「エルキドゥ、調子はどうかな?」
「う~ん、まだ人になったばかりだからよくわからないよ。」
エルキドゥが生き返ってから7日が経った。
この7日の間、エルキドゥはシャムハトから人としての生き方を学んでいった。
以前のエルキドゥは神造兵器であった事もあり食事等は必要なかった。
だが、人となった今では食事が必要となり、食事をすれば出るものもある。
その為、エルキドゥは改めてシャムハトから色々と学んでいるのだ。
「それもそうか。ところで、女の子になった感想はどうかな?」
「それもよくわかんないかな。でも、嫌じゃないよ。」
神造兵器だった時のエルキドゥには性別が無かった。
しかし、人として生き返らせるには性別を定める必要があったので、俺の独断でエルキドゥを女の子にしたのだ。
「ねぇ二郎、1つ聞いてもいいかな?」
「ん?」
「えっとね、その…僕は子供を産めるの?」
俺はエルキドゥの質問に少し呆然としてしまうが、意味がわかるとニヤニヤとした
笑みを浮かべてエルキドゥを見る。
「それは意中の相手がいるって事かな?」
「もう…知ってて聞いてるでしょ?」
「ハッハッハッ!ごめんごめん。」
エルキドゥは顔を赤くしながら頬を膨れさせている。
エルキドゥは人になった事で以前には無かった感情を持つようになった。
そして人になった事で以前よりも感情表現が豊かになった様だ。
「質問の答えだけど、子供は産めるよ。」
「そうか…よかった。」
俺の答えにエルキドゥは嬉しそうに、そして安心した様にホッと息を吐いた。
「でも、エルキドゥが思っている相手と結婚しようとしたら、邪魔が入るだろうね。」
「うん、あの負け犬さんが邪魔をしてくるだろうね。」
俺の言葉に返事をしたエルキドゥの目は光が消えている。
容姿は以前と変わらない美少女だが、感情が豊かになった分だけ迫力が増している様に思える。
「それで?エルキドゥはどうするのかな?」
「邪魔をするんなら女神でも蹴散らすよ。シャムハトが恋は戦争だって言ってたからね。」
シャムハトは何て事を教えてるんだ…。
「ねぇ二郎、ギルはいつ動くと思う?」
「そうだなぁ…1年は先じゃないかな?」
俺の返答にエルキドゥは驚いて目を見開いている。
「1年も?何でそう思うの?」
「相手はエンリルだけじゃないからね。神々が相手なら、いくらギルガメッシュでも相応に準備をしないと勝てないよ。」
「…それもそうか。」
エルキドゥは納得した様に頷いた。
「それに、エルキドゥが今の身体と残った権能を使いこなせる様になる時間も必要だからね。」
「ギルはそれに必要な時間を考えているんだね。」
「たぶんね。後はエルキドゥに泣き顔を見られたのが、まだ恥ずかしいんじゃないかな?」
「あっはっはっはっ!やっぱりギルは可愛いな。」
そう言ってエルキドゥは楽しそうに笑う。
「二郎、改めてありがとう。また一緒に笑う事が出来て本当に嬉しいよ。」
「どう致しまして。」
俺がエルキドゥのお礼の言葉に笑顔で応えると、部屋の扉が勢いよく開け放たれた。
「エルキドゥ!二郎!冒険に行くぞ!」
腕を組んで堂々と言い放つギルガメッシュの姿に、俺とエルキドゥは顔を見合わせると頷く。
「勝ちへの算段がついたのかな、ギルガメッシュ?」
「たわけ!我等が勝てぬ相手などおらぬわ!」
以前のギルガメッシュなら『我が勝てぬ相手など~』と言っていただろう。
だけど今のギルガメッシュは失う事の悲しみを考え、受け入れた事で以前に比べて少し素直になった。
「さぁ行くぞ!我等の友誼を奪おうとした不敬な輩を討伐する…。その準備の為にな!」
ギルガメッシュの宣言に俺とエルキドゥは頷く。
その後、俺達は幾多の冒険を越えて力を蓄えていった。
そして3人で冒険の旅に出てから1年後、ついにメソポタミアの神々との戦いが始まるのだった。
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