天竺を目指して中華を西へと旅している玄奘三蔵一行だが、金角と銀角と戦う様になってからはその歩みが遅々として進まなかった。
金角と銀角との戦いで傷付く度に旅を中断して身体を休める。
そして傷が癒えたら旅を再開しようとするが、それを見計らった様に金角と銀角が襲い掛かってくる。
その繰り返しをしていたら、いつの間にか一年が過ぎていたのだった。
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「悟空、大丈夫ですか?」
「うん、俺は平気だよ。」
傷が癒える度に金角と銀角が襲い掛かってくる様になって既に一年、悟空は慣れたものだと笑顔を見せていた。
「くっそー…手応えはあるんだけどなぁ…。」
「今回は本当にあと一歩という感じでした。」
「次は絶対に勝ってやるぜ!」
八戒と悟浄も傷付きながらも元気な様子に、三蔵は安心したようにホッと息を吐く。
「あっ、三蔵。あっちに黄色の布を頭に巻いている奴がいるぞ。」
ここ最近の中華では黄巾党の活動が本格的に活発化し始めていた。
蒼天既に死す、黄天立つべし。
この言葉を声高に叫び、中華の到る所で彼等は漢王朝に反逆的な行動をしている。
それにより、力なき中華の民が泣くことになろうともだ。
「悟空、八戒、悟浄、動けますか?」
「おう!俺は大丈夫だぜ!」
「任せてくれよ、お師匠様!この八戒様が黄巾党の連中を懲らしめてやるさ!」
「彼等に太平道ではなく、御仏の教えの素晴らしさを知ってもらいましょう。」
三蔵達は立ち上がると、近場の村に向かっていた黄巾党の一団の元に向かうのだった。
◆
「ふむ、今回は随分と手傷を負って帰ってきましたね。金角、銀角。」
「悟空達も結構強くなってきたんですよ、板角青牛様。」
「仙術を使わないと、僕達ではきつくなってきました。」
悟空、八戒、悟浄の三人は精霊の力を宿しているので元々の身体能力は高かった。
だが身体能力が高い故に、戦闘技術がおざなりだった。
しかし、その戦闘技術も金角と銀角との戦いを重ねて盗み、学んだ事で飛躍的な成長を遂げているのだ。
「では、そろそろ私が出るとしましょうか。」
「まだ早くないですか、板角青牛様?」
「僕達でもまだ大丈夫ですよ?」
金角と銀角の言葉に、板角青牛は不敵に笑う。
「二郎真君様に悟空達を鍛えると言ってしまいましたからね。それに中華の地も何やら騒がしくなってきました。玄奘三蔵達が戦に巻き込まれぬ様に、少し急ぐことにします。」
板角青牛の言葉に金角と銀角は頷く。
そして後日、悟空達と戦った板角青牛は、悟空達をまだ未熟と言わんばかりに圧倒したのだった。
これで本日の投稿は終わりです。
やる気充電の為に来週の投稿はお休みさせていただきます。
11月25日にまたお会いしましょう。