【ラブライブ μ's物語 Vol.5】アナザー サンシャイン!! ~Aqours~   作:スターダイヤモンド

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ユニット結成…CとY

 

 

そして、その翌日の放課後。

千歌と曜は、再び生徒会室を訪れた。

偶然なのだろうか…中には生徒会長のほか、理事長もいた。

 

 

 

「改めて…まず、こっちが有志活動の申請書です!」

 

昨日ほどはオドオドはしていない。

寧ろ、決闘でも申し込むかのような、強い口調。

 

「どうしても、スクールアイドルをやりたいのですか?」

 

受け取った生徒会長…ダイヤも負けじと鋭い視線で彼女を見る。

 

「はい!」

 

「当校での活動は許可しない…と申したハズですが」

 

「生徒会長が何故スクールアイドルを毛嫌いしてるのか、わからないですけど…とにかく、まずはこれを見て下さい!」

と千歌は、自分のスマホにダウンロードしている動画を、ダイヤの眼前に突き出す。

 

 

 

…これは?…

 

 

 

ダイヤの右眉が、一瞬ピクリと動いた。

 

 

 

「μ'sって言います。スクールアイドル界では伝説とか…カリスマ…って言われてる人たちです。彼女たちは…最初、普通の女子高生でした。スクールアイドルを目指していたのは、この中で1人しかいなかったそうです。ダンスとピアノの経験者はいますが、あとはみんな素人の集まりだったらしいです。でも、観てください!みんな、こんなに綺麗で、こんなに可愛くて、こんなに格好良くて、こんなに輝いてて…。最後には…ラブライブって大会で、あのA-RISEを地区予選で破って、全国で優勝して、海外ライブもして…とにかく、とにかく凄い人たちなんです!」

 

千歌は、そこまで一息に捲し立てた。

 

 

 

…残念ながら、全部存じておりますわ…

 

 

 

ダイヤは、顔色も表情も一切変えず、彼女の話を聴いている。

 

 

 

「私は、東京に遊びに行った時に、偶然この曲に出会い…衝撃を受けました。そして、強く思いました。私もこの人たちみたいになりたい!と…」

 

「オー!ユー アー マイ サンシャイン!で~すね?」

と鞠莉。

 

「はい!生まれて初めてなんです!こんな気持ちになったのは!…私は…特技も特徴もなくて…何をやっても普通の女の子です。これから先も、ずっとそんな人生なんだろうなぁ…って思って生きてきました。でも…μ'sに出会ってから、考えが変わったんです。一瞬でもいいから、この人たちみたいに輝いてみたい!同じ景色を見てみたい!って」

 

 

 

「…」

 

 

 

「ダイヤさ~ん、これはOKするしかありませんねぇ」

 

 

 

「…わかりました…認めますわ…」

 

 

 

「えっ?」

 

千歌も曜も、もう少し抵抗にあうのかと思っていたので

「本当ですか?」

と、思わず聴き直す。

 

 

 

「許可致しますわ」

 

ダイヤは、申請用紙に承認印をバンッ!と押した。

 

 

 

「ワォ!」

と鞠莉は、大袈裟に両手を挙げ、目を丸くする。

 

 

 

「それで…ユニット名は決まっているのですか?」

 

 

 

「は、はい!『CANDY』です」

 

千歌が、曜とスクールアイドルユニットを組むことを前提に、1年も前から考えていた名前。

由来は至って単純だ。

『Chika & You』…つまり2人の頭文字『C and Y』で『CANDY』というわけだ。

暖めて…暖めて…やっと披露することができた。

 

 

 

「…キャンディーですか…」

 

「はい!」

 

「…甘いですね…」

 

「はい?」

 

「いえ…。そうしましたら、すぐに『日本スクールアイドル協会』のサイトに登録してください」

 

 

 

「日本スクールアイドル協会?」

 

千歌と曜は、一緒に首を傾げた。

 

 

 

「呆れましたわ。まさか、それも知らずにスクールアイドルになりたいなどと!?」

 

「はぁ…すみません…」

 

「よいですか?日本スクールアイドル協会というのは…これまで個々バラバラに活動していたスクールアイドルをある程度一元化し、広くその存在を世に知らしめようと作られたコミュニティサイトです」

 

「はぁ…」

 

「このサイトに登録すれば、自分たち専用のホームページが与えられます。ですので、そこにメンバーを紹介したり、活動内容を載せたり、当然ながらライブ映像をアップすることもできます。ライブ情報については、カレンダー形式で表示もされますので、いつ、どこで、誰がライブをするのか…それを見れば一目瞭然ですわ」

 

「そんなのがあるんだ…」

 

「このサイトは、スクールアイドル同士の『横の繋がり』にも活用されていて、お互い情報交換したり、合同ライブを企画したり…不要になった衣装を譲ったり譲られたり…」

 

