そして私は提督になった   作:篠崎零花

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今回は色々とやらかした回です。
ですが、後悔も反省もしてません。むしろ清々しいです。


…もはや茶番だとしても、そういうのが平気だと言える方はどうぞごゆくりと。


10話目 混沌は日常と共に

―――あの時。私は確かナニカを感じたんだっけか。

 

「…ねぇ、この司令官起きてるんだけど、目が凄く遠くを見てる気がするのよ。大丈夫かしら」

 

ああ、うん。待ってね。

回想してるだけだから。あとでうんと話そうな。

でも、ナニカってなんだったかなんて忘れたな。

……それもそうだが、加えて知りたいのはここにいる理由だ。

 

「多分大丈夫。一瞬こっちの言葉に反応したからなにか考えてるだけなんだと…思う」

 

ナイス響。そのままの流れにしててくれよ?

んで、えーと…確か出撃したんだっけか?もししていたとして、その後はどうしたんだっけか…。

 

「だとしたら音海提督はなにを考えているのでしょうか。怪我をしたこと?」

 

「んー、私のようなレディーのことじゃない?」

 

「暁は黙ってて」

 

「響!?いつも以上に冷たくないかしら!?」

 

よし、よくやった。

と、いうかいよいよもってツッコミが追い付かないし、そのせいで思考が中断されるわとその時の記憶を思い出しにくくなってきたんだが。

君らさ、当事者のいない場所で話してくれないか?

それかもっと小声で話せ。もはや隠す気ないだろ。

 

「あっ、もしかして司令官が男っぽく振る舞っていたのって……」

 

「だぁあぁーーー!?それ以上は踏み込むんじゃない、電ぁー!?」

 

うぐっ。思いきり上体を起こしたせいで痛みが…。

っとそうか。ナニカを感じた私は助けに出撃し、そこにいた5人を魚雷以外の弾から守ったせいで怪我をしたんだっけか。

いや、思い出すきっかけ違うだろ、自分。

 

「えっ?…あ…は、はいなのです」

 

「分かってくれたようでなによりだ。本当君でよかった……!」

 

「し、司令官…?」

 

うん、目頭が熱い。泣きそうだ。

でもさすが電が天使と呼ばれるだけある。本気で連れてきてよかったと思う。

その素直な性格に癒される…。

 

 

「…だ、大丈夫かい?司令官」

 

「ハッハッハ、中性的な外見をしているのは私だけと知ったときよりは軽いものさ」

 

思わず遠くを見ながら言ってしまう。

親に女性だと狙われやすいし、保身のために男装したらどうだと言われた頃が懐かしいよ。

それが徐々に男性トイレへ入るなどへと変化するなぞ誰が考えよう。

 

 

……やめてくれ。

 

 

「大分重症のようだね、司令官。…今度、私と電と司令官だけで行きたいところがあるんだけど、いいかな」

 

わあ、ありがとう。

どこに連れてってくれるのかな、あはは…。

 

「―――………どこかは知らないけど、頼んだよ」

 

あっ、なんか目の前が歪んで見える。

参っちゃうなあ、めから汗なんて。

 

「…今の提督って…」

 

「……皆、考えない方がいいんじゃないかな。雷も」

 

「えっ!?私はまだなにも言ってないじゃない!」

 

…あぁ、うん。魚雷以外を斬ったりかわしたりした人間(バカ)は私以外にいないだろうしな。

破片で怪我とかそういうのをしてるだろうけど。包帯とかで今は見えないが。

 

―――あれ、病院に行った方がいい怪我なんじゃないか?

 

そう思いつつ、私はこの混沌と化していく空間をよそ目に全力で現実逃避しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なにやってんだ、お前ら。音海も帰ってこい。どう見ても心ここにあらずだろ」

 

「救世主きたー!」

 

あっ、ごめんな。驚かせた。

でもな、この混沌は私にはどうしようもできん。

 

「だ、大丈夫か?音海。一応お前んとこの子に呼ばれてきたんだが……なんか身体より精神へのダメージがすごそうだな」

 

「生きてて初めてだよ。こんな風に思ったのは…。…なあ、思考を投げてもいいかね」

 

「とりあえずやめろ。それだけはやめろ。やめるんだ、音海」

 

否定されてしまった。

ツッコミは放棄するな、と?それだったらもうかなぐり捨ててるよ。

 

「……とりあえず、どうしてこうなったのかお前らから話せ。まず音海…は最後に聞くとして、響達からな」

 

「どうしてこの雰囲気になったのかは知らないよ」

 

「勝手になったものね。ね、雷」

 

「え、ええ!?…そ、そうね!いつの間にかこんな感じになっていたのよ!」

 

大体間違ってないんだけどさ、なんかもうぐだぐたじゃないか?

