逢魔のときに……《更新停止》   作:月白弥音

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四神

それから四神たちの先導の元帰らずの森から抜け出した望虹達はゴールデンウィーク明けに四神たちから話を聞くことにしてそれぞれの家に帰った。

--ゴールデンウィーク明け最初の平日

「おっはよー! 歌梨ちゃん、彩加ちゃん」

「おはよう、神端さん」

「おはようございます、神端さん」

昇降口で会った歌梨と彩加に元気よく挨拶をした望虹。それを見た彩加は

「朝から元気ですね。何かゴールデンウィークの間にいいことあったんですか?」

と横を歩く望虹に聞いた。

「えへへ、ちょっとね」

と望虹は笑顔で答える。

「ちょっとって?」

歌梨が聞き返すが望虹は答えなかった。そのかわりに

「いつかまた話すよ」

と約束だけ交わした。

教室に入り窓際にある自分の席についた望虹は近くの窓から空を見上げた。そこにはくも一つない綺麗な青空が広がっている。望虹はそれを見て数日前に非日常の固まりだった帰らずの森に言ったのが嘘のように感じられた。そして同時に自分が普段いる日常に無事に帰ってこれたことを自覚した。当たり前の日常、それはとても大切なものなのだと改めて知った今回の調査。

「はい、では朝のホームルーム始めますよ」

望虹達の担任、音無明日美先生が前で指示を出している。望虹は一度制服の上から白虎のペンダントを握ってから視線を音無の方に向けた。

 

 

 

--放課後

部室に集まった地域文化部メンバーはそれぞれ四神が入っている宝石を取り出し、四神を呼び出した。

「って……」

「ち、ちっちゃ~い!」

呼び出された四神はデフォルメしたように小さく可愛くなり、全員が一つの机の上に乗れていた。

「かわい~!!」

といきなりミニ四神達を抱きしめた望虹。抱かれたミニ四神の方は苦しそうに

「と、とりあえず放してくれないか」

と望虹に頼んでいた。それでもまだ放そうとしない望虹に見かねた哲夜が

「そろそろ放してやったらどうだ? それに俺達は四神に聞きたいことがあって呼び出したんだろ」

と言った。

「うん、そうだったね」

と望虹は名残惜しそうにミニ四神達を机に放した。

「それで白虎さん、あたし達がみんなの主になるべくしてなったって」

ようやく本題にはいる、そんな風に望虹は真剣に白虎に問いかけた。

「ああ、そのことか……」

白虎は思い出したかのように呟いた。そして一度、他の四神達の方を向き何かを話していたかと思うとすぐに望虹達に再び向いた。

「では話そう。我らは四神と呼ばれるのと同時に五行思想の一つである五獣の要素でもある」

「はい、知っています。あなた方に加え麒麟が入るのですよね?」

白虎の説明に答えたのは螢華だった。こういう神話系統に精通している螢華は目を輝かせて説明を聞いている。逆に科学オタクの哲夜はさっぱりわからないと言うような顔でミニ四神を見ていた。しかし白虎はそんな哲夜を気に止めず説明を続ける。

「その通りだ。それにさらに季節や、穀物、人の体や気持ちまで我らが司っているとされた。これを世間では五行説というらしい。そして我らがそれぞれ司るとされたものの要素がとても多かった。それだけだ」

「それって例えばどんなのなの? 教えてよ」

その話に反応したのはやはり望虹。好奇心に満ちた目で白虎に詳しいことを聞き出そうとする。

「折角だ、自分の主について語ってもらうとしよう」

白虎はそう言って一度言葉を切り、

「ではまず我からだ」

と切り出した。

「我が主の神端望虹という名は姓の神端が我ら四神を、さらに神の読みの通りに字を当てると寒、我が司る五悪の一つになる。さらに言えば主の性格も我の五常である義に通ずるところがある」

「へぇ~そうなんだ」

望虹はわかったのかわかってないのかとりあえず頷いていた。

「では次は私だ」

と言ったのは朱雀。

「主である朱羽螢華の姓はそのまま私を螢は私の五星である螢惑、火星を意味している。さらに、私の五常である礼がしっかりなっていた」

「そのようなことを仰るなんて、恐縮です」

朱雀の誉め言葉にしっかり螢華はお辞儀をして感謝した。

「では儂じゃな」

少し年老いた声でそう言ったのは玄武。

「儂の主、北原哲夜の姓は儂の五方、北がはいっとる。名には五金の鉄が、その頭にある知識は五常の智にふさわしいものじゃ」

「……そうか」

哲夜は特に驚きも喜びもせずそっけなく返した。

「最後は私だ」

残った青竜、最後の四神が主のことを話し始めた。

「主、鈴谷奈津稀の姓は五金錫を、奈津稀の名を逆から読めば絆と読め、その性格も私の五常、仁に値する」

「僕の名前にそんな意味が……」

名前をコンプレックスに感じていた奈津稀にとってはこの事実はとても嬉しいことだった。

「だいたいこれくらいだな」

「うん、わかった。ありがとう白虎さんたち」

そう言って望虹たちは四神を宝石に戻した。

「じゃ、僕たちも帰ろっか」

「その方がいいと思われます。明日からは中学初のテストがありますし」

螢華がそう言った瞬間、場の空気の温度が下がった。

「ね、ねぇ螢華ちゃん。今なんて?」

「明日からテストが行われると」

「「忘れてた~!!」」

奈津稀と望虹が叫んだ。

「何で教えてくれなかったの!?」

「配布されたプリントに明記されていましたので……」

「あたしそういうの読まないって知ってるよね!」

「ええ、はい……」

「望虹、頑張れ」

「ちょっと、みんな〜」

そんな風に地域文化部の初の外部活動は終わった。

しかしまだ望虹達は気付いていなかった。帰らずの森に白虎達が閉じ込められていた理由に……

 

 

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