二郎になりました…真君って何?   作:ネコガミ

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本日投稿1話目です。


第262話

冬木のアインツベルンの城にて宴が始まった。

 

開始当初は緊張していた大人達も、酒が入ったり物怖じしない子供達の姿を見た事で、英雄達と杯を酌み交わせる様になっていった。

 

そんな中で子供達に交じって酒よりも食を楽しむ大人もいた。

 

アルトリアと綺礼である。

 

アルトリアは並べられた料理を全て堪能するとばかりに手と口を動かし、綺礼は大皿に盛られた麻婆豆腐を独占して舌鼓を打っていた。

 

「ちょっと綺礼!ゼンが作った麻婆豆腐を独占するんじゃないわよ!」

「凛、あれはかなり辛いので、まだ子供の貴女は遠慮した方がいいですよ。」

 

アルトリアがやんわりと止めるものの、遠坂 凛は果敢に麻婆豆腐に挑戦する。

 

だが…。

 

「―――!?」

 

彼女は声にならない声を上げ、一口で断念した。

 

二郎が作った麻婆豆腐はどこかの世界で作られた痛みを感じる程の辛さではない。

 

だが辛党でなければ好んで食さない程度には辛く作られているのだ。

 

「なんでこんなに辛いのよ!?」

「今の中華の王が辛いものを好んでね。彼が王位を継いだ祝いに作った時のものなんだ。」

 

涙目で二郎に説明を求めた遠坂 凛は、彼の説明を聞くと口直しにジュースを飲み干す。

 

「う~…ひどいめにあったわ。」

「アルトリアが止めていただろう?なら自業自得だね。」

 

そう言いつつも二郎は辛さを控え目にした麻婆豆腐を彼女に差し出す。

 

「これなら凛でも食べられると思うよ。」

「二郎!我に先に献上せぬとは何事だ!」

「直ぐにそっちにも持っていくよ。」

 

そんな一幕を横目に、遠坂 時臣と衛宮 切嗣は酒を片手に話をしていた。

 

「娘を二郎真君様の許嫁にか…随分と思いきった行動だな。」

「私の発案ではない。凛自身の発案だ。」

「それでもそれを認めたのは時臣、君の判断だろう?僕ならリスクを考えて決断出来ないかもしれない。」

 

本来なら殺し合う仲だった二人だが、二郎に救われた者同士として今では奇妙な友情を感じる間柄となっている。

 

そんな夫達の姿に笑みを浮かべながら、夫人達も話をしていた。

 

「葵さん、凛ちゃんの事はよかったの?」

「ああなってしまったら凛は言う事を聞きませんから。それに私は良縁だと思います。だから凛を応援しますよ。」

「う~ん…イリヤも二郎真君様を悪く思ってないみたいだし、うちも考えてみようかしら?ねぇ、舞弥さん?」

「そうですね、奥様。」

 

久宇 舞弥の言葉にアイリは頬を膨らませる。

 

「もう、奥様じゃなくてアイリよ。」

「は、はい、アイリさん。」

 

華やかな雰囲気を放つ御夫人方の下へランスロットが杯を片手に馳せ参じようとするが、それに気付いたアルトリアに襟首を掴まれて引き摺り戻される。

 

「我が王よ、私はただ御夫人方に礼を尽くそうと…。」

「少しは自重しなさい。これ以上あちらに近付こうとするなら、痛みを感じる程の辛さの麻婆豆腐をその口に詰め込みますよ?」

 

そんな会話がなされている事を知らずに、イリヤスフィールはメイドの二人と遠坂 桜を連れてシッダールタの所に突撃していた。

 

「それ、黒子?」

「これは黒子ではありませんよ。」

「リズ、いけません!…あっ!?御嬢様!?」

「いったあ!?」

 

真面目なセラが自由奔放なお子様達を止めようとするが、隙をついてイリヤスフィールがシッダールタの額を押してしまった。

 

「も、申し訳ありません!」

「い、いえ、彼女も悪気があってやったわけではありませんから…。」

 

ニコニコと微笑みを返すシッダールタに、セラは流石は仏だと安堵したのだった。

 

 

 

 

大人達に酒も程よく回った頃、不意にイスカンダルが立ち上がった。

 

何事かと皆が目を向けると、イスカンダルは不敵な笑みを浮かべる。

 

「ここには時代を越えて英雄達が集った!現世の者達も色々と問いたかろう!ならば問答をしようではないか!」

「なっ!?馬鹿っ!いきなり何を言っているんだ!」

 

ウェイバーはそう止めるものの、内心ではイスカンダルの言葉に賛成していた。

 

他の面々も彼の言葉に賛成したのか、それぞれ飲み物を片手に集まりだす。

 

「それで、マケドニアの王よ、何を問答するんだい?」

「ふむ、先ずは王とは何かを問おうか!」

 

二郎の問い掛けにイスカンダルはそう答えると、ギルガメッシュに目を向けた。

 

「創り、治め、繋ぐ、それが王たる者の役目だ。」

 

人類の時代を創り、人々を飢えさせたり凍えさせることなく治め、次代へと繋げたギルガメッシュの言葉には重みがあった。

 

現代の大人達はそんなギルガメッシュに理想の王の姿を見た。

 

子供達も完全に理解出来たわけではないが、英雄の一端を垣間見た気がした。

 

「なるほど、流石は賢王と名高いギルガメッシュ王よ。だが!余が考える王とは違うな!」

「ほう?ならば貴様は王をなんと語る?」

 

イスカンダルはギルガメッシュの問い掛けに不敵に微笑んだ。

 

「王とは!臣下と民に夢を見せる者!そして皆を率いて夢へと駆ける者だ!」

 

イスカンダルが語った言葉は、正に彼の生き様そのものだった。

 

現代の大人の男性達は彼の言葉に器の大きさを感じ、女性達は彼にどこか子供っぽさを感じて微笑んだ。

 

「ギルとは違うけど、ああいう王がいても面白いよね。」

 

エルキドゥはそう言いながらアルトリアに目を向ける。

 

彼女は少し間を置いてから己にとっての王とは何かを答えようとする。

 

その時…。

 

「グワッハッハッハッ!我、参上!!」

 

雄々しく虚空を突き破り、御立派な神が姿を現したのだった。




本日は3話投稿します。

次の投稿は9:00の予定です。
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