【ラブライブ μ's物語 Vol.5】アナザー サンシャイン!! ~Aqours~   作:スターダイヤモンド

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伝説のスクールアイドル(中)

 

 

 

 

「μ’sか…ひと目、生で観てみたかったなぁ…」

 

 

 

「はい!」

 

「はい!」

 

千歌の言葉に、ダイヤとルビイが同時に声を上げた。

 

 

 

「あれ?2人は直接会ったことがある…って…」

 

 

 

「会ったことがあるのは絵里さんと」

 

「花陽さんです!」

 

「ほかのメンバーは見たことありませんし…」

 

「なにより生のステージが観たかったんですぅ!」

 

 

 

「あはは…そういうことね…」

 

黒澤姉妹の話に、千歌は苦笑した。

同時に、この2人も本当にμ'sが好きなんだなと感じた。

 

 

 

「ところで高海さんは…誰推しなのですか?」

 

不意にダイヤが千歌に訊いた。

 

 

 

「推し?好きな人ってことですか?私の?…そうですねぇ…特に誰っていうことはないですけど…」

 

「敢えて言うなら?」

 

「そうですねぇ…穂乃果さん…ですかね?やっぱり。あのメンバーの中だと、一番親近感が沸くというか…」

 

「確かに…なんとなく雰囲気は似てますわね」

 

「えへへ…実は…雪穂さんにも同じこと言われたんですよ!」

 

「まぁ!なんと!」

 

「でも、私なんかより…曜ちゃんだよね!?」

 

梨子は千歌に同意を求められて…うん…と返事をした。

 

「曜ちゃん?…渡辺さんのことですか?」

 

「はい!私も前々からそう思ってたんですけど…曜ちゃんて花陽さんに似てるなって…そうしたら、雪穂さんと雪穂さんのお母さんもそう思ったらしくて、2人ともすごく驚いてました」

 

「ルビィも新歓で観た時から、ずっと思ってました」

 

「はい、実は私も彼女が入学したときから、そう思ってましたが…そうですか、関係者も驚くほどなのですね…」

 

「あれ?そう言えば…ルビィちゃんって、花陽さん推しだったっけ?」

 

「はい!サイン貰ったから…っていうのもあるんですけど…私と性格が似てるかな…って。本当のことはわからないですけど…大人しいというか、引っ込み思案で…とてもスクールアイドルで人前に出るような性格ではなかった…って聴いてるので…」

 

「そうですね…ルビィには弱音を吐くたびに『花陽さんはこうだったらしいですよ』と私が言って聴かせてきましたので…」

 

「確かに!すごく内向的な人だったらしいよね…μ'sに入るまでは…。そこは真逆だなぁ…曜ちゃん、メチャメチャ、ポジティブな人だし」

 

「性格まで同じなわけはないですわ」

 

 

 

「はっ!!」

 

バシッと音を立て、千歌はいきなり立ち上がった。

 

 

 

「どうしたの!?」

 

梨子があまりに突然のことなので、思わず大きな声で訊く。

 

 

 

「ルビィちゃん…もしかして曜ちゃん目当てで…私たちに近づいてきた?」

 

 

 

この言葉に彼女は、シートからズリ落ちる。

梨子も花丸もダイヤも、同じようなリアクションをした。

 

 

 

「曜ちゃんは、花陽さんじゃないからね!!いくらルビィちゃんでも、曜ちゃんは譲らないから!」

 

 

 

「ぴぎぃ!!…」

 

 

 

「千歌ちゃん、まぁまぁ、落ち着いて」

と梨子は、興奮した彼女をなだめた。

 

 

 

「あっ…そういう意味じゃないですよ!私の幼馴染なので…ねぇ?…やだなぁ、みんな変な風にとらないでよ…」

 

 

 

「誰もそんなこと、思ってませんわ…」

 

 

「ですよねぇ…」

 

顔を赤らめて、席に座り直す千歌。

 

