逢魔のときに……《更新停止》   作:月白弥音

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魔物

--翌日

昨日人喰い魔物の都市伝説があると教えられてからそれが気になってたまらなくなっていた望虹は柚㮈を放課後地域文化部の部室に呼んだ。時間がいつもより早いため今地域文化部の部室にいるのは望虹と柚㮈だけだ。

「それで柚㮈ちゃん、昨日の人喰い魔物の都市伝説について詳しく教えてもらいたいんだけど」

「それは良いけど、珍しいね、みこっちがそこまで一つのものに食いつくなんて。何か他のものを調べてるときにこれに引っかかったとか?」

「あ、うん……」

図星をつかれ少し小さくなる望虹。それをみた柚㮈は少し笑いながら

「あはは、大丈夫だよ。別にみこっちが何やってても私が何か言おうとは思わないから。あ、でも面白そうなことにおいてかれるのは嫌だけど?」

「柚㮈ちゃん……」

思いがけない言葉に望虹は驚きゆっくり顔をあげるとそこには笑顔の柚㮈の姿があった。

「それよりその都市伝説だけど、どうせなら部員さんが全員集まってからの方が良いんじゃない? その方が一回で済むし」

「うん、そうだね、お願いします」

「はいはい、了解」

自分達の芝居がかったやりとりに二人は暫く笑いそれから他のメンバーが来るまで雑談をしていた。

「あ、柚㮈さん、こんにちは。お久しぶりです」

「あ、てっちゃんだ、望虹と同じ部活だったんだね~」

他のメンバーの中で最初に来た哲夜が柚㮈に挨拶をすると柚㮈はなにやら意味深ににやりと笑った。

「ねぇ、てっちゃん、何でこの部活にしたの?」

「え? あ、えっと……この部活面白そうじゃないですか」

「ふーん、なーんだ、みこっちがいるからなのかと思ったのに」

「え? 哲夜君、そうなの? あたしが強引に誘ったからやりたいこと、他にあるのに我慢してたの……?」

柚㮈と哲夜の会話を聞いていた望虹が不安そうに哲夜に問いかける。目には若干涙をため、身長差のため上目遣いで。

「そんなことはない。第一何でお前のために俺が我慢しなきゃならないんだ? 自分の意志で入ったんだから変なこと聞くな」

「本当!? 本当だよね!?」

無理矢理ではないと哲夜から聞いた望虹は腕がとれるんじゃないかと思うほど哲夜の手を下に引っ張り

「ありがと!」

と言って手を放した。その間哲夜は顔真っ赤である。

「あ~あ、みこっちも色々やっちゃって。てっちゃん大変だ」

その様子を横から見ていた柚㮈はそう呟き、ため息を漏らした。

「ごめん、委員会で遅くなっちゃった」

「すみません、遅くなりました」

「あ、お疲れさま、螢華ちゃん、奈津稀ちゃん」

「だから僕は男子だよ!?」

「うん、知ってる」

「毎回同じことをやるな、めんどくさい」

いつものように奈津稀が来て早々いじられるがそれを哲夜が止める。

「それに今日は柚㮈さんも来てるんだから」

「あ、そういえばそちらの方はどちら様ですか」

哲夜が動いたことにより初めて柚㮈が見えたのか螢華が哲夜に聞いてくる。

「ああ、紹介するね。この人が昨日私が電話してた……」

「……東城柚㮈です。都市伝説には割と詳しいと思うから何かあれば聞いてね」

「あ、はい。鈴谷奈津稀です」

「朱羽螢華です。以後お見知りおきを」

三人が自己紹介を終えると柚㮈が手を叩き

「じゃあ本題に入っていい?」

「本題? なんかあったっけ?」

「帰らずの森の人喰い魔物のことだよ」

「ああ、それね。柚㮈先輩、お願いします」

「はいはーい、じゃ話始めようか」

 

 

 

 

「人喰い魔物の都市伝説ができたのが今からおよそ60年くらいかな」

「じゃあ、今まで何で表にその噂がなかったの?」

「みこっち、それは帰らずの森から帰ってこれないのがその魔物のせいだとされていたからだよ。だから都市伝説ではなくいつからか常識として語られ始め、そのうち人々の口から語られることがなくなったんだ」

「そっか、なるほどね。それでその中身は?」

望虹は自分の疑問が解決され、納得しながら楽しみでたまらないような感じで先を促す。

「うん、これから話すよ」

そう言って柚㮈は一度自分の鞄から水筒を取り出し中のお茶を飲む。

「さて、じゃあ始めようか」

 

 

「昔、この町に一人の青年がいた。彼は頭が良く、誰からも信頼されていた。

ある時、その青年が突然姿を消した。町の人々は彼を捜し求めたが姿は見つからなかった。

その青年の友達がある日、ふと青年がいなくなった前日、陰陽山の森に行くと言っていたことを思い出した。すぐに町の人々は何人かの班を作り、その森に入っていった。

捜索班が森に入って一週間、どの班も戻ってくる気配がなかった。心配になった人々は捜索班を見つけるためにその森に入っていったが彼らもまた同じように帰って来ることはなかった。町の人はいつしかその森を帰らずの森と呼ぶようになり近寄らなくなった。

それから数年後のある日、一人の男が町役場に駆け込んできた。そして受付に向かって『帰らずの森には魔物がいる!』と叫んだそうだ。聞けばその男は偶然帰らずの森に入ってしまい、出口を探して急いでいると森の奥からガサガサと音が聞こえ、そこを見ると人を頭から口にいれた大きい生物がいたらしい。その日から帰らずの森から帰ってこれないのはその魔物に食べられてしまうせいだということになり、それがこの街の常識となっていた……」

そこまで柚㮈はそこで一度話を切り

「とまあ、そんな感じの話」

と締めくくった。

「じゃあ、次の目的地は帰らずの森ってこと?」

奈津稀がそう他のメンバーに問いかける。

「うん、そういうことだね……」

望虹がこれに答える。

「何、なんか面白そうなことをやってるみたいだね? 私にも教えて、というか、連れてってよ」

「もう、柚㮈ちゃんは一度いうと聞かないからなぁ」

と言いながらも嬉しそうに今までのことを柚㮈に話していく。そして、ひと段落着いたところで

「じゃ、私もそれ、参加するよ。来週からゴールデンウイークだしそのときに行こうか」

と柚㮈が言った。

「うん、そうだね。じゃあそれまでにあたし達の方でもいろいろ情報を集めてみるよ」

そうして、望虹達は帰らずの森探索へ調べ物を始めた。

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