フリージング黙示録   作:ヤッダーバァァァ

17 / 17
第十四話:京太郎の涙、大いなる星

――――将来の夢は水族館を作る事!

 

――――もし出来たら咲や照おねーちゃんに見てもらうのだ!

 

――――勿論、キョータローも一緒!

 

――――絶対に………三人で私の水族館を見に来てね

 

――――約束だよ

 

 

 

 

―――――――――――――

 

 

 

「………………」

 

星が瞬く夜空の下、須賀京太郎は立ち尽くす。彼の目の前には小さな墓が立っている。

その墓には京太郎が持ってきた白薔薇の花束が添えられていた。

白薔薇の花言葉は『純潔』、『尊敬』、そして――――――『約束』。

 

「……………」

 

京太郎は悲しそうな目で墓を見つめたまま動かない。京太郎は…三時間も前から、この墓の前に立っているのだ。

 

「………ごめんな」

 

ずっと無言だった京太郎が口に出したのは謝罪の言葉だった。

 

「俺には……二人の絆を繋ぎ止める事が出来なかった」

 

―――お姉ちゃん、私を置いて東京に行っちゃった…

 

「狂ってしまった歯車を直す事が出来なかった」

 

―――私に、妹はいない

 

「お前がいなくなって出来てしまった咲と…照さんの『心の穴』を埋める事が出来なかった」

 

―――もう…どうしたら良いのか分からないよ

 

「俺は――――」

 

―――助けて…京ちゃん

 

「お前との約束を何一つ守る事が出来なかった」

 

流れる一筋の涙。

 

「ごめんな……本当にごめん…」

 

握り拳から血が流れ、地面へと落ちる。

 

「だから今度こそ」

 

涙を拭い、京太郎は墓に誓う。

 

「今度こそ……お前との約束を守ってみせる」

 

「俺はその為の『力』を手に入れ、狂ってしまった歯車を直す為の『鍵』の在処を知った」

 

「例え他者を傷付け、苦しめる畜生に成り下がったとしても」

 

「人の心を利用し、踏みにじる外道に成り果てたとしても」

 

「俺は必ず、『鍵』を手に入れる」

 

「そしてその『鍵』でお前を――――」

 

「お前がいなくなってからの数年間で分かったんだ」

 

「咲と照さんが望んでいるのは俺なんかじゃない」

 

「二人が必要としてたのはお前なんだよ」

 

「お前なら必ず……二人の絆を取り戻す事が出来る」

 

「そしてお前の夢だったお前が作った水族館でお前と咲、照さんの三人で……」

 

「だから少しだけ待っててくれ」

 

「そしてその時が来たら―――二人の側にずっといてあげて欲しい」

 

「二人に何もしてあげられず失敗してきた俺がお願いするのも図々しい事極まりないだろうけど…」

 

「…じゃあ、俺は行くよ」

 

「二人の、咲と照さんの本当の笑顔を取り戻す為」

 

「―――地獄の釜の底に」

 

そう言い終えた京太郎は静かに振り返り、墓を背に静かに歩き出す。

欲望、野望、希望、絶望。その全てが渦巻く帝愛の下に帰る為に。

そして、あの日から止まったままの時計の針を動かす為に。

 

 

 

 

 

「……気分はどうだマリン?あれから少しは良くなったか?」

 

闇夜の森林の中、京太郎は通信機を片手に高速で走り続ける。自分の部下であるマリンを置いてきた事に若干、罪悪感を感じているのか京太郎は心配そうな声で話をしていた。

 

「…そうか。ま、次の任務まで少し時間はある。休める時に休――」

 

急に京太郎の足が止まった。周囲は草木に覆われ、しんと静まり返っている。

 

「…いや、なんでもねぇよ。ちょっと躓いただけだ!じゃあ今から帰るから食事の準備をしておいてくれ!それじゃあ」

 

そう言って京太郎は通信機を切り、胸ポケットに入れるとおもむろに一本の木に向かって言いはなった。

 

「そこにいるのはどちら様でしょうかね?姿を見せてくれたらありがたいんですけど…」

 

―――ガサッ

 

京太郎の言葉に反応するかの様に音が鳴る。

 

「久しぶりだねキョータロー」

 

木から姿を現したのは京太郎と同じ金髪の少女だった。その少女を見た京太郎は少し驚いたらしく眉をピクリと動かしたが、すぐに元に戻す。

 

「………淡、か」

 

京太郎は目の前の少女――――大星淡の名を小さく呟いた。

 




次回、須賀京太郎VS大星淡
金色の二光が激突す―――――!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。