めんどくさがり少年と和菓子屋少女   作:樋井

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お久しぶりです最近デレよりもミリのプレイ時間が長くなってる樋井です。
今回はちょっと次の話考えてるとなかなか出て来なかったため息抜きとして周子が東京に付いて来た理由の話を書くことにしました。力不足でごめんなさい許してください
あとサブタイトルが相変わらずの意味不明の低クオリティなので話数表示に変えました。


12話

あぁ………今日も退屈やわぁ。夏休みに入ってしばらく学校行かんでええのはいいんやけどなぁ、その分店の手伝いをせなあかんってのがねぇ…。しかもこんな超がつくほどクソ暑い中で暑苦しい格好をして店の手伝いをしなければならない。京都は観光名所がたくさんあるから年がら年中観光客が多い。春や秋は気候的にも過ごしやすからいいが、夏と冬は別で、夏は暑苦しく冬は寒い。

ウチの和菓子屋は昔から続いてる老舗であるため格好もそう思わせるように着物だ。

着物は風通しが良く涼しそうに見えるが、やはり私服のように解放的ではないからなかなか暑いのだ。そして冬も冬でそれなりに寒いのだ。

で、つまりシューコちゃんは何を言いたいのかというと

 

「あっつーい。溶けそうやわ…部屋に入って涼みたいよお〜」

「またそないなこと言って。少しはしゃんとし」

「そうは言っても今この時間お客さんそんなに来ないからええやん」

「そうは言うけど今お父さん出とるんやからお父さん帰ってくるまではあかんよ」

「えぇ……」

 

夏真っ盛りで客は一時的ではあるが少なくなるこのお昼時に何が悲しくて店番をしなければいけないのか。そう思いながら店の試食用にカットされた八ツ橋をつまみながら携帯を取り出すことにした。

ただこのまま何もしないのは気がもたないし、おかんもやることなくて本読んでるしまぁ大丈夫だろう。ってなわけで電話…はまずいのでL◯NEを開いていつもの相手とのトーク画面を開く。

 

『ねぇ』

『なんなん』

『暇やねん。構って』

『暇って、そっち店の手伝い中やろ?』

『おとんが店出てて、おかんと店番中』

『客おるやろ』

『お昼時やからか全くおらんよ』

『ってなわけで店来てよ、店番だけで結構退屈なんよ』

『嫌や。話するだけならL◯NEで充分やん』

『まぁそう言わずに』

『断固拒否。こんな外クソ暑いのに外でたら溶けるわ』

 

むぅ…こっちは暑い中店番してるのにそっちは涼しく空調が効いてる家に籠るのは腹がたつなぁ。

 

『そんなに暇なら母さんの話相手になったってや。なんかそっち行ってるみたいやし』

『それはおかんが相手になると思うよ。というよりおばさんの方も多分それが目的でこっち来てるんやろうし』

『あぁもうわかったって、そっちに行きゃいいんやろ』

『じゃあ待ってるからねぇ』

 

よし、なんとか引きずり出す事は出来た。これで少しはマシになるし、おとんが帰って来たら色々引っ張りまわしてやろう。

 

「こんにちは〜」

「こんにちは〜」

「あら周子ちゃんこんにちは。お母さんいる?」

「えっと、奥におるはずやからちょっと呼んでくるよ」

「ごめんなさいねぇ」

 

さっきまで店の中にいたのにいないからおそらく奥に行ったのだろう

それで奥にいってみると、さっきと同じように本を読んでたのだが、のんびりと冷たいお茶を飲んでいた。子も子なら親も親なんだと実感した。自分の緩いところはやはり引き継いでの物だと思う。

 

「おーい、佐原さんとこのお母さんが呼んでるんやけど」

「あぁ、ありがとう。すぐ行くさかい」

 

おかんに伝え終わるとあたしも店に戻る…

ってのは嘘で、こっちはずっと店内で番していたため喉が渇いたのだ。お茶の一つ飲んでもいいだろう。

 

