▲チャプター1
「グラディオさ、王都旅立ってからずっとこの調子なの~?」
「ああ、だがこうしてバナナを渡せば素直に言う事を聞いてくれる」
「グラディオ~。バナナおいしい?」
プロンプトはねっとりとした口調でグラディオに絡んでいた
「なあ、イグニス俺が運転代わろうか? 飯やりながらだと危ないだろ」
「ノクト……聞けてよかった……」
「おかわり!」
車内に響くグラディオの声
「バナナは沢山あるからあまり慌てて食べるな、消化にわるいぞ?」
「あ! イグニス! 俺にも一本ちょうだい!」
「おいプロンプト、バナナはやめとけ!」
「いいじゃん。いっぱいあるんだし」
プロンプトがひょいとバナナを取ろうとしたときに悲劇は起こった
「痛っ、武器召喚!? 車内でやんないでよ!」
グラディオが盾を召喚しバナナを守っている 狭い車内で
「流石王の盾、王家のバナナも守るんだな」
「ノクト~席代わってよ。グラディオの横狭いよお~」
「やだよ」
静まりかえる車内にグラディオの咀嚼音がこだまする
「そういや最初にガス欠になった時も、グラディオが助けてくれたもんな」
「ああ、ハンマーヘッドまで一人で車をずっと動かしてくれたからな」
「もうさ、グラディオに運転してもらえばいいんじゃない?」
「おいプロンプト! やるよ」
唐突にグラディオから渡されたそれはバナナの皮だった
「ありがとぉ~。グラディオ」
引きつった笑顔でプロンプトはバナナの皮を頭にのせてグラディオの相手をしていた
「そろそろ着きそうか?」
「ああ、目的地にはもう少しで着くが……気晴らしにラジオでも聞いていろ」
イグニスが運転しながらカーラジをつけるという微妙に危ない行動をしている
『臨時ニュースのお知らせです。先ほど行われたルシス王国とニフルハイム帝国の和平会談にて襲撃があったようです』
「んだよこのニュース! 親父は無事なんだろうな」
「大丈夫だ。陛下の側には、クレイラス宰相がいる」
「あ~。グラディオのお父さんだね」
「無事でいてくれよ親父……なんだ? グラディオ」
唐突にグラディオは大切にしていた食いかけのバナナをノクトに渡す
「俺にくれるのか? 珍しいなお前が気を遣うなんて」
『たった今入った情報によりますと、和平交渉は決裂、襲撃によりルシス王も死亡したとの情報です』
ラジオから流れるニュースに車内は静まり返り
ただバナナを強く握り締めた音だけが響いた
「嘘だろ……」
「まさか陛下が、しかし誤報という可能性も」
『会談現場から離脱したコル将軍からの情報では、会談に同席したルナフレーナ様はご無事との事です』
「ノクト、目的地を変えるぞ」
▲チャプター2
「コル将軍!」
「お前たちか、無事でよかった」
「ニュースを聞きました、王都が陥落したというのは……」
「本当だ、すまない」
「親父……なんでだよ…」
「大丈夫かノクト……いや、ノクティス殿下」
「我々王都より脱出できた者は、ノクティス殿下の力になるよう仰せつかっております」
落ち込むノクトに声をかけたのは、意外にもグラディオだった
「おいノクト! 飯にするぞ!」
「今そんな気分じゃねえよ」
突如バナナをイグニスに渡し直前までバナナを握っていた手で
グラディオはノクトの胸倉を掴む
「グラディオ……何すんだよ」
「お前が飯を食わねぇなら、俺はバナナを食わねぇからな!」
「ちょっと二人共喧嘩はやめてよ~」
二人を仲裁しようと間に入ろうとしたプロンプトをイグニスが止める
「今はグラディオに任せよう。あいつが一番ノクトとの付き合いが長い」
「それに……父親を失った者同士、話し合いたい事もあるだろう」
「なあグラディオ……これからどうする」
グラディオはただ無言でバナナの房にある残りの本数を指折り数えている
その親指にひどく力がこめられていたのをノクティスはただじっと見つめていた
「言ってくれなきゃわかんねえんだよ! 親父も! 何であんな笑顔で見送って……」
おもむろに立ち上がったグラディオはバナナを仲間に手渡していた
「え? くれるの! ありがとぉ~グラディオ」
「珍しいな、バナナをくれるなんて」
「グラディオ……」
仲間たちは絆を強くしバナナの房のように肩を組み団結していた
ただ一人コル将軍はバナナを貰えず4人を寂しそうに見つめていた
▲チャプター3
「ルナフレーナ様は指輪を持って脱出し、六神に会いに行ったそうだ」
「とにかく俺達はレスタルムに向かうぞ。そこでイリスやジャレット達と合流する」
「ああ、グラディオん家の」
「グラディオも何か嬉しそうだね~」
「あいつバナナ以外の事でも喜ぶんだな」
グラディオはレスタルムでどんなバナナを買おうかと考えていただけだった
「イリス元気そうで良かったぁ~」
「相変わらずだねプロンプトは、ノクトは……」
「イリス心配してくれてどうもな。グラディオに渇入れられたから大丈夫だ」
「ただバナナを分け合って食べただけだがな」
久々の再開で会話に花を咲かせているとイリスがおもむろにバナナを取り出し
「そうそう、レスタルムの市場で買ったバナナあげる!」
「サンキュ、ってグラディオ睨むなよ!」
「ねぇねぇイリス~俺には~?」
「なんだプロンプト睨まれたい趣味でもあったのか?」
「あ、大丈夫です」
「大丈夫、おにいちゃんの分もちゃんと用意してるから」
「すごい量じゃん! ってかこれ車に全部のる?」
山盛りバナナに目を輝かし上機嫌のグラディオは
車の積載量お構い無しに詰め込んでいた
「イグニスこれからどうするんだ?」
「そのことだが、六神に会いに行こうと思う。ルナフレーナ様の足取りを追うのが最優先だ」
「ああ、ルーナも指輪も心配だ、帝国より先にルーナを見つけるぞ」
「ところで六神ってぇ~どこに住んでるの~」
「ちょうど六神タイタンは、この近くのカーテスの大皿に住まうとされている」
「じゃあ早速そこに行くか!」
「まてノクト、そうしたいが目的地までは帝国の検問も多い。突破する方法を考えないと」
目的地への行き方を考えているノクティス一行の背後に近寄る人影
「呼ばれて飛び出て」
「なんだこのおっさん!」
「あれれー覚えてくれてないのかな、アーデンだよ。ほら前にどこかであったでしょ? 君たち覚えてないけど」
「帝国の宰相が何のようだ?」
「いやー君達が六神に会いたいとか言ってるの聞こえちゃってさー」
アーデンはおもむろに車を指差し
「ところで君達の車バナナで一杯だけど、どうやってカーテスの大皿まで行くの?」
一行が振り返ると車に詰め込み満足げなグラディオが居た
「あれじゃあ車使えないよね、そこでなんだけど俺の車に乗ってドライブでも行かない?」
「ノクト、これは罠かもしれないぞ」
「ってもどうすんだよ、車バナナで一杯だぞ」
「でもさぁ渡りに船って感じでもあるよね~」
「どうするノクト。乗るか、乗らないか」
どう考えてもバナナ下ろすのが先だろと口まで出かかっていたノクトだったが
グラディオの幸せそうな笑顔を見て溜飲を下げたのであった
「なんか頭が痛くなってきたわ」
「グラディオ! 帝国の宰相がバナナ食べながら出かけようって誘ってきたよ~」
「バナナ食べながら行く気なの君たち、なんでもいいけど……俺の車もバナナで一杯とかはやめてよね」
「もう遅い気がするが……」
