二郎になりました…真君って何?   作:ネコガミ

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本日投稿5話目です


第62話

中華の空を一匹の霊獣とその霊獣に跨った一人の道士が飛んでいる。

 

「あぁ~、面倒だのう。」

「ご主人、やる気を出すっス。元始天尊様から受けた任なんすよ?」

 

道士の名は姜子牙、霊獣の名は四不象(スープーシャン)という。

 

「しかしのう…。スープー、この封神計画というのはどうにも胡散臭いのだ。」

「元始天尊様から宝貝を受け取った時はあんなに喜んでたじゃないっすか。」

 

姜子牙は腰帯に挿している宝貝に目を向ける。

 

この宝貝は『打神鞭』といい、風を自在に操る事が出来るものである。

 

封神計画の実行の助けとしてこの打神鞭を元始天尊から授かったのだが、姜子牙は攻防に

優れた力を発揮出来るだろうこの打神鞭を手にした時には子供の様に喜んだのだ。

 

ちなみに四不象は、封神計画を実行する際に広い中華を旅する事を考慮して、

元始天尊が姜子牙に引き合わせて主従の約を結んだのである。

 

「スープーよ、そもそもこう言った討伐の任は、今までは二郎真君様がされていたのだぞ?

 何かあると勘ぐってもおかしくはなかろう。」

「名を上げるいい機会じゃないっすか。これで僕も哮天犬の様に立派な神獣に

 なれるかもしれないっすよ!」

 

かの武神に仕える神獣の様になるという四不象の言葉にため息を吐くと、

沸き起こる疑問を解消出来ない姜子牙は頭をガシガシと掻いた。

 

「さぁ、いつまでも愚痴を言ってないで討伐対象を調べるっすよ!」

「儂はスープーの主人なんだがのう…。」

 

ぶつぶつと言いながらも姜子牙は懐から竹簡を取り出す。

 

この竹簡は元始天尊から預かったもので、討伐対象の道士や仙人の名が書かれているのである。

 

竹簡を捲った姜子牙は一人目に記載されていた者の名を読み上げた。

 

「え~と、申公豹?」

「ギャー!?何でそのお方の名が載ってるんすかぁ?!」

「スープーよ、知っておるのか?」

 

四不象は器用に姜子牙を振り落とさぬ様に振り向いて、姜子牙をキッと睨む。

 

「申公豹様は元始天尊様の直弟子っス!というかご主人の兄弟子じゃないっすか!

 なんで知らないんすかぁ!?」

「儂は道士の中でも若輩者だからのう。まだ元始天尊様に他の道士に引き合わせて

 もらっておらんのだ。修行も居眠りをして怠けていたしのう。」

 

何故か胸を張って自慢をする姜子牙に四不象は大きなため息を吐く。

 

「それでスープーよ、申公豹はどの程度の強さなのだ?」

「元始天尊様の弟子の中では一番って噂っス。それと、二郎真君様に喧嘩を売って

 生きて帰って来たって噂もあるっすよ。」

「武神に喧嘩を売って生きて帰って来たじゃと?!」

 

それまで飄々としていた姜子牙が初めて慌てた様子を四不象に見せた。

 

「そんな奴と戦ってはおれん。他の奴を狙うぞ。」

「それが賢明っすね。」

 

姜子牙は竹簡に目を向けて、申公豹の次に記載されていた者の名を読み上げた。

 

「次に書かれているのは妲己だのう。」

「封神計画の最重要討伐対象じゃないっすか!?大物過ぎていきなりは無理っすよ!」

 

姜子牙が竹簡に記載されている者の名を次々と読み上げていくと、

その読み上げられる名に四不象の悲鳴が続いていった。

 

「むう…もしや大物の名から書いてあるのか?元始天尊様め…知らずに

 仕掛けていたら返り討ちにあっていたではないか。」

 

姜子牙は己が師への不満をぶつぶつと呟く。

 

そんな主の態度に先行きを不安に感じた四不象は大きくため息を吐いた。

 

そして姜子牙と四不象の行く手を遮る様に、一人の道士と霊獣が立ち塞がったのだった。




これで本日の投稿は終わりです。

また来週お会いしましょう。
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