迷い込んだのはリリカルな世界 By Build 作:Plusdriver
フーカが新しい職を得て一週間が経った。普段と変わらずベットから流れ落ちる様に落ち目覚まし時計を止める。
今フーカはノーヴェの借りたマンションに住んでいる。身元保証人は戦兎がなり戸籍上では親子になったのだが、彼女はそこまで気にしていない。
ノーヴェを起こさない様に準備を済ませマンションから出てナカジマジムへ向かう。
彼女の仕事は朝の清掃。少しずつ慣れ始めた手つきで作業を進めていく。
「ふぅ.....」
終わったことを確認した頃に、ジムの扉が開く音が聞えた。フーカは駆け足で出入口へ向かう。
「失礼します。おはよう、フーカ」
「おはようございます、ハルさん」
アインハルトが来ると朝練が始まる。
「今日は一斗さんも途中で合流するそうです」
「一さんもですか!」
この朝練には時々一斗も参加している。一斗の朝練は基本龍斗と共に行われるのだが、この様に練習を共にすることがあるのだ。
「さぁ、行きますよ。遅れない様についてきてください」
「オッス!」
いつもと変わらぬ景色の中、フーカは先を走るアインハルトを追いかけていく。
河川敷に入ろうとした所、一斗が軽く体をほぐしてながら待っていた。
「おはようございます」
「おはよう、ハル。フーカも」
「おはようございます!」
二人は走るのをやめず、そこに一斗が加わる事でそのままランニングを続けていく。
いつもの開けたエリアで一旦休憩に入る。その前に、逆方向から一人の男が走ってきた。
「おはようございます、先輩」
「おう、おはようさん。アインハルトもな」
フーカは何処かで見た事があるけど思い出せないというもどかしい状態に陥っていた。
「その子がお前の弟子か?」
「はい。フーカと言うんです」
フーカは自分が呼ばれた事に気が付いて意識をこちらに戻してくる。
「俺は龍斗。万丈龍斗だ。よろしくな」
「フーカ・レヴェントンです。よろしくお願いします!....ん?」
フーカは一連の挨拶が終わってから違和感に気付いた。
「......もしかして竜王ですか?」
「ん?なんだ俺のこと知ってるのか」
知らない人は少ないだろう。何せこれまで何度も特集された格闘家である。最近はなりを潜めているとリオから聞いていたフーカは驚きを隠せない。
「まぁ、こうなっちゃうよね」
「フーカはどうしたのでしょうか?」
天然が入っているアインハルトは混乱しているフーカを見て疑問を抱いている。何年も同じクラスの一斗も苦笑いしか出てこなかった。
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二人と別れジムへと戻ったら一旦マンションへと戻り朝食をとり、それぞれの日常へ。
アインハルトはフーカに自身のデバイスであるアスティオンを置いて学校へと向かった。
フーカ達もそれぞれの仕事場へ向かう。与えられた仕事をこなしながら、時間があればアインハルトに出された課題を消費していく。これが今のフーカの日常である。
放課後になってからバイトに入ってきたユミナに交代するよと言われフーカは練習に顔を出す。
選手達と同じ様にトレーニングをしていく。まだまだ始めたばかりで何とか付いて行っている。
そしてそのまま練習をしていく。
そして夕飯の後、筋肉痛に耐えながらも眠気に襲われて気づかぬ間に眠ってしまう。
これが新たな彼女の日常なのだ。
そしてまた、朝日が昇る。
繰り返しいく日々の中で、フーカはヴィヴィオに強化魔法を使える様にならなければと言われた。
「変身魔法、ですか...」
この日の午後彼女は変身魔法を使うも服が犠牲になってしまうのだが、それは別の話。
お前が強化魔法を使わなかったら誰が使うと思う?
万丈だ。