軍神ニヌルタが二郎に総力戦を仕掛けた頃、ギルガメッシュとエルキドゥは道中に立ちはだかった神獣を蹴散らして、エンリルとイシュタルの元に辿り着いた。
「天界に人如きが入り込むとは傲慢が過ぎるな、ギルガメッシュ。」
「貴様こそ誰に断って我を見下ろしている、エンリル。」
玉座に座るエンリルとギルガメッシュがお互いを敵意を持って見据える。
「私の夫を連れてくるとは殊勝な心掛けね、土人形。」
「誰が貴女の夫なのかな?それに今の僕は人間だよ、負け犬さん。」
イシュタルが見下して話し掛けると、エルキドゥもそれに応える様にイシュタルに毒を吐く。
「エンリル、ギルガメッシュは私の夫にするのだから殺しちゃダメよ。」
「人如きが我と戦って形が残るとでも思っているのか、イシュタル?」
そう言うとエンリルはイシュタルを一瞥してからエルキドゥへと目を向ける。
「ほう?土人形が半神半人になったか。誰がやったか知らぬが造形は悪くないな。」
エンリルに見据えられたエルキドゥは不快気に眉を寄せる。
「イシュタルよ、ギルガメッシュは貴様にくれてやる。代わりにあれを我に献上せよ。」
「エンリル、忘れたのかしら?私は戦を司る女神よ?私と戦って土人形如きが
生き残れるわけないじゃない。」
エンリルとイシュタルの会話を聞いていたギルガメッシュから表情が消える。
友であり、妻となるエルキドゥを侮辱されて怒りが限界を超えたのだ。
ギルガメッシュは黄金の波紋から宝貝をエンリルとイシュタルに撃ち出す。
エンリルは雷で、イシュタルは暴風で宝貝を迎撃した。
「熱烈な求愛ね、ギルガメッシュ。」
「目が腐ってるのかな?負け犬さん。」
「ワンッ!」
イシュタルの言葉にエルキドゥが応えると、哮天犬がエルキドゥに同意する様に哮える。
哮えた哮天犬にイシュタルは不快そうに眉を寄せる。
「獣如きが…誰に哮えたのかわかっているのかしら?」
「哮天犬はお利口だからわかっているよ。ねぇ、哮天犬。」
「ワンッ!」
エルキドゥと哮天犬の返答に、イシュタルは眉を吊り上げた。
「いいわ。貴女をボロボロにして地に這わせてあげる。そしてエンリルに貴女をギルガメッシュの前で犯させてあげるわ。」
「そんな風に品性が無いからギルにふられたのがわからないのかな?ねぇ、哮天犬?」
「ク~ン。」
エルキドゥと哮天犬のやり取りにイシュタルはコメカミに青筋を浮かべる。
「そう…誰を侮辱したのかわからせてあげるわ!」
イシュタルは暴風を纏って空に浮かび上がる。
それを見たエルキドゥは哮天犬に跨がって空に浮かぶ。
数瞬、エルキドゥとイシュタルの視線が交差すると、どちらともなく戦いを始めたのだった。
◆
「ほう?あの獣も面白い。戦いが終わったら我の眷属にしてやろう。」
ギルガメッシュの宝貝の射出を玉座に座ったまま迎撃したエンリルは、エルキドゥとイシュタルの戦いを杯を掲げて楽しむ。
そしてエンリルが杯の中の酒を口にしようとした瞬間。
ドンッ!
エンリルが手にしていた杯だけを、ギルガメッシュは宝貝を撃ち出して砕いた。
「エルキドゥは我の妻になる者だ。そして哮天犬は我の友より預かった神獣…。どちらも貴様如きにくれてやる程安くは無いわ!」
エンリルは無言でギルガメッシュに雷を落とす。
だが、ギルガメッシュは雷を宝貝を撃ち出して迎撃する。
「神の裁きを受けぬ不敬…最早救いようが無いな。」
「救う?フハハハハ!貴様が誰かを救った事があるのか?権力に固執し、権力を見せ付け、
自己顕示欲を満たしていただけではないか!」
ギルガメッシュの言葉を遮る様にエンリルがまた雷を落とす。
雷を宝貝を撃ち出して迎撃したギルガメッシュは不敵に笑って話を続ける。
「エンリルよ、貴様は我を救いようが無いと言ったな?救いようが無いのは貴様の方だ! 貴様は『星』の声に耳を傾けず、『世界』に踊らされた道化なのだからな!」
「…何?」
エンリルは訝しげに首を傾げる。
「ギルガメッシュよ、今なんといった?」
「今の我の言葉を理解出来ぬとあれば貴様は道化ですらなく愚者だ。我と戦う価値すら無い。 我に首を献上して疾く消滅するがいい。」
エンリルは幾つもの雷をギルガメッシュに落とす。
その雷をギルガメッシュは高笑いをしながら迎撃する。
「最早、貴様の不敬は我の忍耐の許容を超えた。魂すら残さずに滅してくれよう。」
「フハハハハ!滅するのは貴様の方だ、エンリル!」
ギルガメッシュとエンリルを中心に周囲の空気が歪んでいく。
そして、エルキドゥとイシュタルの幾度目かの戦いの衝撃をキッカケとして、ギルガメッシュとエンリルの戦いが始まったのだった。
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