魔法少女育成計画-dogma-   作:闇と帽子と何かの旅人

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第三話『Good morning』

 「ここがスノーホワイトちゃんの夢の中なんだね~」

 

 そう言いつつキョロキョロと辺りを見渡すねむりん、彼女はこんな所に居るべきでは無いと思い。私はねむりんに帰るよう促そうとするが。

 

 「すてきな場所だね~お話しよ~」

 

 私は全てどうでもよくなり彼女のそばへ赴いた。

 

 彼女と居る空間それはきっと、それこそどんな場所でもこんな風に幸せになれるのだろう。私は夢心地の世界で彼女と話をしていた。 

 

 「甘えん坊さんだね~よしよし」

 

 まるで嬰児(あかんぼ)のように私は彼女に甘える。

 

 「もしスノーホワイトちゃんが困ったら~いつでも私が助けてあげるね~」

 

 それはきっと、幸せな子供の夢のような時間だった。

 魔法少女という生物として生れ落ちた私が彼女という母に育てられる。

 

 「夢の中でも寝ちゃったね~なんだか~つられて~私も眠くなってきちゃった~」

 

 夢の中で見る彼女の夢はどんな夢なのかしらんと、そう思いながら私の意識はそこで途切れていた。

 

◇◇◇ 

 

 次に私が目を覚まして見た顔は、いつもと変わらない病室の薄汚れた壁の笑顔だった。

 私はそこから逃げ出すように街へ出かけていた。

 

 心の赴くまま人助けに固執し。街を彷徨っていると見知った人物が居た。そこには学校帰りの颯太の姿があった。

 

 「あ! 小雪、飴あつめてるの?」

 

 私は頷く。

 

 「それにしても小雪が元気そうでよかった!」 

 

 少年はこちらにはにかんでいたので、私も微笑み返す。

 少年は家に一旦帰ると言い、鉄塔で待ち合わせをしようと言い帰路へついていった。 

 

 私は鉄塔に足早に行き、彼を待つことにした。 

 

 「おまたせ、飴集め手伝うよ!」

 

 そう言いながら鉄塔に着いたラピュセルは私の隣に座り。凛とした表情でこちらを見ている。

 すこし風が冷たい。そう思いながらも、横に居るラピュセルを思う心はどこか暖かかった。

 街へ繰り出し人助けを繰り返す。落し物を探した。迷子を助けた。怪我で泣いていて動けない子供を親の元へ送った。

 

 本当に助けたいモノは何だろうか。ふと私は自問自答をしていた。

 横に居たラピュセルが喜々として私に話しかける。

 

 「スノーホワイト! 今日も大活躍だね」

 

 相槌をしながら声の聞こえるほうに向かう。

 更にラピュセルは楽しそうに話しかける。

 

 「やっぱりさ。小雪は魔法少女になるべくして、うまれてきたんだと思う」

 

 足が一瞬止まる。どうしたのと顔を覗かせるラピュセルを気にも留めず。私は声の鳴るほうへ進んでいた。

 子犬が居た。声の主はこの子だろうかと思いながら見ていると、子犬は傍らの亡骸に寄り添っていた。

 

 ラピュセルが悲しそうな声で語りかける。

 

 「この子のおかあさんかな。可哀想に、まだ小さいのに」

 

 助けを欲していても助けられない。たとえ魔法少女といえど、母の愛には勝てない。

 自分の無力さを目の前に痛感させられた気がして、私は呆然としながら立ち尽くす。

 

 「小雪、大丈夫?」

 

 ラピュセルが私を心配そうな表情で見つめていた。

 

 「きっと大丈夫だよ。この子は生きてるんだから」

 

 そう言いながら子犬を撫でるラピュセルの手に私も手を添える。

 子犬の声が聞こえなくなるまで寄り添っていた。

 

 

◇◇◇

 

 

 「すっかり朝になっちゃったね」

 

 ラピュセルの声に気付く、そのうちにふと周りを見渡すと朝焼けが見えた。

 

 「小雪も今日はお疲れ様。そろそろ帰ろっか。」

 

 どうやら少し眠っていたようだった、残念ながら夢は見れなかったようだったが。 

 ずっとに重ねていた手を離し、ラピュセルに手を振る。今日はありがとうと言い、別れた。

 

 私は魔法少女の体といふのは便利だと思っていた。たとえ心がすこぶる疲れても、体だけは元気なのだから。

 

 病院へと戻り私はベットに横たわる。私は昨日見た夢を。ねむりんにもう一度会いたいと思いながら、眠りについていた。

 

 「あれ~? もう朝なのに今からおやすみなの~?」

 

 夢の中でねむりんと出会う。

 タダソレダケで私は幸福だった。

 

 「頑張ってえらいね~。まとめサイトでも白い魔法少女が人気だよ~。あれってスノーホワイトちゃんの事だよね~」

 

 すこし照れくさい気持ちにさせられながら今日もねむりんと会話をする。

 甘えている私は彼女(ねむりん)には、どのように映っているのだろうか。

 子守唄が聞こえる。夢の中で眠れる事の幸せに、私は気付けなった。

 