上機嫌で乗車しているグラディオ
もちろんその手にはバナナがあった
「なんでグラディオが助手席なんだよ」
「仕方ないだろ後ろに三人乗るとスペースがなくなる」
「バナナ持ち込みすぎだよ君、王のバナナに改名すれば?」
「なんか高級ブランドのバナナみたいだな」
「ノクトそれ言えてる~」
「検問所が見えてきたぞ、どうするんだアーデン」
「ん? まあ見ててよ。俺って顔が広いからさ」
検問所に差し掛かる車の中で緊張が走る
「アーデンだよ宰相の。検問通るねー」
一行は検問所を無事通過しカーテスの大皿へ、
「てか本当に顔パスなんだな」
談笑しながらカーテスの大皿まで辿りついた一行
「じゃあ六神に会えたら、アーデンがよろしくって言ってたって、伝えておいてねノクティス王子」
謎の言伝を頼まれたノクティスだったが
送ってくれたアーデンにバナナの皮を餞別に渡しているグラディオを見ていたらどうでもよくなり
タイタンの居る場所をさっさと目指そうと頭の中を切り替えていた
「さてと、無事たどり着いたがどうする?」
「思いっきり帝国兵いるじゃん! ってあれ、みんなバナナ持ってこっちに手を振ってる」
「さっきグラディオが渡してたからな」
「今のうちに目的地を目指すぞ」
山道を登る一行だったがバナナの皮で足を滑らせたノクトと
それを身を挺して庇ったグラディオの二人とプロンプトとイグニスは分断されてしまった
「痛てて、グラディオ! 大丈夫か?」
ノクトは自分を庇ってくれたグラディオを気遣って声をかけるが
グラディオは気にも留めずにのんきにバナナを頬張っていた
「こんな時もバナナ食ってるのかよ……うっ、頭が」
頭痛を我慢しながら山道を登る二人
一方その頃のはぐれたイグニスとプロンプトは
「プロンプトこのバナナの皮を見ろ」
「これってもしかして、グラディオの食べたあと?」
「ああ、俺達に場所を知らせてくれているみたいだな、急いで追いかけるぞ」
そして同じ頃グラディオとノクトの二人はいがみ合っていた
バナナを食べまくるグラディオにノクトは
頭痛の種はこいつなんじゃと思って口に出そうとした瞬間
口をバナナで塞がれていた
「なんかバナナ食ってたら頭痛いのどうでもよくなってきたわ」
「てか、あれタイタンだよな」
唐突にタイタンの拳が飛んでくる
間一髪でグラディオにバナナと一緒に庇われるノクト
「お前戦闘中はバナナは置いとけよ! まあ、おかげで助かったけど」
「ノクト! 飯!」
バナナを武器召喚の要領で召喚しグラディオに渡す
さっきの山道からずっとこうなのだから余計に頭がいたい
「タイタンか? さっきから俺に喋りかけてるのは」
頭痛とタイタンとバナナと戦いながら
ノクティスはその呼びかけに答えようとしていた時
「ノクト! 大丈夫か!」
「ノクトぉ 大丈夫~?」
はぐれた二人の声も聞こえてきた
「お前ら無事だったんだな! 俺とグラディオだけじゃ防戦一方で、イグニス何か策はあるか?」
「俺がタイタンに魔法を撃つ、その隙に倒せ」
「はいよ」
タイタンの拳にブリザラが命中し動きが止まる
イグニスの魔法にタイミングよく合わせノクトはタイタンに向かって踏み込もうとするが
グラディオに止められた
「なにすんだよグラディオ! せっかくのチャンスを……」
先ほどまで凍っていたタイタン
だがタイタンは拳同士をぶつけ拳に纏わりついていた氷を砕いていた
「大丈夫かノクト! すまない、ブリザラ程度の魔法じゃ足止めにもならなかった」
「大丈夫だ、それよりイグニス連続で凍らせる事は出来るか? 今度こそ俺が突っ込んで」
ノクトの言葉を遮るようにイグニスが呟いた
「それはできない、魔法はあと一回分しか残っていない」
「まじかよ、どうすんだ」
「うわああ、拳がとんできたよぉ」
初めての六神との戦いに苦戦する一行
「イグニス!」
「どうしたグラディオ?」
「何か思いついたのか?」
おもむろにバナナを取り出し魔法を撃てと言っている
「グラディオ……今はふざけている場合じゃ、そうか! わかったぞ」
グラディオの意図に気付き バナナに向かってブリザラを撃つイグニス
「ノクト! 凍ったバナナを武器召喚しろ!」
「わかったよ、これでも喰らいやがれ! タイタン!」
グラディオの機転により作り出された冷凍バナナを武器に
タイタンに強烈な一撃を喰らわせる
凍らせたバナナは釘を打てるほどの硬さを誇るのだった
そしてタイタンの口にバナナを突っ込み無事力を認められ六神の力を得たノクト
「グラディオのおかげで助かったぜ」
「今回はすごかったねぇ、いつもバナナの事しか考えてなさそうなのに」
「グラディオ、俺達が居ない間ノクトを守りきってくれてありがとう」
仲間の賛辞を気にも留めずグラディオはタイタンとバナナ愛好の友になっていた
▲チャプター4
「六神ラムウにも認められ幸先がいいな」
「まさかバナナあげただけで、啓示パスできちゃうなんて思わなかったよぉ」
ラムウと一緒にバナナを頬張るグラディオを仲間達は温かく見守っていた
ふと空を見つめているグラディオ
「どうしたんだ? グラディオ空を見つめて」
たびたび野生動物のような行動をするグラディオであったが
空を見つめるグラディオに違和感を覚えるノクト
「あれは!」
イグニスが空に浮かぶ物体を見つけ戦慄する
「なんだよイグニス、急に大声上げて……」
「ノクト、あそこを見ろ」
イグニスに指差された方を見てみるとそこには帝国の船があった
「なんだあれ? あんなでかい船一体……」
「あれは移動要塞型の船だ。あんなものを展開されてしまったら、検問どころの騒ぎではなくなってしまう」
「やばいって~! 帝国の警備網がこれ以上きつくなったら、チョコボで散歩できなくなっちゃうよぉ」
イグニスは逡巡しノクトに移動要塞を叩く事を進言した
「チョコボはともかく、あの要塞を展開されては、オルティシエにたどり着けなくなってしまう……それに」
「それに? 何だよ、まだ何かあるのか?」
「あの方角……杞憂だといいのだが、あっちにはグラディオが贔屓にしているバナナ農園があるんだ」
「嘘だろ……」
グラディオは船の飛ぶ方角を見つめながら呟いた
「飯……」
グラディオらしからぬかすれるような声を聞いた一行は
迷わず要塞を叩く事を決めた
要塞にたどり着いた一行
そこではバナナの木を刈り基地の建設に取り掛かる帝国兵が居た
「帝国の奴ら酷い事をしやがって!」
「落ち着けノクト」
憤るノクトにイグニスは頭を冷やすにブリザドバナナを渡した
「わりぃ、でもグラディオの気持ちを考えたら……ってグラディオ?」
頭に当てて程よく解凍したバナナを
グラディオに渡そうとしたノクト達の前から忽然とグラディオは消えていた
「あいつ一人で! グラディオを追いかけねえと!」
「無茶をするなノクト! 何か策があっての行動かもしれない」
「でも! いやグラディオなら一人でも大丈夫か」
基地内にこだまする警報の音
ノクトたちは隠れながらグラディオを追いかけていた
バナナの皮を頼りに
「基地内のほとんど帝国兵はグラディオに気を取られている。その隙に俺達は手薄になった基地の主要部分を叩くぞ」
「はいはーい。りょーかい!」
「グラディオ……無茶すんなよ」
基地を無事破壊しグラディオと合流しレガリアに乗ろうとしていた一行
