迷い込んだのはリリカルな世界 By Build 作:Plusdriver
『オーバー・ザ・エボリューション!』
翔はトリガーを起動させ、激しい漆黒の竜巻を引き起こす。
『コブラ』『ライダーシステム』『レボリューション!』
嵐のような渦の中からはやては何とか戦兎を連れて脱出するが弾き飛ばされる。竜巻が消えるとこれまでには見たことがないエボルトが姿を現した。
『ARE YOU READY?』
『ブラックホール!』『ブラックホール!』『ブラックホール!』『レボリューション!』
『フッハッハッハッハッハ!』
「フェイズ4、完了」
エボルトはブラックホールフォームに姿を変えた。コブラフォームのアーマーが白とピンクに近い赤のラインの物に変わっている。その中でもよく目に入るのは頭部と腹部だろう。コブラフォームとは殆ど造形が異なっており、白のアーマーで漆黒を囲っている様にも捉えられる。
「あ.....ああ......」
はやては恐怖した。今の自分だけでは、嫌、みんなの力を借りても倒せる未来が見えない。
「戦兎!俺はとっても気分がいい。だから今から一週間時間をやるよ。」
エボルトは気絶した白髪の戦兎にそう投げかける。はやてはその身体で何とかエボルトの視線を防ぐ。
「夜天の主だったか.....まぁいい。戦兎に伝えろ。一週間後、正午にここで待つと。」
はやては震える身体で戦兎をかばい続ける。エボルトはゲートを開きその中に入りながら言い放つ。
「遅れたら、どうなっているかはわかってるよな?」
はやてはこの一連の流れの中で一言も口に出すことが出来なかった。エボルトが居なくなった後、全身の力が抜けて地面に座り込んでしまう。
『はやて様、大丈夫ですか?』
「う、うん」
急に入ってきたミカからの通信で我に返った。直ぐに戦兎を連れて戻ることになった。
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私は、何もできなかった______
戦兎をベッドで寝かせて、ミカにはやてが最初に話たのは、そんな言葉だった。ミカは完全に力を取り戻してはおらず、ビルドフォンのまま黙ってしまう。
「私はエボルトを前にして、何もできなかった。ただ必死に逃げる事だけを考えてた。」
ミカはその言葉に納得していた。自分のベルナージュとエボルトの戦いを夢ではあるが見たことはある。あれがもし夢ではなかったとしたら______
ミカはそれ以上考えるのを辞めた。これ以上考え続けると、何も考えられなくなってしまいそうだったから。
「そんな相手に全然屈せずに戦いを挑んでいたんやな、巧にぃは.....」
『そう....ですね.....』
自分とは違い実際にエボルトの完全体を見た上に、興味がないと判断されれば殺されていたかもしれない。それに、自分には生きている身体はもう当の昔に滅びている。ベルナージュの力があって今、自分がここに存在で来ていること自体が特別なのだ。
「うっ.......」
「『!』」
そんなことを考えている内に先生の様子が変化した。目を覚まそうとしているのかもしれない。
「.....こ、ここは.....?」
「巧にぃ!」
『先生!』
二人は離れていたベッドに駆け寄った。目を覚ました戦兎の目は何処か可笑しい。
「俺は......負けたのか.......」
戦兎の問いかけに二人は言葉を返すことができなかった。その先に待っている物が何も考えつかないから。
「..........一週間後の正午、エボルトはパンドラタワーの頂上にいる......」
『はやて様、それは...』
はやては自身の口からエボルトに伝える様に言われた事を伝えた。この先どうなるのかを自分の愛している人に託すことにしたのだ。
「....そうか...一週間か......短いなぁ......」
戦兎の目からは既にハイライトは消え、この先の未来が見えていないように伺える。
「なぁ、巧にぃ....このことを管理世界中に伝えようと思うんやけど....」
そんなことをすれば、世界中がパニックすることだろう。管理局の魔術師では太刀打ちできない相手で、唯一対抗できる存在は殆ど動けない状態。まだ動ける戦兎すら既に戦う気が失せてしまっている。
「.....いいんじゃないかな」
そして、管理世界中に残された時間が伝えられた。
今週のビルド、凄かったですね。
自分が内海さんの立場だったらと考えてしまうと、仕方が無いのではと考えてしまいます。
実を言うと、戦兎は記憶を失うのではなく、視力を失う予定でしたがそうしてしまうと
「その時、不思議なことが起こった!」
とかかかざるを得なくなってしまうので戦意消失してもらうことになりました。