二郎になりました…真君って何?   作:ネコガミ

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本日投稿2話目です。


第210話

劉備に仕えた諸葛亮は領地に着くと早々にその能力を発揮していった。

 

慢性的に目に隈が出来ていた徐庶の目から隈が消えた事からも、諸葛亮の優秀さは明らかだろう。

 

徐庶、諸葛亮、法正の3人が中心となり劉備の領地を運営していくと、僅か2年で見違える程に力をつけていった。

 

そしてついに、袁紹と袁術が決戦に向けて動き始めたのだった。

 

 

 

 

「さて、それじゃおいら達もどう動くか決めるとするか。っと、その前に…法正、大丈夫なんだろうな?今お前さんに倒れられたら困るんだけどなぁ。」

 

諸将を集めて軍議を開いた劉備は、手始めに法正に問い掛ける。

 

実は数ヵ月前に一度、法正は喀血してしまったのだ。

 

普段の不摂生が祟ったといってしまえば自業自得なのだが、今や法正は劉備達にとって欠かせない存在になっている。

 

「問題ありませんぜ、劉備様。どうやら華佗殿の薬が効いたらしいですなぁ。今じゃあ血を吐く前と同じ様に酒を味わえてますからねぇ。」

 

喀血してから死相が現れていた法正を救ったのは華佗である。

 

この華佗が渡した薬はどこぞの英雄夫婦が善意で製作したものなのだが…まぁ、あの武神にしてこの英雄夫婦ありといったところであろう。

 

「そいつは一安心だ。ところで法正、お前さんは武功を上げたくねぇのかい?」

「人殺しをせずに給金を貰えるんですから文句はありませんよ。それに、劉備様はそういう国を創るんでしょう?だったら、誰かが戦いとは別の道も作っときませんとねぇ。」

 

法正のこの言葉に劉備は自然と頭を下げていた。

 

徐庶や諸葛亮にも負けない智謀を持ちながらも表舞台には立たず、裏方として真摯に国造りを担う法正の在り方は、正に能臣の鑑と言えるだろう。

 

この法正の在り方に徐庶と諸葛亮も大いに学んでいるのだ。

 

「徐庶と諸葛亮には悪いが…法正、おいらはお前さんが本物の智者だと思うぜ。」

「そんなもんは柄じゃありませんよ。それよりも私をおだてるんなら酒の一つでもくれる方がよっぽどありがたいですな。」

「おう!後で大壺で渡してやるぜ!」

 

酒を貰えるとあって張飛が羨ましそうにすると、その姿を見て皆が笑い声を上げる。

 

一通り笑いが収まったのを見て、劉備は場を仕切り直す為に柏手を一つ打つ。

 

「徐庶、頼むぜ。」

「はっ!」

 

軍事の戦略面を専門に担う様になった徐庶が説明を始める。

 

「商人達に聞きました物価の変化で、袁紹と袁術が本格的に動き出したのが明らかになりました。ここ数年で力を蓄えた我々は、二人の争いの隙をついて新たな領土を得る為に動きます。」

「具体的にはどこを得るのだ?」

 

関羽の質問に、徐庶は戦略地図を広げてから答える。

 

「この地です。」

「そこならば無理ではなかろうが…どういった狙いがあるのだ?」

「これはまだ先の話になりますが…最終的に蜀の地を得る為の一手です。」

 

徐庶の言葉に法正と諸葛亮を除いた皆が驚きの表情を浮かべる。

 

「なぁ、徐庶よぉ…蜀の地を治めている奴は劉焉殿じゃなかったか?」

「はい、その通りです。劉備様、同姓の方の地を得るのは反対ですか?」

「いや、反対はしねぇよ。徐庶が言うなら、それはおいら達にとって必要な事だからな。」

 

為政者として成長した劉備は、清濁合わせ飲む度量を身に付けている。

 

それを知る故に徐庶はこの戦略を練ったのだ。

 

「でもよぉ…蜀の地ってたしか中華でも屈指の肥沃な地だろう?おいら達で取れるのか?」

「今はまだ難しいですが、これから次第では可能になります。その為に、劉備様に一つお手伝いいただきたい事がございます。」

「おう!おいらに出来る事なら幾らでも手伝うぜ!」

 

劉備の言葉に、徐庶は包拳礼をしながら深々と頭を下げる。

 

「では早速ですが、一つお聞き入れいただき事がございます。」

「おう、なんだい?」

 

劉備は前のめりになって徐庶の言葉を待つ。

 

「以前にありました孫策殿の妹との婚姻…これをお受けいただけませぬか?」

「…はぁ?」

 

徐庶の言葉を理解するのに、劉備には今一時の時間が必要なのだった。




次の投稿は11:00の予定です。

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