そこである男と遭遇する
「お前は! レイヴス!」
「ノクティス……貴様こんなところで何をしている」
「まさか帝国の将軍が建設中の基地に居るとはな」
「これってさぁ逃げたほうが、いいんじゃない?」
じわじわ間合いを詰められ逃げる機会を失う
「ここで貴様の首を持ち帰るのもいい手向けになるな」
「ノクト! 狙われてるぞ気をつけろ!」
警戒しているイグニスをかわしノクトに詰め寄るレイヴス
レイヴスの眼前に黄色い物体が飛んでくる
「王の盾か……」
間一髪グラディオがノクトとレイヴスの間に割り込み
身を挺して守る形になった
「サンキュ、グラディオ」
ノクトに一瞥し眼前のレイヴスを睨みながら
先ほど投げたバナナを拾い上げグラディオは呟く
「なんだ食わねぇのか」
「ああ……気に、食わないな。邪魔だ王の盾、それとも無能な王に付き従って身を削るか?」
「お前にはコイツのよさがわかんねえよ」
グラディオとレイヴスの気迫のこもった一騎打ちに一行は固唾を呑み見守る
「すごいよ……グラディオ帝国の将軍相手に互角だよ!」
「いや……よく見てみろプロンプト、レイヴスの左腕が義手だ」
「あ、本当だ」
「万全の状態じゃないのにグラディオと互角ってバケモンかよ」
「でもぉ、グラディオだって一人で基地の兵士相手して消耗してるから」
「ああ……だからまずいんだ、こちらはほとんど消耗しきっている」
「それに将軍が一人でこの基地に来るはずがない、増援が来たら厄介だ」
鍔迫り合いをしながら会話する両雄
「王の盾、消耗しているようだな。ノクティスを差し出すのならお前だけでも助けてやってもいいぞ」
その言葉を聞いたグラディオはほくそ笑みながらバナナの皮を差し出し
レイヴスの顔に乗せた
「舐めたマネを!」
挑発に乗ったレイヴスの隙をノクトは見逃さなかった
「グラディオ後ろに飛べ! イグニス!」
二人はブリザラを同時に両足に発射し足場を凍らせた
「こんな小細工で私が怯むはずがなかろう!」
レイヴスは凍った足場をものともせず追撃をする
「俺の事わすれてなぁい? バーン!」
レイヴスの隙にプロンプトがヘッドショットを打ち込む
「ふん気付いてるさ、かわせないとでも思ったか」
プロンプトの放った銃弾はレイヴスの頭を僅かに逸れバナナに当たっただけだった
更に踏み込むレイヴス
「ごめんノクト! かわされちゃったぁ! なぁーんてね」
凍った地面をものともせず銃までも回避したレイヴスだったが
落ちたバナナで足を滑らせてしまった
「なに! コレが狙いだったのか!」
「もう遅い、グラディオ頼んだ!」
体制を立て直そうとしたレイヴスにグラディオの一撃が決まる
「まさかノクティス一行に負けるとはな……」
己の敗北に悔しい思いを吐露するレイヴス
「いや、あんたやっぱすげえよ」
「そうだね~俺達四人を、ここまで追い込んだんだからねぇ」
「ノクト、車の準備が出来た。そろそろ行くぞ」
勝利の美酒ならぬバナナを頬張るグラディオ
その姿は勇ましかった
「じゃあなレイヴス! 俺にルーナの事は任せて休んでな」
「ノクト! お前には【まだ】ルーナはやらんぞ」
基地から過ぎ去るノクティス一行の車を見送りながらレイヴスはひとりごちた
「あいつらが居るのなら安心だな。ノクティス……ルーナを頼んだぞ」
▲チャプター5
キャンプ場にて
「ルーナはオルティシエに居るのか。あとリヴァイアサンも」
「そうだ、だがオルティシエに渡るには船が必要になる。どこかで調達しないと」
ノクトとイグニスが次の目的地への行き方を考えているのをよそに
グラディオは一人バナナで遊んでいた
「ねーねー。たまにはキングスナイトでもしてあそぼーよぉ」
一人で遊んでいるグラディオにプロンプトがスマホゲーで遊ばないかと誘う
そんな二人をみてノクトもスマホをポチポチしながら近付く
「皆で久しぶりにやるか! イグニスもどうだ?」
しょうがないなという顔でイグニスも遊びの輪に入る
「どうしたグラディオ? バナナ型のスマホで遊んでたんじゃないのか?」
「グラディオってほんっと好きだよねぇバナナ」
「お? 何だよグラディオ、メールなんて送ってきて直接言えよ」
ノクトのスマホにグラディオからのメールが届く
「なになにー? って俺のにも着てるぅ~」
「グラディオ? ご飯ならさっき食べさせたはずだが……」
他の二人にもグラディオからメールが来ているようだ
「ボートの件は任せてくれって? グラディオ、何かアテがあるのか?」
仲間からの問いかけにうなずくグラディオ
「っておい! 急にどこに行くんだよ」
「まずいな、まだ外は夜だ、いくらグラディオでも危険だぞ」
唐突に走り出し闇夜に消えていったグラディオ
「あいつを信じて待つしかないか」
「俺寝るわ、おやすみ」
「ノクトぉ一緒に寝よ~」
「あ、やっぱ散歩するわ」
一人テントの外で星を見るノクト
「なんか最近夜の方がなげえ気がするな……」
翌朝外が騒がしく起きる三人
「なに~朝っぱらからぁ? ってグラディオ!」
「グラディオ帰ってたのか……って何だそのバナナ」
「まさかとは思うが、昨日言っていたボートとはそのバナナボートの事か?」
バナナボートを海に浮かべるグラディオ
その表情はバナナ以上に浮かれていた
「まさかこれでオルティシエまで行くのか?」
「というかぁこれでたどり着けるのぉ?」
「かなり危険な旅になるぞ。ノクトどうする?」
「腹くくるしかないだろ……」
グラディオは話も聞かずバナナボートに一行を乗せてオルティシエに旅立った
「うわ~死ぬかと思ったぁ」
「途中で魔物に襲われた時は正直漏らしたわ」
「ノクトその歳でおもらしぃ~?」
「やっぱつれぇわ」
弱音を漏らしながらも辿りついた一行
バナナボートでアコルドへの入国は前代未聞なので途中捕まりそうになるも
イグニスが機転を利かし無事通過
「これからどうすんだ?」
「やっぱ観光でしょ~。なんたってオルティシエだよ! 水の都!」
「浮かれるなプロンプト。今俺達はルナフレーナ様を探し、六神リヴァイアサンの啓示に挑まなければならない。観光している余裕は……」
仲間をたしなめようとしていたイグニスだったがレストランのメニューに心を奪われていた
「イグニス? 何か新しいレシピでも思いついたのか?」
「ノクト……先に言わないでくれ」
微妙に観光しながら一行はアコルド政府首脳との会談にこぎつけた
「ノクト、この首脳会談で政府にリヴァイアサンとの啓示の許可を貰ってきてくれ」
「がんばってね~ノクト!」
見送るイグニスとプロンプトだったがグラディオだけは何故か付いてきていた
「おいグラディオ、護衛は大丈夫だから外で待ってろ……って先に扉開けるなよ!」
扉を開けるとそこにアコルド首相カメリアが居た
「あら? 貴方がノクティス王子?」
勝手に突き進むグラディオから少し遅れて部屋に入るノクト
「おい! グラディオ勝手に入って……今から大事な会談なんだぞ」
部屋に入るやいなや置いてあったバナナを勝手に食べ始めるグラディオ
「わりぃ、こいつバナナが大好物なんだ。あとで弁償するから……」
突然のバナナを頬張る大男に首相は笑いを堪えるのも忘れ笑顔になる
「ノクティス王子もなかなか、面白い男を飼ってるじゃない」