 

「…それについてはもういい。なんかむしろこんなんでいい気がしてきた」

 

「いや、なにもなしでくるような人じゃないのにこの雰囲気にのまれてどうするんだよ。本題もあるんだろ?」

 

おっと、半目で見てきた。

そりゃあつっこむだろ…。当事者につっこまれる先輩も先輩だが。

 

「……!そ、そうだったな!俺としたことが忘れてたよ」

 

「勘弁してくれよ…。こっちとしては体のあちこちが痛いんだからさ」

 

多分明日はそこに筋肉痛が追加だな。

 

「怪我に筋肉痛か。そいつは大変だな。…っとそれはさておき、お前…あの刀使ったな?」

 

 

あ、あれー?どこで知ったの、この変態提督(先輩)はー。

私の艦娘たちしか見てないと思ったんだがな。

それに私の艦娘が呼んだらしいから更に分からん。

 

 

 

 

……あ、まさか。

 

「…今の話とは全然違うんだが、私はどこで横になってるんだ?」

 

「お前の鎮守府……と言ってやりたかったが、ここは病院だな。受付で看護師と話してたらお前の叫び声が聞こえてきて呆れてたぞ?…ま、その分大丈夫そうだって言ってくれたが」

 

「えっ、病院?――病院って言った?」

 

「……あ、ああ。普通の病院だ。お前は大破の艦娘…電を助けた上に人形の深海棲艦と戦ったせいで怪我を負って帰ったそうじゃないか。他にも響や榛名も中破よりの小破、雷と暁なんかも少し怪我を負ってたな」

 

「えっ?いや、どう見ても無傷なんだが…。と、いうか病院なら完全に迷惑だよな、うん」

 

「……むしろ『あんなに元気なら大丈夫そうですね』と苦笑いされながら言われたぞ。まぁ、そりゃ数週間も眠ってたらそうもなるわなぁ」

 

へぇー…数週間も…。なるほどなるほど。だからうちの子たちも無傷で………

 

 

 

「は、はあぁ!?数週間も寝てただってぇ!?―――っ!」

 

再び勢いよく上半身起こしたら二度目の激痛。

なにやってるんだ、私は。

 

「とりあえず音海、落ち着け」

「…司令官、落ち着いて」

 

ダイジョウブ、ダイジョウブ。

落ち着いてるから。うん、落ち着いてるから。

 

「大丈夫だ、問題ない。強いて言えば……ものっそい体痛いです、どうにかして」

 

「それでも治った方だぞ?」

 

「そうよ。最初なんて服もボロボロたし、傷も酷いしと心配だったんだからね!」

 

「はは、それは悪かったな。…んで、榛名があれからこっち向いてくれないのはなんでだ?」

 

最初のツッコミ以来、こっち向いてないよ?

ってか、なんか今にも駆け出して外に出そうなんだが。

大丈夫か?嫌われてないといいんだが。

 

 

「えっと、それはですね…凄く心配していたみたいなのです。だから、目を覚ますまで榛名さんはほとんどこちらに…。なので多分今は安心してそっぽ向いてるんだと思います。…本当素直じゃないですね」

 

そ、そうなのか…?

あんまり分からないな。

 

 

「っといけね、看護師連れてくるわ」

 

「えっ、今さら!?」

 

「気づくの遅い…」

 

「しょうがないわね、ほんと。……ま、おかえりなさい。司令官」

 

 

……あっ、綺麗な暁だ。

言ったらいけなさそうだが。

ただ見れてもいいもんだな、うん。

 

―――さて、あの変態提督が帰ってくるまでこの子たちと話してるか。

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