エンリルとイシュタルが振るう権能によりメソポタミアの天界の空は荒れ狂っている。
そんなメソポタミアの天界の空を、ギルガメッシュは空を飛ぶ船で進んでいく。
「無造作に振るう権能で我の動きを阻めるとでも思っているのか?度しがたい愚者だ。」
空を飛ぶ船の玉座で頬杖をつくギルガメッシュは、その赤い瞳で荒れ狂う空の進むべき道筋を見出だす。
「エルキドゥ、哮天犬!我に続け!」
ギルガメッシュは空を飛ぶ船を自在に操って、天界の荒れ狂う空を駆け抜けるのだった。
◆
「哮天犬、お願いね。」
「ワンッ!」
哮天犬に跨がったエルキドゥは、ギルガメッシュが操る空を飛ぶ船に遅れぬ様に空を駆ける。
「さてと、そろそろ準備をしないとね。」
そう言うとエルキドゥは右手に魔力を込めていく。
エルキドゥの右手から黄金に輝く光が溢れ出すが、ギルガメッシュが操る空を飛ぶ船の影に隠れてエンリル達の目には写らない。
「哮天犬、エンリル達を拘束したら直ぐに下がるよ。天地開闢の力に巻き込まれちゃうからね。」
「ワンッ!」
溢れ出していた黄金の光が集束していくと、エルキドゥの右手に黄金の鎖が現れた。
「行くよ、哮天犬。人の恋路を邪魔する女神を倒すためにね。」
「ワンッ!」
エルキドゥの意思に従って哮天犬が天界の空を駆ける。
そして、エルキドゥが造り出した黄金の鎖が、エンリルとイシュタルを拘束したのだった。
◆
「おのれ!我を誰と心得る!我はメソポタミアの神々を統べる天空神エンリルだぞ!」
黄金の鎖で四肢を拘束されたエンリルが、拘束から逃れようともがく。
だが、エルキドゥが造り出した黄金の鎖はびくともしない。
「ええい!何故だ!?神である我が何故この様な鎖1つで拘束されるのだ!?」
繋ぎ止める者であるエルキドゥが造り出す黄金の鎖は、神の血が濃い程その拘束力が上がり、拘束した相手の力を封じる。
神そのものであるエンリルが黄金の鎖に拘束された今、エンリルが持つ全ての権能は封じられてしまったのだ。
「フハハハハ!無様だな、エンリル。」
ギルガメッシュはエンリルを見下しながら黄金の波紋から鍵の宝貝を取り出す。
「ギルガメッシュ、そこの人形が第2夫人になるのを認めてあげるわ。だからこの拘束を解きなさい。」
エンリルと同じく四肢を拘束されたイシュタルがそう言うと、ギルガメッシュは蔑む様な目でイシュタルを見下して、黄金の波紋から歪な形の剣を取り出した。
「お前達は仮にもメソポタミアの神だ。故に最低限の敬意として我自らの手で滅ぼしてやろう。」
ギルガメッシュが歪な形の剣を手にすると、その刀身が回転を始める。
大気が剣に集束していき荒れ狂うと、エンリルとイシュタルが目を見開いた。
「人間如きが!」
「ギルガメッシュ!なんで私を受け入れないのよ!?」
ギルガメッシュは鼻を鳴らすと、歪な形の剣の力を解放した。
「天地乖離す開闢の星《エヌマ・エリシュ》!」
天地開闢の力を持つ暴風がエンリルとイシュタルを飲み込んでいく。
エンリルとイシュタルが暴風に飲み込まれたのを確認したエルキドゥは、天地開闢の力で天界が崩壊しない様に、黄金の鎖で天地開闢の力が拡がらない様に抑え込む。
だが…。
「人間如きがぁぁぁああああああ!!」
「ギルガメッシュゥゥゥウウウウ!!」
エンリルとイシュタルは身体が完全に崩れ去る寸前に、自身が持つ権能の全てを呪いの槍へと変えてギルガメッシュに撃ち放った。
「ギル!?」
その呪いの槍に気付いたエルキドゥだったが、黄金の鎖で天界が崩壊しない様に天地開闢の力を抑え込んでいた為に動くことが出来なかった。
ギルガメッシュは2つの呪いの槍を打ち払うが、呪いの槍は何度もギルガメッシュに襲い掛かっていく。
「フハハハハ!ギルガメッシュよ、貴様も滅ぶがいい!」
「ギルガメッシュ!私の物にならないのなら滅んでしまいなさい!」
呪いの槍がギルガメッシュに襲い掛かる光景を見て、エンリルとイシュタルは笑いながら崩れ去っていくのだった。
これで本日の投稿は終わりです
多機能フォームを使って真名解放時に太字を導入してみたのですがいかかでしょうか?
また来週お会いしましょう