逢魔のときに……《更新停止》   作:月白弥音

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部活

「古びた紙と……もう一つ、こっちの箱はなに?」

箱を開けた望虹が最初に漏らした言葉はそれだった。その言葉の通り箱の中には今にも破れそうな紙と何かが入ってそうな小さな箱があった。

「これもまた漢文みたいだな」

箱の中から取り出した紙を慎重に広げていた哲夜が書かれていたことを見てからそう言って奈津稀に渡す。

「望虹ちゃん、その小さい箱の方には何が入っているのですか?」

「あ、うん、なんか丸い宝石みたいのが四つ入ってたよ」

「そうですか……やはり四神と何か関係があるのでしょうか」

「僕の方、解読できたよ。一カ所だけ読めないところがあったけどほかは完成したよ」

望虹と螢華が小さい宝石のようなものについて話し合ってる間に奈津稀が漢文の解読を終えたことを告げる。

「読んで、読んで」

「うん。『~にて人々を苦しめ、後に勇者に倒された獣と同等の力を持ちし獣達に彼らの心を与えよ。彼らが眠りしその地にて天を仰ぎ宙に輝く光を集めよ。その光を通し我らの覚悟を解き放て。もしそうすればその地の災い、永久に消え去る』現代風に訳せばこんな感じかな」

何でもないように話しているがこれでまだ中学一年である。もはや凄いとしか言えないレベルである。

「ちなみに、読めなかったところは?」

「丁寧の寧に愛に亜鉛の亜の昔の字の亞」

「ねいあいあ? よくわかんないね」

「実際に書いてみましたが私もこのような単語は目にしたことがありません」

そう言った螢華の手元をみると『寧愛亞』と紙に書いてあった。それを見て望虹が何か言おうとしたとき

『そろそろ完全下校時間です。校内でまだ部活をやっている生徒は急いで下校しましょう』

という校内放送が流れた。

「はあ、もう時間か〜」

「ほら、望虹はいつも1番支度が遅いんだから早くしろ」

残念そうに机に突っ伏した望虹を哲夜が気にかける。

「は〜い」

「相変わらず哲夜は望虹のこと良く気にかけるね」

「ば、そうなんじゃない。ただあいつが遅いと俺達が早く帰れないからな」

「そのように必死に否定していることがそうだと仰っているようなものだと思われますが……」

のそのそと支度をしている望虹を横目に奈津稀と螢華が哲夜をからかっていた。

 

 

 

 

 

「はぁ、放課後だけじゃ活動しきれないよ〜」

晨明中を出て他愛のない話をしながら帰っていた望虹達。彼女達が晨明中から少し下ったところにある商店街に差し掛かったとき、前を行く望虹がくるっと半回転して手を後ろに回し後ろにいるほかの部活メンバーに話しかけた。

「確かに、今日なんかは特に不完全燃焼な感じだよね……」

「まあ、望虹はほかのときでも結構やってるよな」

「あははは、それは否定できないけどそれは哲夜君もでしょ?」

「それはほっといてだ。だいたいいつも勝手にお前が俺を連れ出すだろ!」

「また始まったよ、痴話喧嘩……」

望虹と哲夜のやりとりに思わず奈津稀がそういうと

「「痴話喧嘩なんてしてない(もん)!!」」

と寸分違わず返ってきた。

「はぁ、もういいや」

「望虹ちゃんたちのことはいつものことですから諦めるしかないのではないかと思います」

「まあね……あ、そういえば望虹、哲夜」

「「なに(なんだ)?」」

再び同時に返してきた望虹達を奈津稀はため息をついた。

「明日、確か健康診断日だったよな?」

「うん……そう言えばそうだったね」

望虹は自分の身長を考えたのか嫌そうな顔をして答える。

晨明中学では部活の正式入部が済んでから身体測定や健診を行う。それをまとめて一日、全校でやるため、その日は健康診断日と呼ばれているのだ。ちなみに、正式入部してからやるのはその部活ごとで若干検査する内容が違うかららしい。野球部なら肘の検査が追加されたり、サッカー部なら足首や、膝の検査だったり……やるスポーツによってスポーツ障害が起こりそうなところを検査する、故障を防ぐためには割と重宝する仕組みらしい。

「うちは、山登ったりするから足腰の検査が追加であるって顧問の鷹匠先生が言ってた」

地域文化部の顧問、鷹匠美雪《たかじょうみゆき》は社会担当で望虹達を喜んで歓迎し、好きなように活動することを認めた中々度胸がある先生だ。まあ、その結果が、昨夜の学校不法侵入なのだが。

 

商店街を抜けたあたりで望虹達は自分の家に向かうために別れる。

「じゃあ、また明日ね〜。あ、明日までの宿題! 奈津稀君が読めなかったところの読み方、考えてきて!!」

「はい、わかりました。ではまた」

「ほいほーい、了解。じゃ、また明日ね」

「ああ、わかった」

三人がそれぞれ望虹の言葉に返事をして自分の家に帰った。

 

 

 

「ただいま〜」

「望虹、お帰りなさい」

極々普通の一軒家に帰った望虹は自分の母親--神端なずな--に声を掛ける。

「また部活?」

「うん、また面白いのが見つかったんだ」

「そう、どこか行くんなら一言言ってから出て行ってよ。私には望虹しか居ないんだから」

そう言いながら淡々と夕飯の支度をしていくなずなを望虹は見つめる。

「さあ、ご飯にしましょ」

なずなはそういって夕飯を食べ始める。望虹もテーブルに付き

「いただきます」

と言ってから夕飯を食べ始めた。

 

 

 

夕飯を食べ終わった望虹は二階の自室に入り、机に向かう。出された宿題は少ないが今日は『寧愛亞』の読みを考えなければいけない。望虹は普段使わない漢和辞典まで引っ張り出し、その字について調べていった。

「望虹〜、お風呂はいらないの〜」

下からなずなの声が聞こえてきた。望虹が時計を見ると既に11時を回っていた。思っていた以上に集中していたことを知った望虹は、下に降りて風呂にはいった。

 

 

ピンク主体でパステルカラーの水玉模様が入ったパジャマに着替えた望虹は自室のベットにダイブし

(明日、みんな何か分かってるといいなぁ)

と思いつつゴロゴロしながら本を読んでるうちに睡魔が襲ってきたため、電気を消した。




だんだんと晨明中学のことが、明らかになってきました。
まだまだあるので少しずつ書いて行こうと思います。

そして、望虹の家族も少し明らかになりました。
これにもだんだん触れていきます。
お楽しみに!
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