二郎になりました…真君って何?   作:ネコガミ

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本日投稿3話目です。


第237話

side:アルトリア

 

 

この地…『ブリテン島』を統一してから10年、私が王となってから30年が経ちました。

 

ピクト人やサクソン人の流入も極僅かとなり、ブリテン島全域に農の技術や知識が普及しました。

 

そろそろ潮時ですね。

 

「ケイ卿…いえ、義兄上。」

「どうした、アルトリア?」

 

齢50になろうとしている義兄の顔には深い皺が刻まれています。

 

覚悟していた事ですが、やはり寂しさを感じますね。

 

「『円卓』の皆と、各領地を治める者を呼び出してください。」

「…いよいよか。」

「はい。」

 

一拍間を置くと、私はブリテンの王としての最後の役目を口にする。

 

「ブリテンを解体します。」

 

 

 

 

side:アルトリア

 

 

1ヵ月後、ブリテンの王城に皆が集まりました。

 

「なぁ、叔母上、なんとかならないのか?」

「ローマの事は、今の貴女ならわかりますよね?モードレッド。」

 

小さい頃から男勝りな言葉遣いをしていたモードレッドも、今ではギャラハッドと結婚し、女らしさを身に付けています。

 

「モードレッド、その事は前から話し合っていたじゃないですか。」

「わかってるよ、ガレス姉。でも…やっぱり寂しいじゃねぇか。」

 

モードレッドの双子の姉であるガレスは、ギャラハッドの弟のガーラハッドと結婚しました。

 

ガーラハッドは兄の様に聖人ではありませんが、父のランスロットと同じく湖の乙女の加護を得ている優秀な者です。

 

姪の婿に相応しいと言えるでしょう。

 

「やっと役目を終えられるな。」

「老け込むのは早いですよ、義伯父上。」

 

大きく息を吐く義兄に、ガウェインが苦笑いをしていますね。

 

玉座から皆の顔を見渡す。

 

円卓の騎士達に各地を治める者達。

 

本当に色々ありました。

 

ベイリンの姿が無いのは残念ですが、彼は少し心のままに動き過ぎる人でしたので仕方ないでしょう。

 

もう一度皆の顔を見渡します。

 

ケイ卿。

 

私が王となる前から一緒に頑張ってきましたね。

 

ブリテン島全域の内政の基幹を築いた貴方の功績は、円卓の騎士達の武名にも劣りません。

 

本当にお疲れ様でした。

 

ランスロット。

 

女にだらしなかった貴方も、今では立派な騎士となり、立派な父となりましたね。

 

貴方こそ正に『騎士の中の騎士』でしょう。

 

トリスタン。

 

ランスロットがエレインと結婚してからの貴方は女性に対してより熱心になってしまい、それを諌める為に内政の仕事を任せたら『王は人の心がわからない』とかいう甘ちゃんでしたね。

 

そんな貴方も今では一人前の男です。

 

なので初恋は早く忘れて今の奥方を大切にしてくださいね。

 

ガウェイン。

 

戦場にて常に先を駆けた貴方はとても勇気のある騎士でした。

 

そんな貴方も今では誰もが認めるロット王の後継です。

 

これからもブリテン島の人々を頼みますね。

 

ギャラハッド。

 

小さな頃の貴方はたまに奇跡を起こしてしまっていましたが、それも今ではいい思い出です。

 

モードレッドと共にランスロットに負けない幸せな家庭を築いてください。

 

モードレッド。

 

小国に戻ったブリテンは貴女に託します。

 

今の貴女ならば、後世に名を残す立派な女王になれるでしょう。

 

期待していますよ。

 

目を瞑り一つ息を吐くと、私は玉座を軽く叩く。

 

すると場に集まっていた皆が畏まりました。

 

「1年後、ブリテン島全域にブリテンの解体を宣言する。皆は人々に混乱が起きぬ様に準備をせよ。」

「「「我等が王の仰せのままに!」」」

 

 

 

 

『アーサー王伝説』

 

貧困と動乱で荒れ果てたブリテン島を統一し、繁栄と平和をもたらした王の伝説である。

 

ブリテン島の人々が語り継ぐアーサー王の伝説の一つに、統一したブリテンの解体がある。

 

当時、近隣にはローマという同時代で最大の国家があった。

 

豊かになったブリテン島をローマに渡さぬ為にアーサー王は、統一したブリテンの解体を決意したのだ。

 

自らの栄光の証でもある国の解体という英断は、古今でも類を見ない。

 

この英断を持ってアーサー王は後のブリテン島の人々に『理想の王』、『騎士王』と称されるのである。

 

『アルトリア・ペンドラゴン』

 

女性でありながら伝説の王となった彼女は、現在に至ってもブリテン島の人々に称賛され、今日に至るまで語り継がれている騎士の誇りを残した偉大な英雄なのであった。




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