「ああ、グラディオにはいつも助けてもらってるよ」
「グラディオって言うのねその人。彼が噂の王の盾かしら?」
王の盾というフレーズに笑顔で返すバナナを頬張った大男
「どーも、さっそくだけど」
「待って。貴方の盾、見てるだけで面白いから……もうちょっと見ましょう」
そして会談は何故かスムーズに事が運び無事成功した
後にこの会談はバナナ会談と呼ばれることになる
「じゃあ市民を避難させて、それから儀式を開始してちょうだい」
「ああ、避難は俺達も手伝う。帝国の奴らが邪魔してきたら……」
「邪魔させないように政治というのはあるのよ。ノクティス王子」
なんか首相っぽい事を言いながらもその目線はバナナ男に釘付けのカメリア首相
「バナナ全部食べやがったのかよ……」
「ノクティス王子」
「何だよ」
「あなたもレギスみたいに苦労が絶えないわね」
「どういう意味だ?」
「実はレギスと昔話し合いをした時も、バナナを食べてる護衛が居てね」
首相との会談を終わらせるとあたりは真っ暗になっていた
老人の昔話は長いと思ったノクティスだった
▲チャプター6
儀式の日朝
「ルーナが演説するってのは本当か?」
「ああ、その演説で避難も促すらしい」
「なになに~? ノクトぉ久しぶりに会えるからって顔にやけてるじゃん」
「にやけててわりぃかよ!」
「というかグラディオもにやけてないか」
三人がグラディオに視線を集めるとバナナ片手ににやけているグラディオが居た
「あいつ首相に気に入られて、おみやげにバナナ貰ってたんだよ」
「え~、おみやげもらえるのなら俺も行けばよかったぁ」
「やめとけ。長話につき合わされるだけだぞ」
「そういえば会談が長引いていたが、そういう事だったのか」
朝食を終え一行は長い儀式へと歩み始める
「じゃあ避難の準備はお前らに任せるわ」
「ああ、任せておけ」
「ノクトも儀式頑張ってね!」
一人返事が無かったが気にせずノクトは演説会場へと足を運んだ
「すげぇ人だな……ルーナ」
演説に集まった大勢の人たちを見てノクトは少し誇らしげだった
「ちょっと通してくれ。わりぃ……」
ルーナが良く見えるところに行こうとし前に進むノクトだったが
途中ピンクのシャツの男にぶつかってしまう
「あんたノク……がんばれよ」
「……ああ、ありがとな」
何故かピンク男にエールを送られるノクトだった
そうこうしてるうちにルナフレーナの演説が始まった
「世界は星の病により闇に包まれようとしています。日照時間の減少、カーテスの大皿での大地震、そしてここオルティシエでの水害」
演説は鋭い切り口で始まった
「これらは皆、六神による我々への警告であると考えられます」
ルナフレーナの演説に市民は真剣に聞き入ってる
「ですが私達神凪は闇を払い世界に平和をもたらす術を知っています」
市民が固唾を呑む
「そう……それが啓示の儀式です。皆さんには儀式の準備に伴い、街の高台へ避難をしていただきます」
避難という言葉にどよめく市民だったが
ピンク色の服を着た男が先陣を切り ルナフレーナにエールを送っていた
「世界を救ってください! 神凪様!」
突然真横からの大声でノクティスは少したじろぐ
そのピンク男につられるかのように市民はみなルナフレーナを応援していた
「ありがとうございます。必ず儀式を成功させ、私達の星イオスを救います!」
そう締めくくり一瞥をしたルナフレーナ
その時ノクトはルーナと目があった気がした
そして何故か横に居るピンクの男が話しかけてきた
その頃仲間達は市民の誘導をしていた
「プロンプト聞こえるか?」
「はいはーい! 感度良好!」
「グラディオはどうだ?」
「イグニス! 帰ったら飯!」
イグニスは半ば呆れつつも晩御飯に先ほど思いついたバナナステーキを約束した
「予定通り市民の避難は順調だ。終わり次第ノクトに加勢してやってくれ」
「おっけー! でもリヴァイアサン相手に俺らで出来る事って少なくない?」
「確かに六神相手に3人で出来る事は限られている。しかし何も無いよりはマシだろう」
突如無線にノイズが走る
「グラディオ? 聞こえてる?」
「返事をしろ!」
そのノイズはグラディオの無線からだった
「まずいな……プロンプトグラディオの様子を見てきてくれ」
「いいよ~。今俺の方の避難誘導終わったところだし」
その頃グラディオは儀式の違和感に気付き
大急ぎで祭壇へと向かっていた
ピンクの男に道を教えられ祭壇へ辿りついたノクト
「ここが祭壇か? ルーナは……」
「ノクティス様? なぜ祭壇に?」
「ルーナ! よかった儀式に間に合った」
「ノクティス様。今から儀式を開始し、リヴァイアサンの啓示を始めます」
「ああ、儀式が始まったら俺は六神の力を借りて戦う。ルーナは俺の側から離れるなよ」
神凪の儀式が始まりリヴァイアサンが現れる
しかしリヴァイアサンは怒りでこちらの言う事に聞く耳を持たない
次の瞬間リヴァイアサンが起こした高波がノクト達の居る祭壇へと押し寄せていた
「タイタン! ラムウ! 力を貸してくれ!」
相手がその気なら戦うしかない
これはタイタンの時の啓示と同じだ
召喚した六神の力を借りリヴァイアサンと戦うノクト
「ノクティス様……立派になられましたね」
「ルーナこそ、すげえきれーになってるっつーか」
【おい小僧なにをのろけている】
「わりい! さっさと儀式終わらせて飯でも食おうぜ!」
ラムウから叱られたがリヴァイアサンとの戦いは終始有利に進んでいた
「タイタン! リヴァイアサンの体を押さえてろ!」
若き王の声に応えるタイタンそしてラムウ
「ラムウ! 俺の剣に雷の力を付けてくれ!」
ラムウとタイタンの二柱は若き王へ力を貸す
「これで終わりだ!」
ノクトは雷の力を纏いリヴァイアサンを一刀両断する
儀式は終わり荒れ狂う海も静まろうとしていた
「大丈夫ですかノクティス様」
「ありがとな。ルーナこそ怪我してないか?」
「ええ、私は大丈夫です。ノクティス様が守ってくれましたから」
のろけをはじめる二人にラムウがコホンと咳払いをした
「ありがとな爺さん、あとタイタンも」
【なに、可愛い女子を守るために力を貸しただけじゃ。うぬぼれるなよ小僧】
【オウウオオウウオ!!】
タイタンがなにを言ってるのかまったくわからなかったノクトだった
【小僧、儀式は終わったが何やら不穏な気配が漂っているぞ。気を抜くなよ】
ラムウが去り際に不穏な言葉を残しながら去って行った
その言葉に不安がよぎるノクト
その直後だった
「呼ばれて飛び出て」
「アーデン! 何しに来た?」
「ノクティス様? この方は?」
「はじめましてだね神凪さま、アーデン・イズニアだよ覚えてね」
アーデンの明らかに悪意のある表情、帝国の船に囲まれて身動きがとれない事から
ノクトは本能的にここは危険だと察知した
「ルーナ! 俺から離れるなよ!」
「なーに熱い所みせつけちゃってくれんの。いいねえ……引き裂いたらどんな顔するのか見てみたいよ」
ナイフ片手にじわじわ詰め寄るアーデン
武器召喚をしルナフレーナを庇いながら戦うノクティス
「六神と遊んだ後だってのに、元気だねえノクティス」
「うるせえ、ついでだ お前も海に沈めてやるよ」
「できるかな? 満身創痍のその身体で」
同時に二体も六神を召喚したノクトの体力は限界を迎えていた
