二郎になりました…真君って何?   作:ネコガミ

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本日投稿4話目です


第42話

中華の要所を『世界』の外側に移動させるために宝貝を集め始めてから200年程経った。

 

申公豹は伯父上の言葉通りに最初の数回は素直に蛟退治等をしていったようだ。

 

だが元始天尊様曰く、自由を愛する申公豹を拘束し続けるのは無理なようだ。

 

その為、蛟退治等を怠ける申公豹に代わって伯父上の軍が蛟退治等をしている。

 

さて、宝貝集めのためにギルガメッシュ達と冒険をしていた時の様に世界中を巡っていたのだが、

その時にギリシャに立ち寄ると、なんとケイローンが毒で苦しんでいた。

 

なので解毒をしてケイローンに事情を聞いてみたのだが、

なんでも弟子に弓を誤射されたらしい。

 

その弟子の名はアルケイデスという様だ。

 

アルケイデスはギリシャの最高神である大神ゼウスの息子なのだが、

俺と同じ半神半人なのだそうだ。

 

そんなアルケイデスは大神ゼウスの妻である女神ヘラに色々と無茶ぶりをされているらしい。

 

なんでも女神ヘラにより狂わされたアルケイデスは妻と娘、そして友人の娘まで殺してしまい、

その罪深さに思い悩んでいたところを、女神ヘラが罪を償うためとして試練を与えたそうだ。

 

…これ、女神ヘラの自作自演だよな?

 

俺がそう言うとケイローンは苦笑いをしていた。

 

アルケイデスもそれはわかっているのだが、罪の意識に悩んでいた彼は

女神ヘラの試練に挑んでいったそうだ。

 

その試練の中で多頭の竜を倒したのだが、その多頭の竜を倒した時に手に入れた毒を

彼は矢に塗って使っているとのこと。

 

そして彼がその矢を使って弓の鍛練をしていてると、ケイローンに誤射してしまった様だ。

 

ケイローンは不老不死なのだが、アルケイデスが矢に塗った毒は触れただけで

皮膚が爛れる致死の毒らしく、ケイローンは不死故に死ねずに毒に

苦しめられてしまったそうだ。

 

そして不死をギリシャの神に返上しようとした時に俺が現れて救ってくれたと言った

ケイローンは、俺に深々と感謝の言葉を言ってきた。

 

致死の毒を塗った矢を使うなら周囲に気をつけろとアルケイデスに説教してやりたい。

 

俺はそう思ってアルケイデスの元に向かおうとしたのだが、

ケイローンにひき止められてしまった。

 

ケイローンが言うにはアルケイデスの誤射は大神ゼウスに仕組まれたものとの事。

 

俺はケイローンの言葉に首を傾げると、ケイローンが事の真相を教えてくれた。

 

「大神ゼウスは予言された戦争で生き残るために戦士を集めています。

 その戦士の1人として私を求めてアルケイデスが放った矢の軌道を変えて私に当てたのです。

 私は自身の死を予知していました。ですが、それが運命ならば受け入れようと、

 今日まで弟子達の成長を見守って生きてきたのです。」

 

ケイローンの言葉に俺は少し考える。

 

大神ゼウスがケイローンを求めているのなら、ここで生き残ってもまた狙われる可能性がある。

 

そう考えた俺はケイローンに中華で匿う事を提案した。

 

だが…。

 

「ゼン殿、お気持ちは大変ありがたい。ですが、私は自身の運命が変わった事で、

 この先に起こるギリシャの未来をこの目で確かめてみたいのです。

 それに私の運命が変わったのなら、弟子達の運命も変わるかもしれません。

 私は師として弟子達の行く末を見届けたい。」

 

そう言ってケイローンはギリシャに残る事を決意した。

 

俺はケイローンの気持ちを尊重してケイローンと別れて中華に戻る事にした。

 

ただ、ケイローン程の男を失うのは惜しいと感じるので、

また誤射されても大丈夫な様に霊薬を渡しておこう。

 

霊薬を差し出すとケイローンは「ゼン殿、それほど貴重な物は…。」と言ってきたが、

自分で作れるので構わずに受け取ってくれと言って渡しておいた。

 

霊薬を受け取ったケイローンは少し迷った後で笑顔になり礼を言ってきた。

 

そして哮天犬に乗っての中華への帰り道。

 

かつてウルクの神々との戦で出会った白髪の男が、同じく白髪に褐色肌の剣士と共に、

俺に襲い掛かってきたのだった。




次の投稿は15:00の予定です

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