迷い込んだのはリリカルな世界 By Build 作:Plusdriver
龍斗は暗くなり始めた街を歩き病院を目指した。だが、そう簡単に事は進まない。
「よお万丈。会いたかったぜ」
「....お前だけには会いたくなかったよ。エボルト」
龍斗は一斗と戦兎の会話の後、エボルトがこの世界にいる事を伝えられた。まぁ、本人もこんなに簡単に出会うとは思っていなかったみたいだが。
「この世界には面白いものがあるんだよ。ノイズって言うらしいんだが知ってるか?」
「ああ。この世界に来て直ぐに戦ったよ。」
龍斗がノイズの危険性を知ったのはその後だが、エボルトが知る由もない。
「さて、本題だ。俺はお前がどれだけ成長したのか知りたい」
「お断りだ。こんな街中で戦う訳には行かない。」
そう彼等は今、人混みの中で会話しているのだ。ここで戦えば関係のない人々に危害が及ぶ。ましてや相手はエボルトだ。何をしてくるかなんてわかったものではないと龍斗は頑なにその戦いを拒否した。
「そうか....ならいいことを教えてやる。」
そう言ってエボルトはゲートを開く。そこから出てきたのは....
「ノイズ!?」
街中から悲鳴が聞こえてくる。
「この世界に来てからアクセス出来る様になってな。これでお前は戦わざるを得ないわけだ。」
「やめろ!わかった。俺が戦えばいいんだろ?」
エボルトはそのゲートを閉じたが、放たれたノイズ達は次々に人を灰に変えていく。
「なっ!?」
「残念ながら俺にはあいつらはコントロール出来ない。」
龍斗は困惑した。自分が戦うのを拒否したせいで関係の無い人々が犠牲になっていった事に。自分自身の選択が憎くて憎くて仕方がなくなりそうなほどに。
『コブラ!』『コブラ!』『エボルコブラ!』
「ふん」
コブラフォームへと姿を変えたエボルトはノイズから逃げた人々に毒を打ち込んで次々に消滅させていく。
「やめろぉぉぉ!!!!」
『ウェイクアップ クローズ!』『ゲット グレートドラゴン!』『イエーイ!』
龍斗はグレートクローズへと変身してエボルトに攻撃する。
「パンドラボックスの力の一片を手に入れたか.....つくづくお前は面白い!」
パンドラボックスの力を手に入れるには、パンドラボックスに認められる事が必須なのだ。マグマフルボトル、フルフルフェニックスロボボトルがいい例だろう。戦兎の夢の中に意識が登場したのは、そのボトルのせいなのだ。
『ビートクローザー!』
「消えろぉぉ!!!!!」
『READY GO!』
『ドラゴニック・フィニッシュ!』
龍斗は逃げる人々へと迫っていくノイズ達を一振りで灰に変えた。放たれたノイズは増える個体ではなく、すべて消えた。
「ぜってぇ許さねぇ!!!!」
『ボトルバーン!』
「そうだ、それでいい」
エボルトの言葉の意味を龍斗は理解しなかった。