「粘るねえ、お姫様の目の前じゃ王子様は、かっこ悪いところみせられないか」
「アーデン! お前こそ口だけじゃねえか ビビってんのか?」
両者が鍔迫り合いをしながら言葉を交わす
突如二人を見守っていたルナフレーナがアーデンの腕に触れた
「やはり貴方は星の病におかされていますね」
「ルーナ! 危ないから下がって……」
突如ルーナに触れられたアーデンが苦しみ始める
「神凪の力ってのは……怖いもんだねえ」
「まさか貴方は……星の病そのもの?」
「やっぱりここで始末しないとねえ? イフリート!!」
そう叫んだアーデンに応えるかのように炎を纏った巨人が現れた
六神の一柱イフリート
「あんなの相手に出来るか! 力を貸してくれリヴァイアサン!」
ほとんど体力の残ってないノクトだったが気力を振り絞り リヴァイアサンを召喚する
召喚された両雄がにらみ合う
「へえ、まだそんな力残ってたんだ、愛の力ってのはすごいねえ」
「さっさと終わらせてやる!」
無理にリヴァイアサンを召喚をしたことで先ほどよりも体力が奪われたノクトは
少しずつ劣勢にたたされていた
「あらら……お姫様の方、がらあきだよ王子様」
「ルーナ!!!」
咄嗟にルーナを庇うノクト
「ノクティス様!」
「なーにかっこつけちゃってんのノクティス」
「うっせえ、ルーナ……リヴァイアサンに乗って逃げろ」
「逃がすわけ無いでしょ。これで止めだよ」
振りかざされるアーデンの凶刃
だがそれは何者かに阻まれる
「おせえよ……グラディオ」
▽エピソードグラディオ
時は少々遡り
避難指示をピンクの服の男に任せ祭壇へと向かうグラディオ
祭壇は海の上 海を渡るしかない
だが海上には帝国兵が待ち構えていた
「グラディオ! だいじょうぶ? 無線応答しなくなったから心配でさ」
プロンプトがちょうどいいタイミングで現れた
「え? 何? 海上をボートで渡りたいから敵のかく乱をしろって事?」
うなずくグラディオにプロンプトは笑いながら快諾する
「ノクトが心配なんだね。あ、これさっき落ちてた奴だけどバナナあげる」
仲間の気遣いにグラディオはおたけびをあげそうになったが我慢した
「じゃあ一二の三でいくよ~。いちにの……えっイグニス?」
無線から聞こえたのはイグニスからの通信だった
内容はこうだ、バナナボートで祭壇に向かってるとの事
「グラディオ! イグニスも祭壇に向かってるみたい! 合流しよう」
無事合流しボートに乗り三人は祭壇に向かう
「イグニスもノクトが心配なわけ~?」
「あいつは無茶をするからな……」
「あ! あそこにタイタンが居る! もうノクト戦ってるよ」
「ああ、六神の力を借りてリヴァイアサンと対峙しているようだな」
「なぁーんだ俺達出番無いかもね」
ボートで談笑をしながら祭壇に向かう三人
突如ボートに向かって銃弾が飛んできた
「おやおや、そこに居るのはいつぞやの軍師ではありませんか」
「帝国の追っ手か!」
「ちょ! どうするのイグニス。祭壇に付く前にバナナボート沈んじゃうって!」
「落ち着けプロンプト! ボートはまだ動く」
銃の雨に晒されながら三人は海を渡る
グラディオはボートを銃弾から守り奮戦している
「そんな小手先の抵抗いつまでもつんでしょうねえ? さっさとあきらめれば楽に殺して差し上げるのに」
緩まる事の無い敵の将軍からの攻撃をかわしながら
イグニスは敵の船の構造を見抜きプロンプトに指示を出した
「プロンプト相手の船のエンジンを狙撃できそうか?」
「エンジンか~やってみるよ!」
プロンプトが放った銃弾は相手の船のエンジンを射抜く
「なにぃぃぃぃぃいい? 出力が低下して追えないだとおお?」
逃げ切れる そう確信した三人たちだったが
ここにきてバナナボートにも限界が来ていた
思えばオルティシエに向かう長旅につぐ長旅
無茶な運転に耐え転覆しなかっただけでも奇跡に近い
「船はもうダメだ。ココからなら泳いで祭壇までいけるはずだ」
「おっけー。船から下りて泳ぎますか……ってイグニス?」
バナナボートから敵の船に乗り移るイグニス
「行くのはプロンプトとグラディオだ。俺はここでこいつらを食い止める」
「ちょっと、俺も手伝うって! 敵連れてノクトの所に行っても邪魔になるからね」
プロンプトも敵の船に乗り込み加勢する
「こんな敵一人で十分なんだがな。泳ぐのが面倒になったか?」
「それもあるけど~。イグニス一人にしたら無茶しそうじゃん?」
笑みをこぼしながら敵船で戦う二人
グラディオは動けなくなったバナナボートに優しく触れ
別れを惜しみながら仲間を背に祭壇へと泳いでいった
▲チャプター7
「おせえよ……グラディオ」
間一髪でグラディオがアーデンを真っ二つにしながらノクトとアーデンの間に入る
「このタイミングで王の盾のお出ましってわけか」
身体を半分に切られても平然としているアーデンだったが
グラディオの登場には少し驚いた素振りを見せる
そんな中ノクトは辛うじて意識を保っていた
「ノクト! 飯!」
「ははっ。こんな時にバナナかよ……」
「ノクティス様! ノクティス様!」
最後の力を振り絞りグラディオにバナナを渡し意識を失うノクト
託されたバナナを頬張りながらグラディオはアーデンと対峙する
「君とは正直言うとやり辛いんだよねえ。そうだ、よかったら俺の盾にならない?」
勧誘を始めるアーデンに無言で切りかかるグラディオ
「ははは、無視されちゃった」
バナナを頬張るグラディオに言葉はいらない
ただ王の眼前の敵を排除するそれだけだった
「部下に身体張らせて、寝ちゃってる王なんて守る価値ある? 君が傷付くだけ損するよ」
王への侮辱と挑発に耐えるグラディオだったが
「バナナなんか咥えちゃってさあ……ゴリラみたいだよ君」
その一言にグラディオは自我を失う
▽
グラディオに遅れて祭壇へ辿りつくイグニスとプロンプト
途中レイヴスの助けがあり泳がずに済んでプロンプトは嬉しそうだった
「ノクト! 無事か!」
「ルナフレーナ! 無事でよかった……」
「兄さん私は大丈夫ですそれより、ノクティス様の意識が無くて……」
「ノクトぉ! あ、ルナフレーナ様! 無事でよかったぁ」
妹に膝枕をされ眠っているノクティスを見て
レイヴスはノクトに切りかかろうとしていた
「ちょっとぉ落ち着いてって! ノクトも起きて! 寝たかったら俺の膝貸すから!」
「ちょっとまて、グラディオが居ないぞ」
「グラディオラスさんは……アーデンに連れて行かれました」
▲チャプター8
帝国内ジグナタス要塞
グラディオは目覚めると檻の中に居た
「やっほーお目覚めかな? 王の盾くん」
目の前には寝起きに見るには最悪の顔が居た
「そんな怖い顔しないでよ、今出してあげるから……」
カギをあけ檻の扉が開く
アーデンに襲い掛かろうかと思ったがバナナがない事に気付く
「ああ、君の持ち物は全部預からせてもらったから。それよりいい物あるからついてきなよ……特製バナナ」
まるで心を見透かされてるようで気味の悪い男だと思った
「帝国では色んな動物植物を使って実験してるんだよねえ。このバナナも暇つぶしで作ったんだけど、気に入ってくれるとうれしいなあ」
手渡されたのはバナナではあったが苗だった
「まだ実がついてないからねえ。不満かい?」