 そうして私は夢と現とを繰り返す。明日の夜はイヨイヨ、魔法少女に失格者がでるであろう日に迫っていたが、私はねむりんの夢の中で夜を明かしていた。

 

 「スノーちゃん。明日の~お昼起きてる?」

 

 彼女の膝の上でうなずく。

 

 「よかったら~私のお家に遊びにおいでよ~」 

 

 突然の誘いに困惑していると、ねむりんが言葉を続けていた。

 

 「きっとね~明日の夜には、私は魔法少女を辞めることになると思うから~」

 

 私はただ黙ってうなずく。彼女はさらに言葉を紡ぎ続ける。

 

 「私が魔法少女をやめても、友達で居て欲しいな~と思って~」

 

 嬉しかった。感情ではそう思っているのに、なぜか困っていた。

 けれども。ずっと友達でいようねと、私は指きりをし彼女と約束した。

 

◇◇◇ 

 

 昼頃に目が覚め私はねむりんの住む家に向かっていた

 大きなマンションが見えて来る、マンションのオウトロックという物になれていなかった私は少し戸惑うが、言われた番号を押し、待っていると。ねむりんの声がし導かれる。

 

 三条という表札。どうやらここがねむりんの家らしい。

 扉が開き中から少女が顔を覗かせる。

 

 「ようこそ~。ここ私の所有してるマンションだからすこしぐらい騒いでも、平気だよ~」 

 

 いつもの眠たそうな少女が出迎えてくれていた。

 部屋に入るとお菓子がたくさん置いてあり、どれでもどうぞ~、という優しい声に少し遠慮がちにいただく。 

 

 「忙しいのに遊びに来てくれてありがと~」

 

 私は心のそこから笑顔ではにかむ。

 

 「今日は家に誰もいないから~たくさんお話できるね~」 

 

 どうやら家族は皆出かけていてねむりん一人のようだった。

 話といえど。いつも夢の中で話しているよね、などと笑いながらいつもと変わらず談笑していた。

 

 「それでね~夢の中以外でもキャンディあつめろ~ってファヴったら怒るんだよ~」

 

 ファヴが怒る事なんてあるのかと少々驚きながらもねむりんとの会話に花を咲かせていた。

 夕方になり。帰り支度をし、玄関に向かい別れの挨拶をし帰ろうとすると、彼女に呼び止められる。

 

 「これおみやげ~友達のしるしだよ~また会おうね~」

 

 手を握られ柔らかな感触と硬い感触が伝わる、開いてみるとそこには飴があった。

 

 私はそれを心のそこから感謝をして受け取り。またねと再開を約束する指きりをし。手を振りながら彼女と別れた。

 

 

◇◇◇

 

 

 【スノーホワイトが魔法の国に入国しました】

 

 その夜最初の魔法少女が脱落する。

 

 【今週一番キャンディが少なかった子は】

 

 とくにドラムロールが鳴り響くわけでもなく、ただファヴが淡々と進めていた。

 

 【ねむりんぽん! 残念ながらねむりんとはここでお別れぽん】

 

 指名されたねむりんは恥ずかしそうに笑っていた。

 

 「じゃあね~みんな~」

 

 笑顔で手を振りながら、部屋から消えていくねむりん。

 ねむりんのアバターが消えてなくなってしまうその直前に、私のほうを向きまたね(、、、)とつぶやいたように見えたので、それにつられ私も頷く。

 

 消えて行ったねむりんを、見送り終えた私が次に聞いたのは。

 いつものファヴの声だった。

 

 【ちなみに今週1位の優秀な魔法少女はスノーホワイトぽん! みんなもスノーホワイト目指してがんばるぽん】

 

 そう名指しされる。周囲からは拍手が巻き起こるが、そこにはちっとも喜べずにいる私がいた。

 

 イベントの発表も終わり、みなログアウトをしていく。私は眠る事もなく、ただ呆然とチャットルームに残っていた。

 

 「ファヴ、お聞きしたいことがあるのですが」

 

 クラムベリーがファヴに質問をしているのを私は横目に見ている。

 キョロキョロと見渡す、部屋には私とクラムベリーとファヴだけが残っていた。

 

 【ぽん?】

 

 ファヴはきょとんとした顔で質問に驚く。しかしその顔は眉一つ動かぬ無表情だったのを私は覚えている。

 魔法少女の資格を剥奪された魔法少女は、どうなるのかというクラムベリーの問いに。ファヴは口元を歪ませながら答える。

 

 【資格を奪われた魔法少女は死んじゃうぽん】

 

 更にクラムベリーは質問を続ける。それは魔法少女としての死という意味かと。

 

 【普通に死んじゃうぽん、だから脱落しないように頑張って生き延びてぽん】

 「そうですか」

 

 衝撃的な内容にも関わらずクラムベリーは終始淡々とした表情だったのを私は覚えている。

 ただ不思議な事に、私もその事実に驚く事も恐怖する事もなかったのが一番の驚きだった

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