昔々の物語。
むかーしむかし。
生まれながらに悪と決めつけられた女の子が居りました。
少女の母親だった女性は魔女だと言われていたそうですが、少女は親の顔など見たことがありません。女の子が生まれ、物心がつくまでの間に火あぶりに掛けられて死んでしまったそうです。
女の子は悲しいとは思いませんでした。
七つまでは神のうち、という信仰が女の子の小さくて大きな世界にはあったそうです。
だから、わるい魔女の産み子であっても、大人たちは母親のようにむやみに火あぶりにはできません。
意地悪な大人たちは、女の子が七つを過ぎれば火あぶりにしようと決めていました。
女の子は悲しいとは思いませんでした。
魔女狩り、というそうです。
女の子は村で唯一、魔女と蔑まれた女達の中から生まれた子供でした。
村の人々は女の子を蔑み憎み、同じぐらいに恐れていました。
女の子は悲しいとは思いませんでした。
女の子は物心ついた頃には、村の色んな人々のたらい回しにされ、使用人のように、奴隷のように扱われました。
意地悪な大人は、女の子が人を恨めば、神は断罪し少女を燃やしても悪くなくなると考えたのです。
聡明な女の子はすぐにそれに気づきます。
女の子は悲しいとは思いませんでした。
女の子が虐げられ続けたまま、月日は淡々と過ぎていきます。
そうしてある日の朝、女の子は七つ目の誕生日を迎えました。
勿論誰も祝福などしてはくれません。
女の子は悲しいとは思いませんでした。
村の誰もが疎み続け、待ち焦がれた処刑の日です。
何故、と首を傾げれば村の大人たちは口をそろえてこう言います。
「お前は化物だ。間違っている。正しくない。だから燃えるのだ。」
女の子の側に立つ者など居ません。
賢い女の子はそれでいいと思っていました。
己を炙る為に猛る焔を見てもそれは変わりませんでした。
ただ何故、と。
心を持ったその日から想い続けた疑問だけ胸の内に隠します。
わたしはなにをまちがえたのだろう。
これだけが、女の子が七年を生きてきて得た想いでした。
ニヤニヤ笑いの大人たちに吊るされ迫る死を、間違っているのなら仕方がないと、子供ながらに受け入れます。
人が女の子を助けることはありません。
しかし果たして。
炎は少しも熱くありませんでした。
女の子は首をひねって大人たちを見ます。
大人たちの顔を見てもわかりません。
ただ一人は怯え、一人は嘆き、一人は怒っていました。
皮肉にも何故と。
女の子が想い続けたことをこそ叫びます。
幼いながらに女の子は考えました。
どうして熱くないのかと。
答えはすぐに出ました。
「わたしはなにもまちがってない・・・?」
小さな呟きは不思議な程に浸透し、僅かな沈黙を生みました。
しかしそれも一瞬。
村の長である壮年の男はそれを聞くと怒り狂い、村の者に女の子を降ろせと命令しました。
あらゆる責め苦を与え、少女の不浄を証明すると。
男は三日三晩、女の子をあらゆる手段で拷問し、傷つけようとしました。
それでも女の子には傷一つつけることができませんでした。
決して認めようとはしない男を、もう村は長と扱わず、一つの結論に至りました。
少女は潔白である。
罰を与えられるべき罪を持たない少女を害することは、我らが神が赦さないのだと。
こうして。
後に邪悪そのものと呼ばれる少女は、世界に産声を上げたのです。
語彙力なくて笑うしかねーってんですよ。