【ラブライブ μ's物語 Vol.5】アナザー サンシャイン!! ~Aqours~   作:スターダイヤモンド

15 / 44
自信

 

 

 

「果南ちゃん!!」

 

「どうしたの?」

 

 

 

「果南ちゃんさ、毎朝、走ってるでしょ?私もこれから一緒に走る!」

 

 

 

「?」

 

 

 

「私、決心したんだ!自分を変えなくちゃ!って」

 

 

 

梨子と別れた千歌は、その足でダイビングショップを訪れた。

電撃訪問を受けた果南は…いや、彼女が突然来るのはいつものことだが…作業の手を止め話を聴いた。

 

 

 

「なにかあった?」

 

「…うん…あのさ…私…」

と言ったあと、千歌は言葉を詰まらせた。

話したいことは山ほどあるのだが、なにからどう伝えたらいいかわからない。

 

その雰囲気を察した果南は

「いいよ…落ち着いてからで…ゆっくりしていきなさい。コーンスープでも飲む?」

と言った。

 

海に中いることが多い彼女にとって、陸に上がった時に摂る温かい飲み物は必需品である。

千歌は黙って頷いた。

 

 

 

彼女が喋れるようになったのは、そのスープを飲み干してからだった。

 

「あのね…私…μ'sに憧れて…曜ちゃんにお願いして…ステージに立たせてもらって…結果は上手くいかなかったけど…でも、これが私の実力なんだ!って思ってて…」

 

「…うん…」

 

「曜ちゃんには、これ以上迷惑掛けられなから、解散するって言ったら、怒られちゃって…」

 

「そこまでは聴いたよ」

 

「うん…」

 

「まだ、仲直りはしてないの?」

 

「タイミングが難しくて…」

 

「…そっか…」

 

「それでね…だけど、この間…後輩が私たちと一緒にスクールアイドルをやりたい!って言ってくれての」

 

「凄いじゃない!」

 

「う~ん…私たちのパフォーマンスが認められた…っていうよりは、スクールアイドルに挑んだことに対して、評価してれた…って感じかなんだけどねぇ…」

 

「でも、それなら…やった甲斐があった…ってことじゃない?」

 

「うん…まぁ…」

 

「それで?受けたの?」

 

「…断っちゃた…」

と言ったあと、その経緯について説明した。

 

 

 

「千歌らしい…って言えば、千歌らしいわね。あなたなりに、相手を気遣って…ってことでしょ?」

 

「…うん…」

 

「だけど、それは長所でもあり、短所でもあるのよね…」

 

「短所?」

 

「つまり、千歌には『自分がない』のよ」

 

「自分がない?…うん、そうかも知れない…」

 

「自己主張とわがままは紙一重だと思うけど…」

 

「うん…」

 

「それで?」

 

「今日、その後輩が練習しているところを見ちゃって…」

 

「自分たちでスクールアイドルを始めた…ってこと?」

 

「うん、しかも1人増えてた」

 

千歌は軽く笑った。

 

「なるほど。千歌の助言を受け入れたのね」

 

「だけど、その瞬間、悔しくなっちゃって…」

 

「悔しくなった?」

 

「バカだよね…自分で『やりたければ自分たちでやれば』なんて言っておいて…彼女たちの姿を見たら『あぁ、もう私にはできないんだな…』って思ったら、急に泣きたくなっちゃって」

 

「どうして?」

 

「やっぱり…悔いが残ってるんだと思う…ちゃんとステージができなかったことに…」

 

「自分の気持ちを圧し殺してた?」

 

千歌はゆっくりと頷いた。

 

「このままで終わりたくない…終わりたくないんだよ…。だって、最初で最後のステージがあんな形で…一生あの時の記憶が付きまとうなんて…悲しすぎるから」

 

「だったら、解散するなんて言わなきゃいいのに…」

 

「曜ちゃんに叩かれたのも、それが理由だと思うんだ。失敗したのに、ステージに立てただけで満足だ…なんて言っちゃったから」

 

 

 

「…」

 

 

 

「それだけかな?」

 

 

 

「えっ」

 

 

 

「曜ちゃんが怒った理由」

 

 

 

「さすが果南ちゃん、なんでもお見通しだね」

 

「当たり前じゃない、何年、千歌の面倒を見てると思ってるのよ」

 

「えへへ…そうだね…」

 

「逃げたから…でしょ?」

 

「うん…。曜ちゃんにこれ以上迷惑は掛けられない…そう言ったのはウソじゃないけど…何もやり遂げてないのに解散するなんて言えば…それはいくらなんでも曜ちゃんだって怒るよね…」

 

「はぁ…ようやくそこに気付いたか…」

 

「…だよね…。ようやく…だよね…」

 

「それで、どうするの?」

 

 

 

「イチからやり直す!」

 

 

 

「イチ…から?…」

 

 

 

「うん。イチから…。差出人不明の…あの手紙にも書いてあったけど…μ'sの海未さんだって、最初から完璧だった訳じゃなかったんだよね。苦労しながらも弱点を克服して…そしてあれだけの輝きを放てるようになったんだ」

 

 

 

「…」

 

 

 

「私ね…μ'sは普通の高校生なのに、あんなにキラキラしてて凄い!ってずっと思ってたんだけど、ちょっと間違ってた。普通の高校生が、ただそのままμ'sになったんじゃなくて…そこからトレーニングして、努力して…『μ'sになっていった』んだ。だから、努力もトレーニングもしてない私が、μ'sと同じ景色なんて見られるハズがなかったんだよね…」

 

「μ'sになっていった…か…」

 

「生徒会長に言われたんだ。申請を出しに行った時『あなたはμ'sと景色など見られません』って。その時は『何言ってるんだ!』って思ったけど…その通りだった…」

 

「…もしかして、それで一緒にランニングをしたい…って?」

 

「うん。体力を付けるのは、もちろんだけど…自分でこれだけ頑張ったぞ!っていう自信を持ちたいんだ」

 

「なるほど」

 

「そして、生まれ変わった私を曜ちゃんに見てもらうの。曜ちゃんに頼らず、自分で努力してる姿を」

 

「へぇ…」

 

「それを認めてもらったら…私の本気を見てもらったら…改めて曜ちゃんに、お願いするんだ。『もう一度、一緒にステージになって。今度は何があっても逃げません!って」

 

 

 

「…」

 

 

 

「だから…早朝トレーニング…ランニング…一緒にさせてほしいんだ!」

 

 

 

「…」

 

 

 

「ダメかな?」

 

 

 

「…わかったわ…。別に私が何をするわけじゃないから、勝手に来るのは構わないわよ」

 

「あ、ありがとう!!」

 

「そのかわり…」

 

「千歌のペースになんか、合わせないからね!そんなことしたら、私のトレーニングにならないから」

 

「う、うん!わ、わかった」

 

「じゃあ…どうしようかなぁ…明日の朝、6時に淡島神社の階段下に集合ね」

 

「6時!?」

 

「あれ、遅い?5時半にする?」

 

「あ、いや…6時でいいです…」

 

果南は千歌の顔を見て、クスッと笑った。

 

 

 

「あとね、果南ちゃん…」

 

 

 

「ん?」

 

 

 

「…スープを…もう一杯くださいな!」

 

 

 

果南はブフッと吹き出した。

 

 

 

 

~つづく~

 

この作品の内容について

  • 面白い
  • ふつう
  • つまらない
  • キャラ変わりすぎ
  • 更新が遅い
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。