迷い込んだのはリリカルな世界 By Build 作:Plusdriver
グレンディアの過去、それは彼をここまで狂わせるには十分なものだった。
4年前、S.S事件が終わり、ミッドチルダの復興が進む中で彼はいつも通りに生きていた。
そんなある日、彼は緊急連絡を受け取ることになる。息子が産まれたのだ。
彼は大変喜んだそうだ。これは戦兎が彼の同僚に当時の様子を伺っている。
だが、それは彼の、終わりの始まりだったのだ。
魔術師である両親から産まれた息子。その息子は、リンカーコアを持っていなかったのだ。
その為、互いの両親から育児放棄を勧められた。この時点では、彼等は互いの家との縁を切ることで解決している。
そんな息子が3歳の頃、なくなったのだ。信頼して入れたはずの保育施設は、魔法を使用できる子ばかりを優遇し、何時しか殆ど話さなくなった息子は、自ら命を絶ったのだ。
包丁で胸を刺して。
彼等はその施設に訴えた。だが、それも手を引いていた管理局の上層部が隠蔽したのだ。
その為、彼等はただ息子を失う事になった。その内、最愛の妻はうつ病になり入院と退院を繰り返し、エボルト事件が起こる前に行方不明となった。
彼は彼が愛したものを次々に破壊した管理局を、世界を憎んだ。
魔法が使えれば起こらなかった事件を。
魔法が使えなければ、何も出来ないこの世界を。
そんな時に、エボルトが現れたのだ。全てを破壊しようとするアイツに彼は可能性を見出したのだろう。
魔法が使えなくても、誰もが幸せになれる世界を。
そしてアイツがいなくなっても、自らの力で世界を変えると。
これは彼なりの正義なのだろう。戦兎は頭を抱えた。彼のやろうとしている事は、間違いじゃない。でも、それで犠牲になる人達はどうなるのだと。
「この世界が産んだ......悲しき破壊者か......」
戦兎の元に連絡がくる。ナイトローグが学院に現れたと。戦兎はオリヴィエとクラウスのボトルを持って、作業部屋を出ていった。
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「ティーダ。これ、どう思う?」
龍斗は自身の休暇を使ってティーダとグレンディアの家に来ていた。
「あの場で、事件を起こす気でしょうか?」
彼等は赤く塗られた管理局のポスターと戦技披露会の知らせを見つめていた。
付けられたままのテレビでは、繰り返しエボルトが映し出されている。
『俺はエボルト、全ての次元世界を破壊する者だ!!!!!』
ライダーを全て倒した映像と共にエボルトは高らかに笑う声が部屋の中を響いていく。
龍斗はそのテレビの電源を落とした。これ以上、見てられないからだ。
暫くして、戦兎からグレンディアの動機を予想したメールが送られてきた。その理由も部屋に来たティーダと龍斗は納得できた。
机の上に置かれた家族写真の入った写真立ては、音を立てずに割れた。
明かされたグレンディアの過去。
貴方は彼と同じ体験をして、狂わずにいられますか?