グラディオはアーデンには人の神経を逆なでする才能があると感心した
「まあゆっくりしてってよ。もてなすからさ」
▽
一方その頃ノクトはレイヴスの飛行船で目を覚ましていた
「ルーナ!!」
開口一番ルナフレーナを呼ぶノクティスを見て苦虫を噛み潰したような顔をするレイヴス
「起きたか、ノクティス……安心しろルナフレーナならテネブラエに居る」
「オルティシエじゃないのか。ここはどこだ?」
「今は飛行船を使いジグナタス要塞に向かっているところだ」
「つか何で薬指に指輪があるんだ?」
ノクトが不思議そうにしているとレイヴスは何故か切れそうな顔をしていた
レイヴスから事情を聞いていると扉が開きイグニスとプロンプトが顔を見せた
「ノクト! 目覚めたのか良かった……」
「ノクトぉ! 目覚めないかと心配したよ……よかったぁ」
抱きつくプロンプトを少し鬱陶しいと思ったが
仲間が流す涙をみて野暮な突っ込みはしないことにした
「そういやグラディオは?」
ベッドの上から周りを見渡すが居るはずの仲間が居なかった
「俺から説明する」
説明をかってでたイグニスは辛そうな表情をしながらノクトに事情を話した
「グラディオが俺を庇って捕まった!?」
驚くノクトにイグニスは説明を続ける
「ああ、俺達もその場に居たわけじゃないから詳しくはわからない。ただこれはルナフレーナ様の証言だ」
「ルーナが……」
「あの状況でどうやって宰相が退いたのかはわからないが、アーデンの事だ何か裏があるかもしれない」
「裏って何だよ」
怪訝な顔をするノクト
「例えばさぁグラディオを人質に俺達をおびき寄せるとか!」
「人質だと、ふざけんな! グラディオを助けに行くぞ!」
「ノクトそう熱くなるな。実はもうグラディオが囚われているジグナタス要塞に着いている」
「何で簡単に帝国に忍び込めてんだよ」
レイヴスが口を開く
「実は帝国内も一枚岩では無くてな、反乱が起きたと言うのが正しいか」
「反乱?」
「前々から帝国を牛耳るアーデンに対して不満がある人間が多くてな」
「なるほど、反アーデンってわけか」
レイヴスから帝国の現状と要塞の説明を受ける
「反乱の鎮圧のため要塞は今ほとんどの兵士が出払ってるはずだ」
「さっさとグラディオ助けに行くか、送ってくれてありがとなレイヴス」
「ふん……妹を命がけで守ってくれた礼だ、無茶をするなよノクト」
要塞にたどり着き内部に侵入する一行
「どうする迷路みたいだよぉここ、それにやっぱりここ気味が悪いよぉ……」
大げさに気味悪がるプロンプトが若干気持ち悪いと思いつつも励ますノクト
「どうするも何も探すしかないだろ、そんなに怖けりゃ俺の後ろについて来い」
「ノクトただ闇雲に探しても埒が明かないぞ。アーデンの事だ、もう俺達が侵入してるのは計算済みだろうな……気を抜くなよ」
イグニスの小言にわかってるよと頭をかきながらも
普段通り接してくれている仲間に心の中で感謝しながら要塞内を進む
「というかレイヴス付いてきてるんだな」
一行の後ろから着いて来るレイヴス
「ああ、俺が頼んだ。俺達はここの地理はさっぱりだからな、ついてきて貰ったんだ」
イグニスが先ほど船の中で要塞の案内と助っ人を頼んだと説明する
「そういうわけだ、案内をしてやる。貸しだぞノクト」
傲慢な笑みに見えるが少し優しげな表情でノクトを見つめるレイヴス
「わかったよ、案内頼むわ」
迷う一行
「ねぇここさっきも通らなかったぁ?」
「この道であってるはずなんだが……」
先ほどまでの勢いはどこかへ行ったレイヴス
「おい、さっき案内するとか言ってたのに何迷ってんだよ」
「ここは要塞だからな迷うのは当然だ」
「開き直りやがって」
いがみ合うノクトとレイヴスをプロンプトが仲裁しようと近付こうとし何かを発見する
「もー二人共落ち着いてよぉ。あ、なんかスイッチ発見! ポチー」
プロンプトが【偶然】押したスイッチはエレベーターのスイッチだった
「お! ナイスプロンプト!」
「確かこのエレベーターは管理室に繋がっているはずだ」
見覚えのあるエレベーターにレイヴスは意気揚々と乗り込む
「管理室か……グラディオが居る場所がわかるかもしれないな」
管理等にたどり着くと
そこには無数の画面には沢山のグラディオが映し出されていた
「何これ! グラディオがいっぱいじゃん」
「カメラを操作は出来ないのか?」
「ダメだアクセスできなくなっている、恐らくアーデンの仕業だろう」
一行が画面に気を取られていた次の瞬間
部屋の中に大量の敵がなだれ込み瞬く間に一行を取り囲んだ
「ノクトぉ! 敵がいっぱいきちゃったよ!」
「すげえ敵の数だな」
敵に囲まれるも指輪の力を得ていたノクトにとっては
肩慣らし程度に倒していく
「グラディオ……待ってろ今行くからな!」
▽
一方グラディオはアーデンと散歩をしていた
「へえ、君がバナナ好きなのはそういう理由があったからなのか」
世間話をしながら要塞内をあるく二人
「じゃあ俺ともお近づきの印にバナナ食べあおうよ」
そもそも帝国にはバナナが無いだろと一蹴し先をあるく
「確かに、この日照不足に加え星の病だからね。バナナ作る余裕なんて無いって」
先を歩こうとしていたグラディオに追いつき顔をひょいと覗かせるアーデン
「でも俺のプレゼントしたそのバナナの苗、暗闇でも育つよ」
それはにわかに信じられない言葉だった
「そうそう、君を助けにノクティス達ココにきてるよ」
仲間達のその行動にはグラディオは特に驚かなかった
▽クリスタルの間
「そうそうこれを君に見せたかったんだ」
クリスタルを見せ喜ぶアーデン
「そう君たちの国から奪ったクリスタル。これがどういうものか知ってるかい?」
突如グラディオは隠し持っていたバナナをクリスタルに投げつけた
「何をやってるんだい? そんな事をしてもクリスタルは……」
アーデンは目を疑った先ほどまで側に居たはずのグラディオがどこにもいないのだった
「何処に消えた……まさかクリスタルの中か?」
クリスタルに近付くアーデン
「選ばれし王以外がクリスタルに触れても意味が無いのにね……」
クリスタルを悲しそうに見つめるアーデン
「自滅を選ぶなんて、もう少し利口な盾だと思ったに興ざめだよ」
「グラディオ!!」
クリスタルの間に突入するノクティス達
「ざーんねん。ちょっと遅かったみたいだよノクティス王子」
「アーデンてめぇ!」
勢いよくアーデンに切りかかるも刃は空を切るだけだった
「無駄だよ。クリスタルに選ばれてない王様じゃあ、俺を倒す事なんて不可能あきらめて寝たら?」
クリスタルを背にアーデンと向き合うノクト
「ノクトぉ! だいじょうぶ?」
クリスタルの間の扉付近では仲間達が帝国の作り出した兵器【シガイ】を相手に戦っている
「クリスタル……」
ノクトが触れようとすると光り輝き始める
▽クリスタル内部
「んだ? ここは」
グラディオは困惑していた
まさかバナナをクリスタルに投げつけるだけで
クリスタルの中に飛ばされるとは思わなかった
【貴様は、選ばれし王ではないな。立ち去れ】
黒き巨大な剣を携えた巨人がグラディオを威圧している
「何だ? おめえ何様だよ」
【愚かな人間よ、我が名はバハムート。六神の長だ】
六神バハムートと名乗るその巨人に対しグラディオは怯むことなく威圧し返す
