレベリングしてきたんだ。まぁ、ここら辺のヤツらよりかは骨があったな」

「……失礼だがあんた今何レベだ?」

 

レベルか?迷宮区を出るときまではレベル9でさっきのリトルネペントを意図せず乱獲したからそれなりに上がっていると思うが……。

 

俺はステータスを開き現在のレベルを確認する。そしてそこには12の文字が。

 

「12だ」

「……あんたよくそんな無理なレベリングして生き残れたな」

 

キリトから呆られている……俺、何かしたか?

 

「はぁ、まぁ良いや。取り敢えずアイテムは貰っておくよ」

「はいよ、これで良いか?」

 

アイテムストレージの譲渡アイコンを押しアイテムを渡す。アイテムを受け取った事を確認したキリトはよしっと言って此方に視線を写してきた。

 

「さて、クエストを達成するために街へ帰るか。セタンタ、街へ案内するから着いて来てくれ」

「助かるぜ、キリト」

 

それから俺とキリトは次の街、『ホルンカ』へとその足を進めて行った。後から聞いた話だが夜間の草原や迷宮区では経験値が普段よりも増加すると共にモンスターが凶暴化するらしい。……丸1日ずっとモンスターを狩っていたが、凶暴化してたか?

 

 

 

 

 

 

少し歩いた所で『ホルンカ』へ辿り着いた。……案外近かったんだな。キリトは既にクエストを終え、『アニールブレード』を手に帰って来た。

 

「クエスト達成したみたいだな、キリト」

「ああ、手伝ってくれてありがとう。セタンタ」

 

キリトの目的は果たされ、俺の目的も果たされた。もうキリトといる理由は無ぇな。んじゃまぁ、此所でお別れかね。

 

「じゃあ、俺は宿で泊まるからこれでお別れだな」

「あっ、待ってくれ」

「あ?まだなんかあるのか?キリト」

 

俺が宿の中に入ろうとした前に、キリトから声が掛かった。

 

「フレンド登録しないか?セタンタ」

「フレンド?まぁ、良いぜ」

 

カーソルからフレンドの欄を選びキリトにフレンド申請をする。そしてキリトはそれを承認し、これにてフレンド登録が完了した。

 

「あんた、これからどうするんだ?」

 

このソードアート・オンライン上でフレンド第一号のキリトが今後について問うてくる。

 

「今後ねぇ、適当にレベリングしてボス部屋発見を待ちますかねぇ」

「自分では行かないのか?」

「……そういうのは若者がやるべきなのさ」

「あんた今何歳だよ」

「21歳」

「あんたも若者じゃねーかッ!!」

 

そんな茶番を終え、俺達は別れた。今生の別れでは無いが、また会えると信じて。というか、俺にはアイツとはまた直ぐに会うだろうと思っている。

 

「さてと、1日位寝てねぇから疲れたな。どーんと寝るぜぇ!」

 

そう言ってベットへダイブ。三秒で夢落ち。余裕でした。

 

それから数日が経ち、適当なレベリングをしていた俺に、キリトからメールがあった。

 

『ボス部屋が見つかった。攻略に参加して欲しい』

 

とのメールだった。

 

 

 

 

 




次回は明日とは限らない。
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