二郎になりました…真君って何?   作:ネコガミ

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本日投稿3話目です。


第287話

side:遠坂 凛

 

さて私の番なんだけど、召喚する英霊のイメージの為に情報が欲しいわね。

 

「イリヤ、士郎、慎二、三人のサーヴァントの事を教えてくれない?」

「ダメに決まってるじゃない。後出しだけじゃなくて更にカンニングもするつもりなの?そんなのは淑女とは言えないわ。」

 

士郎と慎二も苦笑いをしてるし、流石にダメよねぇ。

 

そうなると…。

 

「アルケイデス達の伝承から彼等を倒せる英雄をイメージするしかないわね。」

 

おそらくアルケイデスの不死は命のストック。

 

ジークフリートは背中以外は生半可な攻撃は効果が無いってとこかしら?

 

セタンタには不死の伝承が無いけど、投げれば必ず中るっていう呪いの魔槍が厄介ね。

 

あら?そういえばアルケイデスは大神ゼウスを殺したヒュドラの毒を塗った矢が有名だけど、アルケイデスってセイバーで喚ばれているわよね?

 

「ねぇ、イリヤ、なんでアルケイデスをアーチャーで喚ばなかったのよ?セイバーじゃ、大神ゼウスを殺した矢を使えないんじゃない?」

「はぁ…凛ってどこか抜けてるわよねぇ~。」

「私のどこか抜けてるっていうのよ?」

 

イリヤは指を立てて話し出した。

 

「万が一アルケイデスの矢が冬木の川に落ちたら、冬木はあっという間に死の街になっちゃうわ。そんな危ない物を使わせるわけにはいかないじゃない。」

「川に落ちたら二郎の治水の権能で清水に戻せばいいでしょう?」

「英霊の宴は私達が主体になって行うわ。なのに最初から二郎真君様頼りはどうなのかしら?」

 

…それもそうね。

 

「悔しいけどイリヤの言う通りね。」

「まぁ、私も大河に指摘されなければアルケイデスをアーチャーで喚んでたわ。」

「なによ、イリヤだって人の事を言えないじゃない。」

 

クスクスと笑うイリヤに私はため息を吐く。

 

さて、気持ちを切り替えてあの三人を倒せる英雄を考えないとね。

 

私がパッと思い付くのは二郎だわ。

 

そこでふと気付いた。

 

「そうよ、なにも西洋の英雄に限らなきゃダメなわけじゃないわ。」

 

仙人、もしくは道士なら三人と渡り合えても不思議じゃない。

 

まぁ、二郎を基準に考えるのは間違ってるけど、そう的外れな考えじゃない筈だわ。

 

「なるべく昔で、あの三人に負けないだけの偉業を成した英雄…。」

 

…いたわ!

 

とびっきりの英雄が!

 

「一人で万を超える敵に勝ったあの英雄なら!」

 

目星をつけた私は早速イメージをしながら、召喚陣に魔力を注いでいく。

 

召喚陣から光が立ち昇るのだけど、そこで何か引っ掛かりを感じた。

 

「…なにかしら?」

 

魔力をごっそり持っていかれる感覚から手応えはあるんだけど、なんかいっこうに喚び出せる感じがしない。

 

そこで思い出した。

 

彼の伝承には亡くなったとかの記述は無かったわ。

 

「もしかして彼はまだ生きているから召喚出来ない?でも召喚陣は反応しているし…もしかして召喚を拒んでる?」

 

…いい度胸じゃない。

 

私は第二魔法の一端を行使して虚空に穴を開ける。

 

そしてそこから『宝石剣』を取り出した。

 

「これならどう!?」

 

宝石剣を使い数多の並行世界から魔力を引っ張ってきて、召喚陣に注ぎ込んでいく。

 

「よっしゃ!手応えあり!さぁ、師の正妻に挨拶に来なさい!」

 

私は更に魔力を注ぎ込んでいく。

 

すると今までの誰の召喚よりも強い光が召喚陣から溢れ出した。

 

そして光が収束すると…。

 

「あら?」

 

召喚陣の上には誰もいなかった。

 

「変ね?召喚出来た手応えはあったんだけど?」

 

首を傾げて疑問に思っていると…。

 

「ちゃんと召喚出来ているよ。ただ、勢い余って空に吹っ飛ばしてしまったみたいだね。」

 

二郎が私の疑問に答えをくれた。

 

「はぁ…手応えが良かったから、つい魔力を注ぎ込み過ぎちゃったわ。二郎の言う通りなら空に召喚しちゃったみたいだけど…大丈夫かしら?」

「彼なら大丈夫だよ。状況を認識した今頃はため息でも吐いてるんじゃないかな?まぁ、そのうち来るさ。セラ、玄関前に迎えに行ってくれるかい?」

「かしこまりました、二郎真君様。」

 

セラを見送っていると、セタンタが二郎に問い掛ける。

 

「ゼン、どうも知っている奴みてぇだが…期待出来る奴なのか?」

 

セタンタの問い掛けに二郎が微笑む。

 

「あぁ、凛が喚んだのは間違いなく君の期待に応えられる者だよ。」

 

二郎のその言葉で、私は彼を選んだのは間違いじゃなかったって確信したわ。

 

「ところで凛、ちょっと話があります。」

「あら、何かしらアルトリア?」

「私は二郎の正妻の座を明け渡したつもりはありませんよ。」

 

ニッコリと微笑むアルトリアに私も微笑み返したのだった。




これで本日の投稿は終わりです。

また来週お会いしましょう。

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