そして私は提督になった   作:篠崎零花

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14話目 戦線について考えよう

…まさか、そうなるとは思わなかったな。

教えたところで解決できる問題ですらない。

教えぬままやってもいいだろうが、今度はあの子たちの練度が低すぎて沈んでしまいかねない。

 

そうなった日にゃ、私がどうなるか分かったもんではない。

艤装の刀があるとはいえ、限度がある。それを越えればもはや私もただの人間だ。

なんの抵抗もできないまま、終わるだろうな。

 

 

「……どうしたものか」

 

と呟いて椅子に座るもなんか落ち着かない。

こうなるかもしれない、だけでも考えてあげるべきだったか…。だが、そうしようも鎮守府付近でいるはずのない深海棲艦が浸入してるんだ。

今は他のが来ない確率の方が低いだろうな。

 

「……」

 

八つ当たりしたくなる気持ちを抑え、とりあえず考えてみる。

 

まず、一つ。変態提督に協力をあおる。

新米な私には最もな話だが、簡単な話ではない。

なにせこうなったら恐らく向こうも忙しい。そうなるとそれこそ相談にしかのれなくなるだろう。

 

本当にどうしたものか…。

 

 

 

 

「あ、あの…提督?」

 

な、なんだ?前の方から声?

そういやあの子たちから報告を聞いたのはいいが、そのままにしてきたんだっけな…。

その後はどうしたんだろうか。

 

まあ、その子たちの安全確保のためにもまずは私が―――

「……提督!…聞いてますか?!提督!」

 

「んっ?…ああ、すまない。いたのか」

 

足音もしなかったような。

んで、誰かと思って顔をあげてみたんだが、まさかの榛名。

それもそうか。三人称が提督なんてここには1人しかいないのだからな。

 

「あ…いえ、いきなり駆け出したので何事かと思い、聞きに来たようなものですので。来たのは先ほどですよ」

 

「あっ…あぁ…すまない。ちょっと用事を思い出してな」

 

まあ、そう言っても心配そうに見つめてくるよな。

特に察しの良い子なら余計に、だろう。

榛名は…どうなんだろうか。

 

 

「そ、そうならいいのですが…。提督、大変でしたら私達を頼ってもいいんですからね?」

 

「今はいい。…その、あれだ。心遣いには感謝する。だが、下がっててくれないか?」

 

「分かり、ました…」

 

申し訳なさそうな表情で言われてしまった。

むしろそんな表情で言われてしまうと罪悪感が凄いな…。

 

「……すまないな、榛名」

 

その背後に小さく呟いた。

静かだから聞こえたかもしれない。聞こえなかったとしても構わない。

さて、どうしたものか…。

 

 

むしろ少し近くを調べてみるべきか?

そうすれば多少は分かる気がするんだが…。まぁ、身の安全は保障しきれないだろうな。

 

 

とにかく工廠に向かってあの子たちの艤装とか私のあの刀の調子とかも確認しておきたいからな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

工廠についた私はさっそく手の空いている妖精さんかちょうど手の空いた妖精さんがいないか探してみた。

なんだが…うん?あんまりにも手の空いてる奴がいなさすぎじゃないか?

 

まあ、艤装の修復とかに捌かれてるんだろうな…。そうだとしたら、仕方ない、か。

あの子たちのは…もうありえないだろうし。

無傷でなければあそこまで来れなかったかもしれないしな。

 

「なあ、妖精さん。私のあの刀は今どこにあるのか知らないか?」

 

 

ふむ…そうか。

 

 

「分かった。ありがとな。…大丈夫になったら教えてくれ。それがなきゃ私はあの子たちを守れないもんでね」

 

ああ、うん。妖精さんたちに今度、なにか甘いものでもやろうかな。

艦娘たちも甘いものが好きなんだし、疲れにはいいだろう。

 

 

さて、大本営にでも連絡するか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後、返答としては練度をあげつつ艦娘を迎えてほしいとのこと。

戦線についても練度の高い子らを連れた提督達が対処するらしい。感謝しつくせんな。本当に。

 

 

「…ん?どうした妖精さん。あぁ、私の刀が直ったって話か。ありがとうな」

 

そうか、損傷軽微だったから比較的すぐに直ったんだな。

私は妖精さんから受け取るとすぐに腰につけた。

(さや)をホルスターみたいなのでぶら下げてんからすぐにいれられたけど。

 

 

―――コンコンコン

「提督、入ってもよろしいでしょうか?」

 

「ん?あぁ、榛名か。大丈夫だが…」

 

前のことがあるもんだからつい遠慮がちに言ってしまった。

やれやれ、これだから誰に対しても冷たくできないんだ。

まあ、例外もいるがな。

 

「はい、お邪魔します。え、ええと…」

 

「その、なんだ。この前はすまなかった。んで、こっちは違うんだが、あとで暁たちにも伝えてほしいん。まず大本営には連絡してある。最近、だがな」

 

思わず苦笑いをしてしまいつつ、言えなかったことを言った。

いやはや、1人で背負い込むのはもう私の悪い癖なのかね。

 

「て、提督…。気にしていらしたんですね。でしたら頼れるときに頼ってください。私達はそうやって私達のことについて1人で悩み、執務室にこもっている提督を見る方が辛いですから」

 

「分かった。できたらな。んで、結果なんだが…暁たちを呼んでくれるか?何度も悪いな」

 

「大丈夫ですよ。普通に皆も来てくれると思うので。では連れてきますね。――あ、音海提督。あんまり、無理はしないでくださいね。私達だけでなく、音海提督自身にも気を使ってほしいですから」

 

適当にはいはい、と返事を返すと呆れられてしまった。

ま、それもそうだな。

まあ、ひとまず暁たちに説明したらこれから少しずつ訓練も大変にしていくかね。

艦娘、ではなく戦える少女らとして見て、加減してしまったが、これからはそうもいかないしな。

 

――ところでな、榛名よ。暁たちに説明したら少しハードルをあげた訓練するってのに、何故女性用の提督服を持ってきてるんだ?

確かに私は外見こそはとても短い髪、中性的な上にそこそこ高い伸長と基本的にシンプルにまとめた格好だしな。基本ズボンだし。

挙げ句の果てに声も中性的ときた。

それなせいでよく男と勘違いされたが…いや、あのな?どこで見つけたんだ?

この鎮守府の前任の忘れ物か?

 

やれやれ、とりあえず説明すんか。

「来てくれてありがとうな、暁、響、雷、電。榛名も、ありがと。んで、大本営にこのことを伝えたらこう返ってきたんだ。それはだな―――」

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