二郎になりました…真君って何?   作:ネコガミ

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本日投稿3話目です。


第90話

「…うっ、ここは、どこかのう?」

「あっ、ご主人、気が付いたっすか?」

 

姜子牙は気怠い身体を寝台から無理矢理起こすと、目を覚ますために頭を振る。

 

「スープー、李靖が来た後はどうなった?生きておる事を見れば、最悪の事態にはならなかったようだがのう。」

「ご主人、話はご飯の後にするっすよ。」

 

そう言うと四不象が寝台の上にいる姜子牙の元に膳を持ってくる。

 

膳を見た姜子牙の腹の虫が盛大な大合唱を始める。

 

「では、馳走になろうかのう。」

 

膳の一つの粥を啜った姜子牙はあまりの上手さに舌鼓を打つ。

 

(これは本当に旨いのう。作ったのは士郎か?)

 

粥を一口啜った後に姜子牙は竹の器に入っている水を口にする。

 

(この水も凄く旨いのう。喉が渇いておったからか?)

 

そこからは思考が入り込む余地も無いぐらいに、姜子牙は一心不乱に食事に集中した。

 

膳に乗せられた料理を余すことなく平らげた姜子牙は、一気に水を飲み干す。

 

「ふぅ~、旨かったのう。」

「口にあった様でなによりだね。」

 

姜子牙は驚きながら声のした方に顔を向ける。

 

そこには二郎の姿があった。

 

動揺を表に出さぬ様に苦心しながら、姜子牙は二郎に包拳礼をする。

 

「二郎真君様とお見受けいたします。」

「うん、そうだよ。」

 

姜子牙は気を失う前の事を思い返しながら言葉を選んでいく。

 

「二郎真君様、何故に哪吒と士郎の二人と戦っておられたのでしょうか?」

「あの二人とは手合わせをしていただけだよ。」

「…手合わせ?」

 

二郎の言葉を聞いた姜子牙は、二郎の言葉の真意を探ろうと首を傾げて思考する。

 

(あれが手合わせ?士郎と哪吒は掛け値無しの全力だった筈だが…。)

 

腕を組んで悩む姜子牙に二郎が声を掛ける。

 

「あれ?元始天尊様に聞いていないのかい?君達には俺が修行をつける予定なんだけど。」

 

そこまで言われて姜子牙はようやく思い至った。

 

(あの腹黒め…。何がちょうどいい相手だ!二郎真君様が修行をつけてくださるのなら最初から言わぬか!おかげで肝が冷えるどころか潰れかけたぞ!)

 

内心で元始天尊に文句を言い続ける姜子牙に、二郎が声を掛ける。

 

「色々と聞きたい事はあるだろうけど、今はゆっくりと休んだ方がいいね。明日には士郎が君の疑問に答えてくれるからさ。」

 

そう言うと二郎は部屋から去っていき、姜子牙と四不象が残された。

 

姜子牙は一度大きくため息を吐いてから話し出す。

 

「スープーよ、士郎から何か話を聞いておらぬか?」

「僕も詳しくは聞いていないっス。でも一つだけわかるのは、僕達は勘違いをして二郎真君様の手合わせを邪魔したって事っス。」

 

そう言う四不象の顔は青醒めている。

 

「まぁ、二郎真君様も楽しんでおったようだし大丈夫だろう…多分のう。」

「多分ってなんすかぁ!?」

「もし討伐されるのなら、既に儂達は討伐されておるわ。さて、儂はまだ身体が怠いから寝るとするかのう。」

 

そう言うと姜子牙は寝台に身体を預けて早々と寝息をたて始めた。

 

そんな主人の姿を見た四不象は、大きくため息を吐いたのだった。




次の投稿は13:00の予定です。
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