二郎になりました…真君って何?   作:ネコガミ

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本日投稿2話目です。


第263話

御立派な神が姿を現した事で宴に参加している保護者達は大慌てとなった。

 

「お嬢様!桜様!見てはいけません!」

「ちょっとセラ!何が来たのか見えないじゃない!」

「なんか緑色だった?」

 

「イリヤ、桜、でっかいチ…。」

「リズ!それ以上はいけません!」

 

「ちょっとアルトリア、何で見ちゃダメなのよ?」

「『あれ』を見るのは凛には早すぎます。」

 

子供達の目が隠されているのを確認した親達は安堵の息を吐く。

 

「なっ…なんだあれは!?」

「むぅ…なんと立派な…。」

「そうだけどそうじゃないだろライダー!」

 

「時臣…僕は飲みすぎたのかもしれない。」

「奇遇だな、切嗣。私も飲みすぎたようだ…。」

 

男衆が役に立たない中、御夫人方は強かった。

 

「『あれ』って見た目はあれだけど、たぶん子宝を授けてくれる神よね?拝んどこうかしら?」

「最近やつれ気味ですから、切嗣に加護を与えてほしいですね。」

「…時臣さんにも必要かしら?」

 

そんな会話がされている中で、御立派な神はシッダールタの元に向かう。

 

すると…。

 

「去れ、マーラよ!」

「つれない事を言うでない。我もタマには飲みたいのだ。」

 

ブルンブルンと雄々しく身体を振るいながら御立派な神がそう言うと、シッダールタは大きくため息を吐く。

 

「ゼン様…申し訳ありませんが…。」

「構わないよ。子供達が見えない様に認識阻害をしておくからね。」

「御迷惑をお掛けします。」

 

二郎が座ったまま柏手を一つ打つと、淡い光が御立派な神を包み込んだ。

 

「ゼンよ、我はこの様なモノを被らずとも、恥じ入るところはないぞ。」

「今の世の人々には、マーラの姿は刺激が強すぎるみたいだからね。」

「ふむ、ギンギンにみなぎる我の姿は立派過ぎる故、直視出来ぬのもいたしかたないか。」

 

御立派な神は機嫌よく高笑いをしたのだった。

 

 

 

 

目隠しが無くなった子供達は周囲を見渡す。

 

チラリと見えた緑色の物体の姿が見えずに、子供達は首を傾げる。

 

すると…。

 

『グワッハッハッハッ!』

 

虚空から高笑いが聞こえてきて驚いた。

 

「な、なに?この笑い声?」

「凛、気にしたら負けです。」

 

遠坂 凛は何故か拝んでいる母親達の姿を見つけるが、アルトリアの言葉通りに気にしない事にした。

 

「さて、問答の途中だったな?アーサー王よ、御主の考える王とは何だ?」

 

イスカンダルの言葉にアルトリアが答える。

 

「私にとって王とは『約束』です。」

「「「約束?」」」

 

異口同音の言葉に頷くと彼女は続きを語る。

 

「騎士の誇りを次代へと繋ぐべく私は王となりましたが、その際にある人と一つ約束をしたのです。その約束があったからこそ、私は途中で折れず、最後まで責務を果たしきる事が出来ました。」

 

アーサー王伝説に残されている当時のブリテンの状況は酷いの一言に尽きるものだ。

 

故にそのブリテンを立て直すにはそれ相応の覚悟が必要になる。

 

だからこそ大人達は彼女の言葉に理解を示したが、子供達はアーサー王伝説を詳しく知らぬため疑問を持った。

 

そんな子供達を代表して遠坂 凛がアルトリアに問い掛けた。

 

「ねぇ、アルトリア、貴女がした約束って何?」

 

凛の言葉にアルトリアは微笑みながら答える。

 

「事を成し終えたら、ある人に恋人にしてもらうと約束したのですよ。」

 

そう言いながら彼女はチラリと二郎に目を向ける。

 

この彼女の言葉と仕草に桜やイリヤを含めた女性陣は歓声を上げた。

 

しかし凛は不満気な顔をする。

 

(お父様の説得は出来たけど、まだゼンとは約束出来てない。つまり私の婚約者は、まだゼンだと決まったわけじゃない…なら!)

 

前向きな思考と思いきりの良さ…それを遠坂 凛はここでも十分に発揮した。

 

立ち上がり片手を腰に、片手で二郎を指差しながら凛は宣言する。

 

「ゼン!アルトリアが恋人になるって約束をしたのなら私もいいわよね?私が遠坂の宿題を成したら貴方の名を預けてもらうだけじゃなくて、私とも恋人になってもらうわ!」

「なっ!?凛!」

 

アルトリアが声を上げて驚く。

 

そして二郎は笑みを浮かべながら答えを返す。

 

「…あぁ、いいよ。」

 

このやり取りに遠坂 時臣は頭を抱えた。

 

そんな時臣の杯に切嗣が酒を注ぐ。

 

「え~と、まぁ、よかったじゃないか。心労は察するけど、とりあえず飲もう。」

「…すまない。」

 

そんな感じで宴も半ばを過ぎた頃…。

 

「―――!!」

 

声ならぬ叫びを上げて、全身に鎧を纏ったサーヴァントが姿を現したのだった。




次の投稿は11:00の予定です。
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