「へえ、六神かちょうどいいノクトに力貸せ」
【ノクティス王か? 確かにアレは選ばれし王だ。だが、力を貸すかは貴様が決める事ではない】
「六神てのも器がちいせえな」
【貴様死にたいらしいな】
その瞬間バハムートの翼から解き放たれた剣がグラディオを襲う
だがそれを全て見切りバハムートの口にバナナを差し込む
「これが六神? こんな奴の力借りなくてもいいな。俺のほうが強いぜ?」
一瞬で決着がつき己が敗北した事に驚きを隠せないバハムート
【貴様……ただの人間ではないな。名を言え】
「ああ名前? 俺はそうだな……王の盾だ」
▽
クリスタルが輝きノクトの目の前にグラディオが現れる
「グラディオ! 大丈夫か」
「ノクト! 何俺を心配してんだよ。心配なんておめえには十年はええよ」
クリスタルから登場したグラディオにアーデンは驚愕する
「クリスタルから出てこれただと?」
「ノクト! アイツをクリスタルにぶち込むぞ」
「はあ? 何でだよ!」
「いいからやるぞ!」
驚愕するアーデンをクリスタルに入れようとするが
ノクトが今度はクリスタルに吸い込まれる
▽クリスタル内部
【また来客か……今日は忙しいな】
「いてて、どこだここ?」
【お前がノクティスか。先ほどお前の盾を名乗る男に打ち負かされたよ】
目の前には見上げるほどの巨大な剣を携えながら小さいバナナを頬張るバハムート
眼前のバハムートにノクトは苦笑いするしかなかったが
だが今はそんな苦笑している場合ではなかった
「早くここからでねえと仲間が」
【そうか……本来貴様には真の王になってもらうため、10年間このクリスタルで眠ってもらうのだが】
「んなに待てるか!」
【だが今の貴様ではアーデンに勝てまい】
「わかってる……そんな事」
【10年間眠り星に命を捧げ星の病を晴らす、それがお前の運命だ】
「それで星が……皆が救われるんだな?」
【ああ、そうだ】
覚悟を決めようとするノクトの前に
アーデンの首根っこを掴みながらグラディオが現れる
「おいバハムート! てめえ王に向かって何だその口の利きかたは」
「いてて、王の盾くん? ちょっと引っ張ったら流石に痛いって」
グラディオの登場にノクトは思わず笑顔になる
「おいノクト! こんな奴の言う事聞かなくても、こいつを倒してやるよ!」
「ははは勇ましいねえ、降参しちゃうかもって……なんでクリスタルの中?」
「グラディオ! お前こそ王に対する態度じゃねえだろ」
頼もしい信頼する盾に憎まれ口を叩くノクト
【王の盾……なぜまたクリスタルに入って来た?】
「おめえの力を借りに来たんだよ!」
【力を貸す義理など……いや、あるか。先ほどのバナナ美味であったぞ】
バハムートにウィンクするグラディオ
「なあに六神と仲良しこよししちゃってるの」
「案外話せばわかる奴だぜ?」
「へえ……面白いねえノクティスの周りに居る奴は」
なぜかアーデンは酷く悲しそうな顔をしていた
【ノクティスよ良く聞け、10年の時を待たなくても力を手に入れる方法はある】
「なに? 本当か」
【だがそれは歴代王との対話だ。武器を集め力を認められなければならない……道は険しいができるか?】
「ああ、やってやるよ」
決心したノクトにアーデンはささやく
「なに勝手に話し進めちゃってんのよ。本気で歴代の王と対話できるとか思ってる?」
揺さぶりをかけるアーデンにグラディオは一笑する
「アーデン、お前にノクトの良さはわかんねえだろうな」
ノクティスはこれから進むであろう苦難の道も
グラディオや仲間がいるその道を一緒に進める事に喜びを隠せなかった
「というかここからどうやって出るんだ?」
【お前の仲間が外で待ってるだろう。そのもの達の声に耳を傾けろ】
「サンキュ」
クリスタルから脱出の方法を聞き駆け出すノクト
「ノクトォ!!! 逃げる気か?」
「うっせーよ、俺がお前と戦うには10年はえーんだよ」
【星の病に冒された者よ、ここでおとなしくしててもらおうか】
アーデンの足止めをするバハムート
【ノクティスよ貴様が対話するまでの時間を稼いでやろう】
「わりい!」
ノクトへの追撃をバハムートに阻まれたアーデンはクリスタルの中でたたずんでいた
「驚いたねえ……六神の中でもプライドだけ高いって有名なバハムートが人間に手を貸すなんてねえ?」
【ノクトに付きまとうのは王になれなかった腹いせか?】
一瞬表情に影を落とすがすぐさまほくそ笑むアーデン
「俺にとっちゃあ王なんてどうでもいいのよ。ただルシス王家に復讐できればそれで」
【貴様歪んでいるな……それが成れの果てか】
「バハムート……あんたこそ歪められちゃってんじゃないの。さっきからなにバナナ食いながら話してんの?」
【これは美味だぞ。貴様もどうだ? しばらくはここから出れない、もちろん出す気も無いぞ】
「へぇ……じゃあお言葉に甘えて!」
アーデンは口元を歪ませながら王家に連なるものしか使えない極上の武器召喚
ファントムソードを使いバハムートに襲い掛かる
【無駄な事を……】
クリスタルの外
「ノクト!無事だったか」
「もぉーひやひやさせないでよね~」
「みんなわりい」
クリスタルから無事脱出し仲間との再会に喜ぶノクト
「グラディオもクリスタルに入っていたのか」
「えぇ? あの中って誰でもはいれんの~?」
「んなわけねえだろ、グラディオは命がけで着てくれたんだよ」
遠巻きに見守っていたレイヴスが問いかける
「これからどうするんだノクティス」
「歴代の王と対話してくるわ」
「ノクトどういう事だ?」
クリスタルの中で起きた事を説明するノクト
「なるほど、途方も無い作業だな」
「帰ったら歴代王の墓参りでもするかな」
「歴代王って確か……ノクトのお父さん含めて113人だよね」
「一日一人でも一年もありゃ楽勝だな!」
▲チャプター9
十年後インソムニア城内部の玉座
「ノクトぉ、後はお父さんとの対話だけ?」
「ああ、ずっと親父にはこの十年間を見守ってもらってたからな。すぐ終わらすさ」
父王の剣に触れ王家の力、ファントムソードを展開するノクト
父の剣は応えてくれたようだ
「イグニス!アーデンを封印しているクリスタルは城まで持ってきてたんだよな」
イグニスにクリスタルの現状を確認をする
「ああ、それで問題ない。今日が運命の日か……思えば10年で世界は大きく変わってしまったな」
天を見上げるノクト
「もう朝だというのに真っ暗だな。バナナ以外の作物はロクに育たず、王都の外は魔物やシガイも多い。王都は結界を貼り、市民はみな安全に暮らせているのがせめてもの救いか」
結界を貼り続けてる副作用かノクトは少しやつれている
この10年で帝国と和平を結び長かった戦争は終わっている
だがこうして国同士が平和になっても星は刻一刻と死に近付いている
暗い顔をしているノクトをプロンプトが励ます
「星ごと全部救っちゃうんでしょノクトは」
プロンプトの陽気な声に笑顔で応えるノクト
「ここでアーデンを倒し星を病から救う。皆ついてきてくれ」
決意を固めた顔をするノクトに仲間達は王への忠義で答える
一行はクリスタルの間にたどり着く
「グラディオ バナナうめえか?」
10年経っても相変わらず緊張する場面でバナナを頬張るグラディオに
