「おのれぇ!」
襲い掛かってくる2つの呪いの槍をギルガメッシュは何度も打ち払っていく。
「ギル!」
「来るな!エルキドゥ!」
天地開闢の力の余波が収まるとエルキドゥが駆け付けたが、ギルガメッシュは声で
エルキドゥの動きを制した。
エンリルとイシュタルが残した呪いの槍が絶え間なくギルガメッシュに襲い掛かっていく。
ギルガメッシュは手にした選定の剣の原典で呪いの槍を打ち払ったり、黄金の波紋から呪いに有効な宝貝を撃ち出したりして呪いの槍を迎撃するが、呪いの槍の勢いは衰える気配を微塵も見せない。
エルキドゥも黄金の鎖で呪いの槍を止めようとするが、呪いの槍の勢いは凄まじく、
捕らえる事が出来ない。
だが、幾度もギルガメッシュが呪いの槍を打ち払うと、ついにエルキドゥは黄金の鎖で呪いの槍を捕らえることが出来た。
しかし…。
「うそっ!?」
エンリルとイシュタルが造り出した呪いの槍は、エルキドゥの黄金の鎖の戒めを振り払い、再びギルガメッシュに襲い掛かっていった。
「そんな!?なんで神の力を繋ぎ止められないの!?」
エルキドゥが驚くのも無理は無い。
何故ならエルキドゥが造り出す黄金の鎖は、神の力が濃い程にその拘束力を増すのだ。
それなのにエンリルとイシュタルが造り出した呪いの槍を繋ぎ止められないのが、エルキドゥには信じられなかった。
そして、エルキドゥの力を信頼していたギルガメッシュも同じ思いを感じた。
それ故に、僅かに動きが鈍ってしまった。
「っ!?」
ギルガメッシュの戦略に長けた思考が、数手先のやり取りで呪いの槍を身体に受けてしまう未来を見通してしまった。
そのギルガメッシュの反応を理解してしまったエルキドゥの悲痛な叫びが天界に響き渡る。
「ギル―――!!」
選定の剣の原典で打ち払い、黄金の波紋から宝具を撃ち出して呪いの槍を迎撃するが、ついにギルガメッシュが見通した瞬間が訪れようとした。
その刹那…。
ギルガメッシュの眼前で、呪いの槍が水鏡の守護結界に弾かれた。
「遅いぞ、二郎!我を待たせるとは何事か!?」
そう言いながらもギルガメッシュは笑みを浮かべて振り向く。
そこには竹の水筒を片手に持った二郎の姿があった。
「ごめんごめん。でも、ギリギリ間に合ったんだから許してよ。」
そう言うと二郎は呪いの槍に目を向けた。
「随分と面倒な物を残していったみたいだね、あの神達は。」
二郎は頭を掻きながらそう言うと、ため息を吐いた。
「二郎、あの呪いの槍をどうにか出来そう?」
「出来なくは無いと思うけど、今すぐには無理そうかな。」
エルキドゥの声に二郎は苦笑いをして応える。
「ギルガメッシュ、呪いの槍に何かの力が流れ込んでいる様に感じるんだけど、それが何かわかるかい?」
「『世界』から魔力が流れ込んでいるな。」
二郎はギルガメッシュの言葉に首を傾げる。
「魔力というのは、確か魔術とかいうものに使う力の事だよね?」
「そうだ。」
ギルガメッシュの肯定に二郎は頭を掻きながらため息を吐いた。
二郎は『気』を扱う仙人であるのだが、その『気』は魔力と相性が悪いのだ。
正確に言えば魔力と『気』は反発する性質を持っている。
なので、仙人としての修練の日々により『気』を高めてきた二郎は魔力を扱うのを苦手としていた。
「呪いの槍に延々と魔力が注ぎ込まれているから、呪いの槍は勢いが衰えないと考えてもいいのかな?」
「あぁ、我の目にもその様に『観えて』いる。」
二郎は想像以上に厄介な状況にまたため息を吐く。
「随分とエンリルとイシュタルに気にいられていたみたいだね、ギルガメッシュ。」
「フンッ!」
二郎の皮肉にギルガメッシュは鼻を鳴らした。
「それで、どうするの?」
「あの呪いの槍と『世界』の繋がりを断つ。それしか無いだろうね。」
エルキドゥの疑問に二郎はそう答えると、二郎はエルキドゥに目を向けた。
「エルキドゥ、君の『繋ぎ止める』力が必要だ。手伝ってもらうよ?」
「うん、ギルを助ける為なら何でもするよ。」
その後、エルキドゥの力を借りた二郎は呪いの槍を消滅させる事に成功した。
だが、エルキドゥの返事を聞いていたギルガメッシュは、2人が呪いの槍に対処している間、赤に染まった顔をエルキドゥから逸らし続けたのだった。
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