 

 

すると今度は

「ルビィちゃんが浮気したら、オラが許さないズラ!」

と花丸が立ち上がった。

 

 

 

「えっ?花丸ちゃん?」

 

 

 

「オラはルビィちゃんの『凛ちゃん』さんになると決めたんズラから」

 

 

 

「凛・ちゃん・さん?」

 

「チャン・リン・シャン…なら聴いたことあるけど…」

 

 

 

「花陽さんがスクールアイドルになるのを後押ししたのが、幼馴染で親友の凛ちゃんさんと聴いたズラ…。オラは凛ちゃんさんみたいに可愛くないし、運動も出来ないけど…ルビィちゃんが喜んでくれるなら、なんでも協力するズラ!」

 

「そんなことないよ…花丸ちゃんは凄く可愛いよ!」

 

「何言ってるズラ…オラは太ってるし、訛りもあるし、ルビィちゃんに較べれば、全然ズラ」

 

「そんなことないよぅ」

 

「あるズラ」

 

「ないもん」

 

「ある」

 

「ない」

 

「ある」

 

 

 

はぁ…また始まりましたわ…という表情で2人を見つめるダイヤ。

 

毎度のことなんですか?と千歌が目で訴えると…はい…と無言で頷いた。

 

 

 

「花丸ちゃんは…ルビィが食べちゃいたい!って思うほど可愛いもん!」

 

「ルビィちゃんだって、マルが食べちゃたいくらい可愛いズラ」

 

 

 

「あの…」

 

 

 

「?」

 

「?」

 

 

 

「2人とも凄く可愛いと思うよ」

 

 

 

「梨子先輩!」

 

「ズラぁ!!」

 

2人は彼女にそう言われると、満足そうに微笑んだのだった。

 

 

 

「そうなると…果南…じゃなかった…松浦先輩とか小原先輩もどうだったか知りたいですねぇ」

 

千歌が調子に乗ってダイヤに尋ねる。

梨子は「千歌ちゃん、その2人の名前を出すのは、まだ時期尚早だよ!」と内心思ったが、時すでに遅し…である。

 

 

 

案の定、2人の名前を聴いて、一瞬、ダイヤは顔を強張らせた。

 

 

 

「しまった!地雷を踏んだ?」と千歌も、息を飲む。

 

 

 

しかし

「どうでしょう…ほかの2人はスクールアイドルに、そこまで興味を持っていませんでしたので…」

とダイヤ。

 

「あっ…そうなんですか…」

 

千歌からすれば「あの果南が」未だにスクールアイドル活動をしていたなんて、信じられないでいる。

だからダイヤのその言葉には信憑性がある。

逆に果南が「○○推しだった」などと言われたほうが、よっぽど衝撃である。

 

「ですが…まぁ私がμ's、μ'sと騒いでおりましたから、顔と名前ぐらいは知っておりますわ。鞠莉さんは…そうですね…やはり絵里さんのことは気になっていたようです。私が絵里さん推しである事を知っての話ですが『ワタシノホウガ スタイルイイデース』って言っていましたから」

 

 

 

…それって…ジェラシー?…

 

…だよね…

 

 

 

千歌と梨子は、目と目でそんな会話を交わした。

 

 

 

「『バット… ノゾミノバストハ トゥーマッチデース』とも言ってましたけど…」

 

 

 

千歌と梨子は相手の胸を見た後、自分のそこに視線を移した。

 

「あはは…」

 

「あはは…」

 

決して千歌も梨子もスタイルが悪いワケではないが、その3人にはどうやっても敵わない。

希、絵里、鞠莉が横一列にならんだ姿を想像して、その大迫力のボディに笑うしかなかった。

 

 

 

「あとは…にこさんを見て『コノコ カワイイデース!イモウトニ シタイデース』とも言ってました」

 

「いやいや、私たちより全然年上ですから!」

 

「私も同じことを言いましたわ」

 