ノクト笑いながらは問いかける
「ああ、うめえよ。お前らと一緒に食うバナナは最高だな」
屈託の無い笑顔に幾度救われただろうか
ノクトはその笑顔に応えるべく気を引き締めていた
「十年たってもクリスタルは変わらないな」
ノクトは久しぶりに見るクリスタルに少し懐かしくも思いながら触れる
次の瞬間一行はクリスタルに導かれクリスタル内部へと辿りつく
▲チャプター10
「ひさしぶりだねえノクティス……ようやく俺と戦えるぐらいに成長したのかな?」
【遅い、約束どおり時間は稼いでやったぞノクティス】
クリスタルの中では今も戦い続けていたアーデンとバハムートが居た
「待たせたなアーデン。望みどおり戦ってやるよ」
「たいした自信だねえ楽には殺してあげないよっと。イフリート! バハムートの相手をしていろ」
アーデンはイフリートを召喚をしバハムートと対峙させる
しかしノクトはバハムートに休んでろと言わんばかりに両者の間に入る
「バハムート……十年間一人でありがとな! ゆっくり休んでろ!」
【ふふ……限界なのがばれておったか】
バハムートは消えノクトの眼前にはアーデンとイフリートが居た
「へえ、バハムートあれで限界だったの。もう少し遊んでもらえると思ってたのになあ」
少し残念がるアーデンだったが
「ノクト! 本命の登場で十年ぶりに俺はうずうずしてるんだよ。早く殺りたいってね」
お互いファントムソードを展開したノクトとアーデン
両雄は人間の認識できる速度を超える戦いを繰り広げていた
▽
「アーデンはノクトに任せよう、俺達はイフリートの相手をするぞ」
イグニスはプロンプトとグラディオにそう伝えイフリートと対峙していた
「プロンプト! 相手は炎を司る六神だ、氷で攻めるぞ!」
連続したブリザガでイフリートにダメージを与えるイグニス
「りょーかい! これでもくらえ!」
プロンプトは得意のマシナリーで相手の体力をジワジワと削っていた
「グラディオ? 何をしている!」
イグニスは驚いた
グラディオは手に持ったバナナをイフリートに近付け
焼きバナナを作り食べていたのだ
「あいつもレシピを思いつくのか。負けてられないな」
謎の張り合いをみせるイグニス達
▽
光速を超えるスピードで戦うノクトとアーデン
「へえ……十年でずいぶん強くなったんだねえノクト」
「俺だけじゃない」
眼下でイフリートと激戦を繰り広げる仲間を見つめるノクト
「確かに君たちすごくつよくなってるねえ、でもそれだけで俺に勝てると本気で思ってるのかな」
ファントムソードを携えた両者がぶつかり合う
目まぐるしい剣戟に火花が飛び金属音が鳴り響く
次の瞬間アーデンにノクトの一撃が決まる
「あまっちょろいガキだった王子に、ここまでやられるなんてね……」
「それは王子だった頃だろ?」
「自分は王様になれたって言いたいのか! ガキが!」
じわじわとアーデンを追い詰めるノクト
同じ武器を使う者同士のはずがここまで差がでるのは
ひとえにノクトと歴代王が対話し力を得た結果であろう
「ははは、俺も無様だねえ……とどめ差しなよノクト」
力尽き床に倒れこむアーデン
同じ頃イフリートに凍ったバナナをイフリートの胃袋に詰め込み
勝負を決めたグラディオ達
「さてと、ノクトの応援でも行きますか~」
「いや……その必要はなさそうだな。あれを見ろ」
ノクトとアーデンの戦いはノクトの勝利で終結していた
駆け寄る仲間達
「ノクトぉ! 無事に勝ったみたいだね!」
「あぁ、お前らもイフリートに勝ったみたいだな」
「それよりノクト、アーデンはどうするつもりなんだ?」
「今……楽にしてやるつもりだ」
止めを刺そうと父王の剣でアーデンを貫こうとした刹那
最後の力を振り絞ったアーデン渾身の一撃がノクト目掛けて放たれるが
「気ぃ付けろノクト」
「グラディオ! わりぃ」
グラディオが咄嗟に割り込み事なきを得る
ノクトはグラディオからバナナを渡されたのでバナナを食べながら
父王の剣でアーデンにとどめを刺した
「うらやましいねえ……俺にも君たちみたいな仲間が居たら王になれたのかな」
瀕死のアーデンからの問いかけにノクトは短く答えた
「そうかもな」
その問いに満足したかのようにアーデンは静かに笑う
「もしさ……俺が生まれ変われたら……君たちの仲間にいれてくれない?」
悲しそうな声色でアーデンはつぶやく
「ああ……待ってる」
ノクトのその返事に満足しアーデンは灰になり消えていった
「見て見て! 日が昇ってきてるよ!」
久しぶりの太陽の光にはしゃぐ30歳のプロンプト
「これで一段落だなノクト」
「ああ! 星が……救われたんだな」
仲間と喜びを分かち合う三人だったが
一人切ない顔をしている男が居た
「グラディオ? 何してるんだ?」
ノクトの問いかけにも答えず黙々とグラディオは何かをしていた
よく見るとグラディオはアーデンの灰を集めバナナの苗を植えていた
「あいつも……王家の人間だったんだよな」
ノクティスはグラディオの苗植えを手伝い始めた
▽エピローグ
数年後
「やっと一段落着いたしパーティーはじめようよ!!」
「落ち着けプロンプト、王の御前だぞ」
「いーじゃん、イグニスこそ内心じゃあ少し浮かれてるでしょ?」
「ああ、ノクトとルナフレーナ様の結婚式だからな」
数年前激戦の行われていた城で今ではうってかわって
結婚式が行われていた
「ノクティス様……」
新婦のルナフレーナが緊張した面持ちでノクティスに話しかける
「なんだよルーナかしこまって」
「今私はとても幸せです」
ルナフレーナからの言葉にノクティスは満面の笑みで応えた
「今だけじゃねえよ、今までは苦労かけたからな……これからはずっと幸せにしてやる」
その言葉を言い終えると今度は仲間達が笑いながらノクトを祝福していた
城内のバナナの木の下でバナナを食べているいつものノクティス一行
「なんかさぁ……このバナナって、皮が茶色くてあいつに似てない?」
木に実るバナナを指差しプロンプトが問いかける
「プロンプト……なんか思い出してまずくなりそうだからやめろ」
バナナを食べながら苦笑いをするノクトにイグニスは
「いい年になって食べながら喋るなノクト。それにしても立派なバナナの木だな」
イグニスが小言を言いつつバナナを見上げる
グラディオはバナナの木からバナナを採ろうと立ち上がる
ふとバナナの木が揺れ五本のバナナが落ちてくる
目の前に落ちたバナナに驚く4人だったが
拾い上げ一人一本手に持って食べようとしていた
プロンプトが一本多めに食べようとした所をグラディオに奪われる
グラディオが余分なもう一本を食べるのかと皆は思ったが
なぜかグラディオは一本のバナナを木の根元に供えるのだった
「そういうことか」
ノクティスはグラディオの行動を理解し
一緒に自分のバナナも備え
それに追従する形で仲間皆でバナナを供えたのだった
「ねえみんな! せっかくだしここで写真撮らない?」
プロンプトが写真を撮らないかと提案する
笑顔でうなずくノクトたち
仲間達は木にもたれ掛かり見上げる
カメラのシャッター音が鳴るその瞬間
ふと木が揺れ人の声のように聞こえた
「ありがとう」
~Fine~
最後の誰かに似ているバナナはモラードという品種です
エピローグは最遊記外伝のEDテーマ流しながら見てね