夢オチばかりの夢宮くん   作:FAKE MEMORY

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 夏が待ち遠しい。ということで書いてみたこんな作品。もう物語なんて無理だね。短編集になっちまえ。


虫取

 「暑ぃ」

 

 そう、暑い。

 それもそのはず今は7月。

 夜ではあるが、完全に夏である。

 

 だが俺は暑さなど気にしては行けない。

 なぜなら俺は。

 

 「昆虫採取をするからだー!」

 

 「はぁ...」

 

 「わ、私虫苦手なんだけど...」

 

 俺が誘ってきたのはこの二人、鈴木と桜沢だ。

 つーか何で皆否定的なんだよ。

 おまえらノリノリだったじゃねーか。

 それにさ、こういうの最高じゃん。

 だってカブトムシだぞ、クワガタだぞ。

 楽しいじゃんか。

 

 「漢のロマンだろ!」

 

 「私女の子...」

 

 「めんどくせぇ...」

 

 くっ反応が...今に見てろ...俺がでっけークワガタ捕まえてきてやる。

 とはいえやはり思う。

 

 「んー、あんまり好評じゃないな」

 

 「俺は前クワガタ飼ってたし、嫌な訳じゃないけど...」

 

 「私は...えっと、まあとにかく行こ!」

 

 なんだよ気になるな。まあ来てくれるのなら別に良いんだけど。

 

 

 

 

 ここはとある林。友人の私有地だから話を通して入れるように許可してもらった。

 仕掛けは午前中にその友人のもと三つほど仕掛けておいた。

 餌は黒蜜を使う有名なやつ。

 ライトもいくつか使った。

 またバイトめちゃくちゃいれなければ...

 

 まず一つ目、この周辺は毎年比較的昆虫が集まりやすい木だ。

 目当てのクワガタがいれば良いのだが。

 

 「あったあった。これが一つ目」

 

 「お、カブトムシいるじゃん」

 

 「まあカブトムシは割りと採れるんだよな。カブトムシってでかいしカッコいいけど排泄物が多いしめちゃくちゃ食べるから大変なんだよな」

 

 「蛾がいっぱい...あ、でもこのクワガタ可愛い」

 

 「ああ、コクワか、長生きするし飼いやすいし、試しに飼ってみても良いかもな、虫かご家にあるし良かったらあげるけど」

 

 「本当に?ありがと!」

 

 「おう、大事にしろよ」

 

 ふむ、ここら辺には目当てのクワガタが居なさそうだな。

 早めに切り上げて次に行くとするか。

 

 

 

 

 

 

 「二つ目も見つからなかったな、ここは結構自信あったんだけどな。」

 

 あれから途中の木の隙間なども探しているが、目当てのクワガタは見つかっていない。

 ノコギリクワガタとかは見るんだけどな。

 今日も見つからず結局また明日とかはさすがに面倒だ。

 

 「んーやっぱあいつは罠よりルッキングかーでもそれはきついからその次で見つかって欲しいなー」

 

 「あ!みてみて!このクワガタおっきい!」

 

 「なに!?」

 

 俺は早速桜沢のほうへ近寄る。すると木の隙間から顔を出している、お目当てのクワガタを発見した。

 

 「お!よっしゃ!良くやった!こいつが目当てだったんだよ!」

 

 「なるほど、ヒラタクワガタか」

 

 「そうそう。今回はノコギリとかじゃなくてこういうのが良いかと思って」

 

 でかいしカッコいいし長生きする。

 気性が荒いってのもグッド。

 それにしてもでかいの見つけたなー。

 あとは仕掛けにメスが掛かっていれば最高なんだけどな。

 

 「んじゃ、最後の仕掛けもこのまま見に行くか。お願いだから採れてくれ」

 

 俺は期待とともに次の仕掛けへと足を進めていった。

 

 

 

 

 

 

 

 あのあと、無事メスも見つかり、一件落着。今は林を出るために歩いているとこだ。

 

 とこなのだが。

 

 「何でこんな時間に蜂が飛んでるんだよ」 

 

 なぜかこんな時間に大きめの蜂が飛んでいる

 おい、というかなんだこの不可解な現象。

 間違いなくフラグが立ってるだろ。

 神様はオチを作らないと気がすまないのか...

 たりめーだろ話作ってんだから。

 ...なんか天の声が聞こえた気がするがそれはどうでも良い。

 もうちょっとマシなオチはないのかと少し憤りを覚えるが。

 俺は怒ったぞぉぉぉぉ!

 いや、冷静になれ。確かこんなときは動かないのが一番。

 のはずだが、お構い無しに迫ってくる蜂。

 おい、こいつスズメバチやん。洒落にならんぞ。

 それにしてもあいつら蜂がいるのに妙に静かだな。

 ってあれ、そう言えばあいつらいねぇ。

 え?なんで?

 

 「ちょっと待てさすがに薄情すぎねーか?泣けるんだけど」

 

 動揺してる俺にお構い無しに近づいてくる蜂。

 そして蜂が鼻に止まり。

 俺に針を突き立てた。

 

 

 

 

 

 「いっでぇぇぇぇぇ!!てなんだこれマジ痛い痛い!!」

 

 なんかに挟まれてる。これガチで痛い。

 なんだか良くわからないので、とりあえずそっと鼻を触ると何か知らない固い物体が。そして今度は指を挟まれた。

 

 「ゆ、指がぁぁぁぁ!!て、これ俺のヒラタクワガタやん。なんてことすんだよ」

 

 「むー、それはこっちの台詞だよ。せっかく勉強に誘ってくれたと思ったらクワガタと遊んでるし。おまけに昼御飯食べたらすぐ寝ちゃうんだもん」

 

 あの一件以来、秋葉原へ買い物へ行ったりと大分仲良くなった桜沢。

 今日は俺の家で一緒に勉強をしていた。

 はずなのだが俺が休憩の時にクワガタを玄関から持ち出して、昼飯食べて寝たらなんか挟まれて。桜沢が不機嫌になってた。

 

 「それはすまんかった。少し目をつぶったら寝てたわ」

 

 「んー、まあそんなに怒ってないから別にいいけど。それにしてもこのクワガタ可愛いね」

 

 「ああ、そのクワガタはコクワガタってやつで。基本的に飼いやすい種類なんだ」

 

 「へー」

 

 「もしよかったら今度捕まえに行く?」

 

 「んー遠慮したいかな」

 

 やはり夢と同じようにはいかないのだった。




 ヒラタクワガタ...憧れますが、やはり買うのではなくて捕まえてみたいです。

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