「って、冷たいお茶ないやん。今は冷たいの飲みたいのに……しゃあない熱いのにしよ」

 

(ただでさえ暑い中の店番で気分が下がってるのに、さらに気分下がるわ)

 

気分はだだ下がりになりながら熱いお茶を飲んで店に戻る。

 

「あっ周子ちゃんええタイミングで戻ってきたわ。」

[え……?」

「はいこれ」

 

そう言って渡されたのは東京行きの新幹線のチケットだ。いきなり渡されたので困惑してるとおばさんは普通に理由を言ってきた。

 

「実はうちの夫が出張で東京おるんやけど大事な書類を忘れてもてなぁ、それで春夜に渡してくるよう頼んでるけどどうも心配やから周子ちゃん居れば大丈夫やろうと思ってね」

「あたしで大丈夫なんかな?」

「大丈夫やよ。一番信頼できるし、信頼してるんよ。正直あの子うちら両親よりも心許してると思うで?せやからよろしくね周子ちゃん。あとこのことは本人には内緒な。向こうで仕事終わったら連れ回していいさかい」

 

ここまで言われれば断りずらいが、引き受けることにしたが、内心では断る気などなく引き受ける気満々だったのは言うまでもない

 

「外から見ててお似合いやと思うよ。はよくっつかんかいって思うほどに。うちんとこにお嫁にくる?」

「はい!?」

 

思いがけない爆弾の投下により今まで暑く感じてたのが更に暑く感じる。きっと顔は物凄く赤くなってると思うが、言葉が言葉だけにどうしたらいいのか自分でもわからなくなってる状態だ。

 

(いきなりこんなん言われても!あかん……なんかにやけてまう、どないしよう…)

 

必死に戻そうとするもどうも顔半分は戻りきっておらず、顔が凄いことになっている。こんなとこを春夜に見られたくない一心で平常を装おうとする。

爆弾を投下した本人とオカンはなんか言い争ってるみたいだが、今の自分にとっては気にしているどころではない。この状況から抜け出したいために一度店の外に出て深呼吸をして心を落ち着かせることにした。

 

(ほんまあの人たまにものすごい事言うてくるから慣れへんわ)

 

数回深呼吸したことでようやく落ち着きを取り戻した。店内を見るとまだ言い争ってる。内容は恐らく先ほどの爆弾投下に関することでの事だろう。いずれにせよ今日はあんまりあの人と関わりたくないものだ。

 

「なんか店ん中入りづらいみたいやな」

「そうなんよ……ってなんでおるん」

「酷いなお前。お前が来い言うたんやろ」

 

気づかないうちにあいつは店に来ていた。どうも来たのはいいが店の中があの状況なので入っていいのかわからなかったところ外にあたしがいたと言うことらしい。

と言うことはあの爆弾発言は聞かれてないと言うことだ。

 

(よかった…)

 

これまでにない程安堵したと思う。しかしいつまでも店を放っておくわけにもいかないので争いを止めることにした。

おばさんとおかんの争いはちょうどおとんが帰って来たことで終わった。そしてあたしはそれにより店番の仕事は終わったからとりあえず私服に着替えてから店を出てあいつを連れ回した。

 

気が済むまで連れ回したあと解散して家に帰り自室に戻ると東京へ行く準備をする。

チケットを見ると行くのは明日だったのだ。元々そんなに持って行くものはないため、まぁ準備はすぐに終わったが、ある問題が発生した。それは眠れない事だ。昼の爆弾発言が頭から離れず顔を真っ赤にしながら何度も寝相を変えたのは言うまでもない。

 

 

結局寝れたのは夜中の3時を過ぎてからで、新幹線の中ではほとんど寝ることになった。




読んで頂いた方々、お気に入りしてくれた方々、本当にありがとうございます。これからもゲームでもしながら頑張っていきたいと思ってます。

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