二郎になりました…真君って何?   作:ネコガミ

1 / 308
本日投稿1話目です


紀元前2800年代 ~古代中華編~
プロローグ


紀元前2800年代。

 

中華の地が、黄帝により統一されるより前の時代。

 

道教の最高神である天帝の妹が、楊という男に嫁いで1人の男子を産んだ。

 

その男子は天帝により、長男でありながら『二郎』と名付けられた。

 

そして、二郎がこの中華の地に生を受けて、7年の月日が流れたのだった…。

 

 

◆

 

 

俺は姓を楊(よう)、名を二郎(じろう)、字(あざな)をゼンという。

 

今年7歳の男だ。

 

いきなり何を言うんだと思うかもしれないが、俺は所謂転生者だ。

 

前世ではどこにでもいる普通の日本人だった。

 

西暦2010年代までは間違いなく、日本で生きていた。

 

そんな俺が、何故か中華と呼ばれる地に転生してしまっている。

 

中国じゃないの?

 

俺の記憶が確かなら、転生前に神様に会った覚えはない。

 

もっとも、転生後には神様に何度も会っているけどな。

 

なんでかって?

 

俺の母上と伯父上が神様なんだよ!

 

「二郎、母が参りましたよ。」

「母上、よくぞお越しくださいました。」

 

灌江口という地にある、俺の廓にやってきた母上に、俺は頭を下げる。

 

「二郎、親子なのですから、その様な礼などいりませんよ。」

「うん、ありがとう母上。」

 

口元を抑えてクスクスと笑う母上に、俺は笑顔でそう言う。

 

「それで、今日はどうしたの、母上?」

「兄上…天帝が二郎をお呼びです。急いで支度をしなさい。」

「うん、ちょっと待ってて!」

 

伯父上が呼んでいるのか…急いで支度をしなくちゃ!

 

俺は母上が見ている前で、ドタバタと着替えを始めるのだった。

 

 

◆

 

 

我が子、二郎が慌ただしく着替えている姿が、とても愛しい。

 

二郎は産まれた時から、大変な運気に振り回されてきました。

 

まるで、『世界』が二郎を否定する様に病を背負った小鬼達が、

夜毎に二郎の寝所にやって来て、二郎を病にさせようとしてきました。

 

その為、私は二郎と一緒に住むことが出来ずに、こうして二郎を

専用の廓に住ませないといけない…。

 

そんな二郎を守る為に廓の入口には、常に鍾馗を立たせています。

 

鍾馗は小鬼を食べるので、二郎を守るのに最適な護衛です。

 

しかし、二郎が3つの頃、小鬼を食らう鍾馗を見た二郎が泣き出してしまいました。

 

あの時は兄上に頼んで宝具(パオペイ)を借りようとしましたが、その時に道教の神々が

大慌てになりましたね。

 

あれも我が子を愛するが故の行動。

 

元始天尊も太上老君も騒ぎ過ぎというものです。

 

…コホン。

 

そんな二郎も健やかに育ち、7歳を迎え、いよいよ道士になる時が来ました。

 

二郎がこれから小鬼の存在に煩わされずに、生きていくには必要な事ですが、母としてはもう少し側にいてあげたかったですね…。

母としてはもう少し側にいてあげたかったですね…。

 

「着替え終わったよ、母上!」

 

そう言いながら、小さな身体で胸を張る我が子の姿に、思わず鼻から愛が漏れそうになってしまいます。

 

 

道教の最高神である天帝が兄上、そしてその妹である私の血と、人である夫の血を引く我が子は、人の成長力と神の才を併せ持つ稀有な存在です。

 

 

この愛らしさも当然の事ですね。

 

「では、二郎。参りましょうか。」

「うん!」

 

元気良く返事をする二郎を抱き上げて、兄上の元に向かうために神獣に乗って空を飛ぶと、

二郎がとても楽しそうに大きな声をあげました。

 

「おぉ!?凄い!この犬、何で飛べるの!?」

 

はしゃぐ二郎の姿に、私の鼻の奥が熱くなりますがグッと堪えます。

 

…しばらくは二郎に楽しんでもらうのも、悪くありませんね。

 

私や兄上は神仙ですので、時間は幾らでもあります。

 

少しぐらい兄上を待たせても問題無いでしょう。

 

私の心を察したのか、神獣が飛ぶ速度を遅くしました。

 

素晴らしい…後でこの神獣には名を付けてあげましょう。

 

その後、二郎と私はゆっくりと兄上の所に向かいました。

 

その間に二郎は疲れてしまったのか、私の腕の中で眠ってしまったのでした。

 

二郎…母はあなたの寝姿だけで、後1000年は戦えます!




本日は4話投稿します

次の投稿は9:00の予定です
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。