迷い込んだのはリリカルな世界 By Build 作:Plusdriver
戦兎は襲撃があった現場に来ていた。
「何もないのか.....」
既に管理局の魔術師達が現場を開放していた。もう調べが付いてしまったのだろう。
「ん?」
あそこで話を聞いているのって、ティアナか?
「ご協力有難うございました」
住人との話が終わったみたいだから話しかける。
「ティアナ」
「あ、戦兎さん」
如何やら兄であるティーダからこの事件について話を聞いていたみたいだ。お陰である情報を手に入れた。
「最後に首を捕まれたか....」
「何か気になることがありますか?」
「ああ、奪われたのはボトルだけだったんだが....」
戦兎が気にしているのは、エボルトと一斗の関係である。一斗の中にはエボルトと同じ遺伝子がある。それを狙っているとしたら....でも、その後どうするんだ?
「こちらでも調べてみます。それじゃあ、これで」
「ああ、仕事の邪魔しちゃったな。ありがとう」
ティアナは仕事へと戻っていった。一斗の体には問題はないらしいが_____
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「遅い」
「ごめんなさい」
家に帰って来た戦兎だったが、今正座をさせられていた。何も言わずに出ていった上に、特に話をすることなく遅くなるなんて連絡をしたからこうなっているのだ。
「ごめん、一斗が襲われたから行ってきたんだけど....」
「それはもうティーダから教えてもらってる。そこやないんや」
はやては正座をしている戦兎に向かって飛びつく。
「うわっ!危ないよ、はやてちゃん」
「.....また、事件やな」
「....これが、最後になるはずだから。」
その言葉を待っていた様にはやては戦兎を押し倒す。
「それが終わったら結婚してな」
「......了解」
それは彼女なりの心配だったのだろうと戦兎は解釈した。それに少しずれがある事に気が付かずに。
「......ハナサナイ_____」
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「ティーダさん、僕は...」
「君は彼女を救ったんだ」
今一斗は助けた少女に会っていた。
「良かった....お兄ちゃん....」
泣きながら微笑んでくる彼女を見た一斗はそこに何処か変った感情を感じた。
「そっか......これがそうなのかな」
自分は何の為に戦うのか。それが彼の中で決まった。
「ティーダさん」
「なんだい?」
「いいものですね、誰かを守れるって」
「.....そうだね」
かつて守れなかった妹を守る。その後悔を乗り越えられたんだと。
「僕は、みんなを守れるヒーローに.....」
彼の決意は彼自身の成長を物語っていた。