二郎になりました…真君って何?   作:ネコガミ

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本日投稿2話目です


第5話

昼には拳法の修行、そして夜には『美少女達』と修行をしていく日々が過ぎて5年経った。

 

うん、美少女達なんだ。

 

あの後、老師が気を感じられないっていう美女、美少女を2人連れて来て、

美少女達3人を相手に修行をしていったんだよね…。

 

年上、同年、年下と見事に揃ってさ。うん、最高の修行だったよ。

 

ただ、慣れるまでに俺の良心が悲鳴を上げていたから、老師に崩拳をお見舞いしようと

思ったんだけど、老師に『あれ?不満なら男を連れて来てもよかったんだよ?』

と言われたので、両膝をついて頭を下げた包拳礼をして感謝を捧げた。

 

老師曰く、知的好奇心から同性相手に修行をして、そっちに道(タオ)の

真理を見いだす道士がいるとか…。

 

俺と老師はなんとも言えない表情で目を合わせると、ガッチリと握手をした。

 

さて、そんなこんなで気を巡らせる事を身に付けた俺は、

いよいよ本格的に仙術の修行をしていく事になった。

 

最初に取り組んだのは『変化の術』だ。

 

これには適性があったのか、1ヶ月程で身に付いた。

 

ただ、老師が言うには本来の変化の術は、なんらかの触媒が必要なのだそうだが、

俺はその触媒を必要とせずに、己の身1つで変化が出来る。

 

さらに適当にそこら辺に落ちていた木の枝を剣に変化させてみせた時には、

老師が呆れた様にため息を吐いていた。

 

「弟子の才を喜ぶべきなんだろうけど、二郎の常識外れには苦笑いしか出来ないよ。」

 

何て事を老師に言われてしまった。

 

変化の術の修行が終わると『反魂の術』の修行が始まった。

 

これは俺にとって辛い修行だった。

 

何故かって?倫理観がガリガリと削られていったからだよ!

 

反魂の術は、その基礎としてキョンシーを作る。

 

キョンシーというのは、ゾンビの様なものだな。

 

でだ、そのキョンシーを作るには死体を使う必要があるわけで…。

 

まぁ、他人様の墓を掘り返したりなんだりしてな…。

 

そのおかげというか、なんというか…前世の記憶にある良心と倫理観が

見事にお亡くなりになったのさ。

 

そんな俺の戸惑いのせいなのか、反魂の術の修行は10年掛かってしまった。

 

もちろん、その間も拳法の修行はしている。

 

むしろ、気分転換の筈の拳法の修行の方にのめり込んでいたな。

 

この時期の拳法の修行で『瞬動』、『虚空瞬動』、『虚空立歩』を身に付けた。

 

『瞬動』は踏み込む際に足から気を放つ事で、瞬間的に大きく、速く踏み込める移動術だ。

 

『虚空瞬動』はそれを空中でやる事で、空中でも自由に方向転換出来る様になる移動術だな。

 

『虚空立歩』は簡単に言えば、空中に立つ事が出来る様になる虚空瞬動の応用だ。

 

気を放つ量を微細に制御する事で、空中で地面を踏み締める様に立つ事が出来るのだ。

 

この虚空立歩を身に付けたおかげで、空中でも崩拳が出来る様になったのは嬉しかった。

 

まぁ、虚空立歩を身に付けた時は、俺は半分神だけど本気で人間を止めた気分だったわ。

 

実はこの虚空立歩なんだが、これは俺が開発した技術だ。

 

道士や仙人は乗り物となる神獣や、空を飛ぶことが出来る宝具を持っている者もいるので、

自身の力で空を飛ぶという事をあまり考えなかったようだ。

 

そんな中で俺が虚空立歩を開発すると、拳法の修行に執心している道士や仙人は、

こぞって虚空立歩を身に付けようと修行をしだしていた。

 

まぁ、微細な気の制御技術が必要なので、みんな苦戦しているみたいだな。

 

それと、反魂の術の修行の最中に、老師のススメで俺の乗り物となる神獣を生み出す事になった。

 

これは母上がよく乗って移動している大きな犬を始めとした、仙人や道士のお供だな。

 

ちなみに、老師の乗り物は青い牛である。

 

そして俺の乗り物になったのが、犬の神獣だ。

 

老師曰く、神獣なんだけど精霊の一種の様だ。

 

名前は視察に来ていた伯父上が付けてくれて『哮天犬(コウテンケン)』となった。

 

まだ小さな子犬でとても可愛い。

 

前世は猫派だった俺が、この哮天犬のおかげで完全に犬派になったぜ!

 

とにかく、そんな感じで反魂の術の修行が終わると『練丹術』の修行を始めた。

 

『練丹術』を簡単に言うと、薬作りだな。

 

この練丹術で不老の霊薬を作ったりするんだ。

 

練丹術に関しては老師が仙人の中で最も熟達しているそうで、そのおかげなのか

俺の修行も捗って5年で終わった。

 

この練丹術の修行で作ったあらゆる病を直す霊薬を飲んだら、毎夜俺の寝所に侵入を

試みていた小鬼が来なくなった。

 

この霊薬は予防薬にもなっているので、それで小鬼も諦めたんだろうな。

 

ただ、俺の寝所の入り口を守ってくれていた鍾馗が悲しそうな目をしていた。

 

食い扶持を減らしてすまんな…。

 

でも、俺も病気になりたくないんだ。許してくれ。

 

そんなこんなで他の仙術の修行も一通り終わると俺は50歳となっていた。

 

妹の蓮も不老となり、道士として修行に励んでいるらしい。

 

そして、仙人として更なる研鑽を積もうとした頃、

俺は伯父上に用があると呼び出されたのだった。

 

 

 

 

「二郎よ。お前には(ミズチ)退治を頼みたい。」

「蛟ですか?」

 

『蛟』というのは蛇から龍に成りかけている奴の事で、まだ龍としての知性を

得てないせいか、よく力を持て余して暴れるんだそうな。

 

「既に仙人の修行を終えたのであろう?」

「はい。老師には、あとは研鑽を積むだけと言われました。」

 

俺の返事に伯父上は笑みを浮かべて頷く。

 

「なれば、蛟退治で実戦経験を積むのも悪くなかろう。」

 

確かに、伯父上の言う通りだ。

 

「それに、二郎は廓と崑崙山しか知らぬだろう?ならば、中華の地を旅して

 見聞を広げるのも良い経験となるだろう。」

「そうですね。伯父上!蛟退治の任、謹んでお受け致します!」

「うむ。二郎、励めよ。」

 

片膝をついて包拳礼を伯父上にした俺は、今生で初めて中華の地に足を踏み出したのだった。




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