「そっか!衣装ってお金掛かりそうだもんね…」

 

「スクールアイドルは大抵、部活というよりは…少人数でサークル的な活動をしていますので、学校を頼るというのはあまりできません。ですから、それはそれはとても貴重なものなのです」

 

「なるほど…』

 

「それこそが…その…貴方が憧れている…μ'sのメンバーの1人…が立ち上げたコミュニティサイトなのですわ」

 

「そうなんですか!?知らなかったなぁ…」

 

「μ'sがカリスマと言われているは、ラブライブの発展だけでなく、そういうことも含めてスクールアイドルの認知活動に尽力した結果なのです」

 

「随分詳しいんですね…」

 

そう言ったのは…ただただ、ダイヤの説明に感心している千歌…ではなく曜であった。

 

「は、はい?え、えぇ…これは…その…生徒会長としては当然のことですわ!」

 

ダイヤは少し、慌てたように答えた。

 

「イエース!これはスクーアイドゥだけでなく、色々なサークルが活動していく為のモデルケースになったので、学校関係者ではメジャーなサイトなんで~す」

と鞠莉がフォローした。

 

 

 

「スクー…?」

 

「アイドゥ…?」

 

千歌と曜は、その発音に違和感を覚え、思わず口にする。

 

 

 

しかし、すぐに気を取り直し

「えっと…あの…許可して頂きありがとうございます。一生懸命頑張りますので、宜しくお願いします」

と千歌は頭を下げた。

曜もそれに合わせる。

 

「いえ…」

とダイヤ。

 

「では、失礼します」

 

千歌と曜は再度一礼して、振り返り部屋を出ようとした。

 

 

 

その時だ。

 

 

 

「貴方たちではμ'sになれません。μ'sが見た景色も見れません。そして、ステージの結果がどうであれ、私は一切の責任は持ちませんので、予めご承知おきを…」

 

ダイヤは2人に、そんな言葉を浴びせた。

 

 

 

驚いて立ち止まる2人。

 

しかし、それより早く

「ダイヤ!?」

と叫んだのは鞠莉。

彼女を睨み付けている。

 

 

 

「当然ですわ。顧問がいないサークル活動ですから、何が起きても、それは自己責任です」

 

ダイヤは…「挑発には乗りません」…そんな感じで至って冷静に答えた。

 

 

 

それを受けて

「ご忠告ありがとうございます」

と部屋を出る千歌。

 

「失礼しました」

 

曜もそのあとに続く。

 

 

 

 

 

「気分悪いなぁ…」

と廊下を少し歩いてから、曜が不満を口にした。

 

ここまで来れば、その言葉も彼女たちに聴こえることはない。

 

「生徒会長?」

 

「そう。アッサリOKしてくれたのは良かったけど…最後の最後であんなことを言わなくても」

 

「そうだね…」

 

「スクールアイドルのことも妙に詳しい感じだったし…なにか引っ掛るんだよねぇ…」

 

「でも、コミュニティサイトだっけ?…のことも教えてくれたし…なんだかんだ言って協力してくれる雰囲気だったけど…。果南ちゃんが言ってた通り、私たちの本気をわかってくれたんじゃないかな?」

 

「う~ん…そうなのかな…」

 

千歌の浮かれた表情とは違い、曜は少し納得していない顔だ。

 

しかし、それには気付かず

「そうと決まれば…曜ちゃん、早速、練習するよ!」

と元気に彼女の手を引っ張り、千歌は走り出した。

 

 

 

…まぁ、いいか…

 

…よーし!!千歌ちゃんの本気、見せてもらうよ!…

 

 

 

普通に走れば曜の方が圧倒的に速い。

 

しかし今は、千歌の後を追いかけて見るのも悪くないと思っていた。

 

 

 

 

 

千歌が披露しようと思っている曲は既に決めてある。

μ'sの『START:DASH』だ。

それは彼女の人生観を変えた曲だから。

 

だが、もうひとつ理由がある。

この曲は3人ヴァージョンと9人ヴァージョンの2パターンあるが、彼女が最初に観たのは後者だった。

実は、それが重要で…μ'sとして残されているライブ映像の中で、唯一『制服姿』でパフォーマンスしている曲なのだ。

先にも述べたが、これがフリフリの衣装…ファーストライブの3人ヴァージョン…であったら、そこまでμ'sに興味を示していなかったかもしれない。

あくまで『普通の女子高生が…』というところが、感銘を受けたポイントだったのだ。

然るに…彼女の中では(金銭的、時間的な問題を除いても)『衣装を新調せず制服のままでよい』…ということが大きなウェイトを占めていた。

 

 

 

かくして千歌と曜のユニット『CANDY』は始動したのである。

 

 

 

 

 

~つづく~

 

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