古代中華の大地を1人と1匹が歩いていく。
「いい天気だねぇ、哮天犬。」
「ワン!」
古代中華の大地を歩いていたのは、二郎と哮天犬だった。
ノンビリと歩く二郎は、40年以上の修行で腰の辺りまで伸びた髪を、うなじの所で紐を使って縛っている。
うなじの所で紐を使って縛っている。
哮天犬も生まれてから10年以上の歳月で、サラブレッド並みの大きさに成長していた。
そんな二郎と哮天犬は、蛟退治に向かう為に中華の地を旅していた。
哮天犬は空を飛べるので、哮天犬に乗っていけば直ぐに蛟の元に辿り着くのだが、
仙人としての時間感覚が身に付いてしまった二郎は、ノンビリと歩いているのだ。
だが、二郎達の姿は旅というよりも散歩をしているかの様な姿である。
二郎は仙人として修行を経た事で、非常に燃費が良く、
大抵の環境で生きていける能力を有している。
そして二郎のお供である哮天犬は神獣であり、精霊でもあるので食事等は必要ない。
もっとも、嗜好品として食事を求める事は多々あるのだが…。
「そういえば、なんで荒れていた川が静まったのかな?」
「ワフ?」
この時の二郎は知らないのだが、二郎の神としての権能は『治水』である。
その為、世界に存在するあらゆる水は、二郎に害を為さないのだ。
そして、二郎が触れれば死を齎す毒水であろうと、たちどころに清水へと変わる。
二郎が自身の権能に気付き、使いこなせばやがて聖水や神水にすら変えられるだろう。
「まぁ、いいか。時間は幾らでもあるからノンビリといこうか、哮天犬。」
「ワン!」
哮天犬が尻尾をブンブンと振りながら二郎にすり寄る。
二郎は哮天犬のモフモフとした毛並みを堪能しながら、ゆっくりと蛟退治に向かうのだった。
◆
「哮天犬。なんだろうね、あれ?」
「ワフ?」
二郎達は蛟退治に向かう旅の途中、岩に刺さっているナニかを発見した。
「これって、剣の柄かな?」
気の扱いを身に付けた二郎は、岩に刺さっているナニかに嫌な気配を感じなかったので、
特に警戒する事もなく近づいていた。
「抜くのは面倒だし、岩を砕いちゃおうか。危ないから離れててね、哮天犬。」
「ワン!」
二郎は剣の柄らしきものにポンポンと触れると、剣の柄らしきものに馬歩から崩拳を放った。
柄から岩へと衝撃が浸透して、内部から岩を砕くと、
岩の中から3つの剣先を持つ剣が姿を現した。
「変わった形の剣だね、哮天犬。」
「ワン。」
二郎が地面に落ちている剣を拾い上げると、二郎の手にズシリと重さが伝わる。
「おっ?結構重い。修行前だったら絶対に持てなかったな。」
手に持った剣を、二郎は拳法の修行で身に付けた技術で振っていく。
「うん。慣れれば気にならない重さだし、頑丈そうだから持っていこうか。」
「ワン!」
哮天犬が相づちを打つ様に鳴くと、二郎は空いている手で哮天犬の頭をワシワシと撫でる。
哮天犬の尻尾はちぎれんばかりに振られていた。
「この剣の鞘は無いのかな?剣じゃなくて槍だったら、
杖代わりにもなるし便利なんだけどなぁ。」
二郎がそう言うと剣の柄が伸び、剣は槍へと変化した。
「おおっ!?柄が伸びた!?もしかして、これって
二郎は翳すようにして槍を見る。
「今回の旅が終わったら伯父上に聞いてみよっか。」
「ワン!」
この宝具はこの旅の後に二郎愛用の武器となる『三尖刀』である。
そんな事になるとは知らない1人と1匹は、三尖刀を携えて旅を再開したのだった。
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