拳を固く握り使い魔達に向かって構えをとる。敵の数はざっと数えて20体ほど。果たして、まどかとさやかを守りながら戦い抜くことができるかどうか。
緊張と不安で冷や汗が額から流れ落ちる。
クソッッ!冷静になるんだ俺……。全神経を極限まで張り詰めろ!あらゆる情報を脳に集めて瞬時に適切な判断を下せ!
天井にぶら下がっていた鎖が落下し鈍い音をたてる。その音が戦闘開始の合図となった。
「うおおおおおおお!!」
俺は前方にいた使い魔に接近し中段回し蹴りを放った。腰をしっかりとひねり全体重が乗った強烈な蹴りは使い魔の綿菓子のような体を粉々に粉砕した。
「次ッッ!!」
左側から接近してきた使い魔をターゲットに定める。
「キャハハハハ!」
使い魔は不気味な奇声を発し鋭利なハサミを投げて攻撃してきた。喰らえば即死だろう。
だが俺は手を弧を描くように回し、投げてきたハサミをはじき飛ばした。空手の受け技である「掛け受け」という技術だ。
ハサミ攻撃を防いだ俺はそのまま正拳突きをお見舞いし使い魔の体を貫いた。
敵を倒したからといって躊躇してはいけない。止まっていたらすぐ大群に押しつぶされてしまう。こっちから一気にたたみかける。距離が近い敵から順番にターゲットに定めていく。囲まれないように自分から接近し1対1になる状況を作り出す。1対複数の時の基本的な戦術だ。
俺はハサミ攻撃に注意しつつ次々と使い魔達を倒していった。
「いけるッッ……!この調子なら勝てるッッ!」
一般人の自分が使い魔相手に対抗できるのか不安だったが自分の力が通用することがわかり最初の時の恐怖はほとんど消え去っていた。
順調に使い魔を倒し続けて気づけば残り10対ほどとなっていた。
「ハァハァ……あと少し……」
俺は両手を握り、平行立ちに構える。そして口を開き腹に力を込めて体内の空気を一気に吐き出した。体内の空気をすべて吐き出してリセットすることで
乱れた呼吸を整えることができるのだ。これも空手の技術で「息吹」という技だ。
息吹で呼吸を整えた俺は残りの敵を倒すべく再び構えをとり使い魔達との距離を縮めようとしたが、その瞬間に爆発が起こり残りの使い魔達は全て消滅した。
「ゲホッ、ゲホッ……ッッ!!一体何だってんだよ……ッッ!!」
爆発によって起きた煙を振り払い前方を確認する。
「あれだけの数の使い魔と素手で闘うなんて……凄いわねアナタ」
そこには胸の大きな縦ロールの少女、巴マミが立っていた。