二郎になりました…真君って何?   作:ネコガミ

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本日投稿5話目です。


第142話

決戦に勝利した周は兵を休ませる為に一ヶ月の休養を挟んだ後に殷の都に軍を進める。

 

すると、周の軍は殷の都を無血占領した。

 

これは紂王の関係者を周が確保していた事と、決戦において殷の主要人物である紂王、聞仲、妲己の全員が倒れたからである。

 

だが都を無血占領したとはいえ色々ないざこざが起こってしまい、それに伴って多少の賊が現れる様になってしまったが、武王や姫昌に太公望といった者達が精力的に政務を行っていった事で、中華は徐々に殷の支配体制から周の支配体制へと移行していった。

 

そんな表舞台の水面下では、決戦で生き残った殷側の道士や仙人の幾人かが紂王や妲己の名を騙ったりして、再び中華に乱を起こし名を上げようとしていた。

 

しかしそういった行動をしていた道士や仙人達は弁明すら許されずに、二郎によって討伐(封神)された。

 

そして周と殷の決戦から三年の月日が流れると、中華は姫昌の優しい心根が反映された新たな時代を迎え、人々は平和を謳歌していくのだった。

 

 

 

 

「それで、お主は周を去るというのだな?哪吒。」

「あぁ。」

「胡喜媚も周を去るよー☆」

 

周の都にある宮殿に備えられた執務室にて、太公望は哪吒と胡喜媚の二人と対面していた。

 

「周の世となったとはいえ、まだ色々と問題は残っておるのだ。少しは政を手伝ってもらえぬかのう?」

「嫌だ。」

「やだー☆」

「普段はいがみあっておるくせに、こういう時は息が合うんだのう…。」

 

武人気質の哪吒と天真爛漫な胡喜媚は政に欠片も関心を持っていなかった。

 

それを知るからこそ太公望は戦後のいざこざで現れた賊の退治などといった仕事を二人に割り振っていたのだが、周の政が安定して賊が減ってきた今、哪吒と胡喜媚は周を去る事にしたのだ。

 

「それで、二人は周を去った後はどうするのだ?」

「一度故郷に帰り、両親に挨拶をする。その後は崑崙山に行って仙人になる為の修行をするつもりだ。」

「胡喜媚は哪吒のお守りだよ。まだまだ子供の哪吒じゃあ広い中華で迷子になっちゃうもん☆」

 

胸を張ってそう言う胡喜媚に、哪吒はジト目を向ける。

 

「迷子になんてならない。」

「え~?前の賊退治の後、帰り道がわからなかったじゃ~ん☆」

「あれはたまたまだ。」

 

目の前で痴話喧嘩を始めた二人に、太公望は苦笑いをする。

 

「ところで胡喜媚。お主は哪吒と共に行くそうだが、崑崙山への入山は大丈夫なのかのう?」

「前の賊退治の帰り道で二郎真君様にお会いしたんだけど、その時に胡喜媚は二郎真君様に崑崙山に入ってもいいか聞いてみたの。そしたら、崑崙山の偉い人達にお願いしてくれるって言ってたよ☆」

「それなら問題はなさそうだのう。」

 

武神相手に物怖じせずに頼み事をする胡喜媚に、太公望は内心で冷や汗を流す。

 

「話はわかった。しかし、お主達が周から去るのを認めるとしても、中華一の大国たる周としてはそれなりの形を取らねばならぬ。準備や根回し等の諸々の事は儂がやるので百日は待つように。」

「任せる。」

「太公望ちゃん、よろしく~☆スープーちゃん、またね~☆」

 

執務室から二人が去ると、太公望は大きく背伸びをした。

 

「ご主人、お疲れ様っス。」

「スープー、一服するので白湯をもらってきてくれぬか?」

「了解っス!…ところでご主人、ご主人は侍女を雇わないんすか?」

 

四不象の言葉に太公望は心底面倒そうにため息を吐く。

 

「儂が侍女を雇うと言うと、間違いなく周の有力者達が我先にと娘を押し付けようとするであろう…儂の嫁にする為にのう。」

「それはご主人が独り身でいるのが悪いっス。」

 

そう言うと四不象は白湯を取りに、執務室を出ていった。

 

「儂も立場上必要な事だとは理解しているんだがのう…。」

 

周の建国から関わり、殷との戦において軍師として活躍した太公望は今の中華で揺るぎない名声を得ている。

 

それ故に封神計画を終えた現在においても太公望は周を去って崑崙山に戻ることが出来ず、こうして執務室で政務に励まざるを得ないのだ。

 

「軍師を辞して周を去るにしても、儂の後釜を探さねばならぬし、頭の痛い事よ…。」

 

ガシガシと頭を掻いてため息を吐いた太公望は、執務室に備えられている机の上にある竹簡の一つを手に取って開く。

 

「また見合い話か。今度は黄将軍の孫娘に姫昌殿の孫娘?儂を後何年周に縛り付けるつもりなのかのう?」

 

太公望がぼやいていると、執務室の入口に人影が現れる。

 

その人影に向けて太公望が愚痴を言う。

 

「嫁を見繕うなど余計なお世話だと思わぬか、士郎?」

「私と王貴人をくっつけた君が言っていい言葉ではないな。」

 

そう言って肩を竦めると、士郎は執務室へと入っていくのだった。




これで本日の投稿は終わりです。

また来週お会いしましょう。
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