逢魔のときに……《更新停止》   作:月白弥音

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解読

「ねぇ、みんな、何か昨日のでわかったことある?」

全員が部室に入ったことを確認した望虹はそう他のメンバーに聞いた。

「はい、まず僕からね」

最初に手をあげたのは奈津稀。

「うん、どうぞ奈津稀ちゃん」

「……えっとまず……」

「ちょっと待って! 今、華麗にスルーしたよね!?」

いつものからかいをする望虹に一瞬奈津稀は呆れたという視線を送りそのまま話をしようとする。予想外の反応に驚いている望虹だったがふとあることに気が付く。

「あ! 否定しないってことはそれを認めたってことだね!」

「結局いつものパターンで反応しないとじゃん! 僕は男子だ!」

やはり、と言うべきなのか望虹には勝てずいつものように叫ぶ奈津稀を見た哲夜は

「いいからさっさと話せ」

と至極まともな意見を言うのだった。

 

 

暫くして、ようやく落ち着いた奈津稀が自分の仕入れてきた情報を話し出す。

「昨日もう一度調べてみたんだけど、やっぱりあんな漢字の単語はなかった。ついでに現代の方も調べたけどこっちも該当するものは無かった」

「そっか……他に何かある?」

「私の方でも調べましたが該当している可能性が高い話が多く絞り込みは不可能と判断しました」

「俺は特にないがこの紙は入っていた箱ができる50年前くらいに書かれていることがわかった。どちらも明治に入ってからのものだ」

「うわあ、結構古いものなんだね~」

望虹は哲夜が言ったことに素直な感想を口にする。

「ああ、だがとりあえずこっちの漢文が先だ」

「そうだね、望虹、君はなんか無いの?」

哲夜が時代のことから漢文の方に話題を戻し、奈津稀が望虹に話を振る。

「え、あたし? 螢華ちゃんや奈津稀君と違ってあたしだけが得意! っていうのがあたしにはないからたいしたことは分からなかったんだけど……」

「望虹ちゃん、今はどんな些細なことでも重要ですから望虹ちゃんが気付かれたことを教えていただけますか?」

自分だけが突出して出来るものがなにもないことに不安を感じていた望虹を螢華が励ます。その横で奈津稀は「久しぶりに男子として見てもらえた!」と喜んでいたがそれは哲夜に同情しているような目で見られていただけだった。

「……うん。まず確実なのは『亞』が『あ』って読むことでしょ?」

意を決して話し始めた望虹の話に全員が頷く。

「それで、たぶん『寧』は『ね』だと思うの」

「それは何で?」

「前に『寧々』って書いて『ねね』って読む子がいたから……」

「なら多分合ってるな。じゃあ望虹、『愛』は?」

「え……? あ、あたし、間違ってるかもしれないんだよ? そんなに簡単に……」

自分の意見がそのまま使われたことを不安そうに色々言っている望虹に哲夜は

「ばーか、なに言ってんだ。おまえの一番得意なのはその直感だろう。それに根拠があるんだから間違ってなんていないに決まってる」

そう言いきった。事実、今までにも何度か望虹の直感で分かったことがあったため地域文化部のメンバー、特に哲夜は望虹の直感への信頼度が高いのだ。

「哲夜君……そうだよね、ありがと」

それを聞いた望虹は自分の直感への自信を取り戻し

「『愛』はあたしは分からなかったんだけど、今思いついたことがあるの。また名前関係なんだけど『め』って読むんじゃないかなって」

いつものように元気よく言った。

「となると読み方としては望虹的には『ねめあ』ってことだね」

「うん……そうだと思うんだけど……」

再び不安そうに周りを見渡す望虹。それに対し螢華は

「おそらく望虹ちゃんの読み方で正解です」

と言った。

「どういうこと? 何かその単語に聞き覚えがあるとか?」

「はい。ネメアのライオンと呼ばれるものがギリシャ神話にあります。獅子座の元になった話というと分かりやすいでしょうか? その文にもある通り、勇者ヘラクレスによってネメアのライオンは倒されています」

神話のことにはとても強い螢華がそう答える。

「神話からの引用だったのか。それで螢華、そのライオンの力ってなんだ?」

「力、と言うのか少し曖昧なところがありますがその神話によると……」

そこで螢華は一度言葉を切る。

 

 

 

 

「そのライオンは人食いライオンだと書かれていました」

「「「ひ、人食いライオン!?」」」

それを聞いた三人は同時に驚きの声をあげる。

「それと同等ってことは……」

「この町にも人食い獣がいるってこと!?」

信じられない事実が明らかになったような感じで望虹と奈津稀は質問を繋げる。

「それに関しては私は耳にしたことがありませんが……」

「ちょっと待ってて」

といって望虹は携帯を取り出す。そして、ある人に電話をかけ始めた。

『はいはーい、どうしたの、みこっち』

「ごめんね、柚㮈ちゃん。ちょっと聞きたいことがあって」

電話の相手、東城 柚㮈《とうじょう ゆな》は望虹の従姉妹で、同じ様に晨明中学に通う中学二年生。ちなみに、彼女は帰宅部のため今電話をしても問題ない。望虹が柚㮈に電話をした理由は柚㮈が依代町にある都市伝説についてとても詳しいからだ。実際に小学生の間は柚㮈と一緒に都市伝説の調査をよくしていた。今回も、人食い獣について何か知らないかと思って電話をかけたのだ。

「依代町って、人食い獣の都市伝説とか、何かある?」

望虹がそう聞くと柚㮈は

『うん、あるよ』

と答えた。

「え……?」

『だから、人食い獣の都市伝説は晨明中学の後ろにある陰陽山の帰らずの森って呼ばれているところに“人喰の魔物”っていう都市伝説があるよ』

電話の向こうの柚㮈は確かにそういったのだった。




はい、いろいろ今回は怖いことが分かりましたね……
人喰の魔物、新たな都市伝説が登場し謎はさらに深まっていきます
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