迷い込んだのはリリカルな世界 By Build 作:Plusdriver
戦兎が司令室に戻った頃には既に、なのは対シュテル、フェイト対レヴィ、はやて対ディアーチェの戦いが各地で始まっていた。
「遅かったか」
「仕方が無い。彼等の目的は以前と変っていない。それが分かっている分だけまだマシに思うがな」
アミタは既にアースラから飛び出して妹を探しに行っている。
一斗がアインハルトに捕まって連れてこられたころには、闘いは終わっていた。
「エンシェントベルカの戦乱と狂気が生み出した破滅の遺産か....」
レビィの言葉から原作の戦兎の台詞を思い出す。あの言葉とは違い、完全なる兵器として開発されたのだろう。
「まずい、砕け得ぬ闇が復活したぞ!」
はやてとディアーチェの戦闘が終了すると共にキリエが復活させる事に成功していた。その言葉は戦兎の意識を現実に戻した。
『システム『アンブレイカブル・ダーク』正常起動』
『皆さん.....逃げてください.....私を、起動させちゃダメなんです』
はやてがヤミちゃんと呼んだ彼女は言った。自分が自らシステムを遮断し、別のプログラムを上書きしたこと。そして、
『ぐああああああああ!!!!!!』
彼女は集まってきていたマテリアル達を刺した。
『私は融合騎ですら知りえない本当の闇.....沈むことなき黒い太陽__影落とす月___故に、決して砕かれぬ闇』
そう言って彼女はマテリアル達を刺したまま姿を消した。
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あれから一日が経過した。俺達はアースラに泊まり込んでシステムU-Dの行方を追った。すると、アミタが接触していることが分かった。
『貴方の持っている『エグザミア』を妹に渡さない様に』
今回自分が依頼された仕事を振り返ると、そんな名前が付いていたような気がしてきた。発見されたのは二つのフルボトルと石版。今自分が未来にいないせいでその内容を確認することはできない。
『博士が私達に言ってたでしょ!!沢山の犠牲で誰かが救われても、誰も感謝なんてしてくれない!!!』
その言葉には聞き覚えがあった。以前、授業であった一人の少年が、正義のヒーローになりたいと話してくれた時だ。俺は見返りを求めちゃいけないって話したはずだ。
アミタはその身を犠牲にしてまでも妹を救った。俺はそれを見た瞬間に、ビルドフォンを操作させていた。
「戦兎!」
龍斗と俺は転移した。
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戦兎が追跡を開始した。砕け得ぬ闇を追いかけているが、まだキリエの追跡が残っている。
「シャマル、こいつのことは任せた!」
マグマに直ぐに変身し、アミタを渡す。
「どらあああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」
俺は最大速度で追った。見失なわないように。
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「見つけた!」
「私には....やらなくちゃいけないことがあるんだ!!」
龍斗はキリエに追いついた。だが、攻撃をされる。
「大人しく、しやがれ!!!」
龍斗が放った一撃は既にボロボロのキリエには防ぎ切れなかった。
「......話を聞かせてくれ」
「そうね.....龍王であるあなたに聞く権利がある」
キリエは自らの故郷について語った。それは既に戦兎とクロノは知っていたが、伝えられてはいなかった。
「タイムマシンか....」
既に俺はそれに近いものを知っている。だがアイツも言っていた。過去や未来への転移は余りにも危険だと。
そのことを話したら、彼女達の希望になるかも知れない。だけど、それは許されない。
「俺はお前に力を貸せる。一緒に戦ってくれ」
龍斗は変身解除して、手を伸ばした。
龍斗は自分の出来る事をやることにした。
ただ、戦兎が無事に連絡をしてくれるのを願って。