「まぁ、リアルタイムで観てるわけじゃないですから、わからなくもないですけど…」

 

「にこさんのテンション高めのキャラクラーが、ラテン系の人間には合うようです」

 

「小原先輩って、そうなんでしたっけ?」

 

「はい、彼女はイタリア系アメリカ人と日本人のハーフですから」

 

「そうなんですね…言われてみれば『にっこにっこに~!!』とかやっても、全然違和感なさそう」

 

「はい、普段からあんな感じですので」

 

「…となると…かな…じゃなくて松浦先輩が、謎かも…」

 

「果南さんは…そうですね…仰る通り、全くと言っていいほど興味はありませんでしたわ…」

 

「ですよね?…プライベートでもアイドルのアの字も出たことないですから」

 

 

 

「ですが…強いて言うなら…海未さんでしょうか?」

 

 

 

「海未さん?」

 

 

 

「推し…というワケではありませんが…海未さんといえば『μ'sイチの運動神経と体力を誇る』と言われておりますので『いつか勝負してみたい』というようなことを…」

 

 

 

「果南ちゃん、なんの勝負だよ!!」

 

つい普段の口調でツッコミを入れてしまった千歌は

「筋肉オバケの果南…いや、松浦先輩らいいけど…」

と自分で自分の言葉をフォローした。

 

 

 

「はい、私もそう思いますわ」

 

だが、あまり気にする素振りもなく同調するダイヤ。

 

「彼女ももう少し、女性としても自覚を持って頂ければ…」

 

「松浦先輩、スタイルいいんですもんねぇ…脚も長いし…あれを宝の持ち腐れって言うんじゃないですか?」

 

「高海さんもそう思われますか?」

 

「こう見えて付き合い長いですから…よく言えば『さっぱりしてる』というか『頼りがいがある』というか…」

 

「珍しく意見が合いますわね…」

 

お互い「えへへ…」「ほほほ…」と笑う。

 

 

 

…この感じなら訊いても大丈夫かな…

 

 

 

「ところで…どうして解散しちゃったんですか?」

 

千歌はこのタイミングで、思い切り内角を抉(えぐ)ってみる。

 

 

 

しかし

「その話でしたら…前にご説明したハズですわ。同じことを何度も言わせないで欲しいです」

とダイヤは案の定、ピシャリと言い放った。

 

 

 

「…ですよね…すみません…」

 

 

 

「今後、その質問については一切受け付けませんので」

 

 

だが

「…はい…じゃあ…別の質問をしてもいいですか?」

と千歌も食い下がる。

 

 

 

「なんでしょう?」

 

 

 

「先輩たちは活動していたときのグループ名を教えてください」

 

 

 

「グループ名…ですか?」

 

 

 

「はい」

 

 

 

「…アクア…ですわ」

 

 

 

「悪魔?」

 

「善子ちゃんが喜びそうなグループ名ズラ」

 

「悪魔ではありません、アクアです!」

 

 

 

「アクア?…アクアラングの?」

 

「はい!」

 

 

 

「アクアマリンの?」

 

「はい」

 

 

 

「アクアブルーの?」

 

「はい」

 

 

 

「へぇ…アクア…だったんですか…」

 

 

 

…ん?…

 

 

 

…アクアブルーのアクア?…

 

 

 

…アクアブルー…アクアブルー…

 

…アクアブルーって何だっけ…

 

 

 

…あっ!…

 

…それって確か…

 

 

 

「絵里さんのパーソナルカラー!!」

 

 

 

「!!」

 

 

 

「ですよね!?」

 

 

 

「な、なんのことでしょう?アクアは…ぬ、ぬ、沼津の海をイメージして付けた名前で…」

 

 

 

…図星…なんですね…

 

…あはは…職権乱用ってやつだ…

 

 

 

千歌は心の中で笑いを堪えていた…。

 

 

 

 

~つづく~

 

 

 

 

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