迷い込んだのはリリカルな世界 By Build   作:Plusdriver

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本日で毎日最新が終了します。

なるべく続けて投稿していくつもりなのでよろしくお願いします。



それでは本編をどうぞ!




6.残されたモノ

戦兎は装置に差し込まれたまま残されたボトルを確認する。

 

「ロストボトルの、ハサミか....」

 

一見兵器とは思えない文房具だが、これも立派な刃物。危険物である事には変わりはない。実際に武器として使われることも多々ある。

 

「この子.....」

 

見た目からアリシアのクローンだと結論付けた戦兎だったが、問題はそこではない。その腰に装着されたエボルドライバーが問題なのだ。ただでさえ製作が難しく、更に純粋なネビュラガスを体内に注入し続けることになるためそれを変身後に中和出来る様にしなければならない。

 

そんな兵器と言えてしまうモノが世界に二つもあると誰かが知ればどうなるだろうか。

 

案の定ライダーエボルボトルは開発されてはいなかった為、エボルに変身出来るのは一人だけである。それでも、マッドローグの様にエボルマッチで変身する事は可能なのだ。また誰かが悪事に利用する可能性がある。

 

「仕方が無い、悪く思うな」

 

戦兎はバスターブレード使ってカプセルを叩き割った。

 

少女は液体が無くなった為にカプセル中に座り込む。戦兎は少しずつ少女に近付いていく。

 

「だ.....れ.......」

 

「!」

 

すると彼女はいきなり言葉を発したのだ。

 

「もう大丈夫だ」

 

戦兎は転移魔法で取り寄せたタオルケットをかけてやる。

 

「.....怖かった....痛かった....辛かった.....」

 

彼女はタオルケットに身を包み、震える声でそう言った。それは彼女が経験してきた実験の数々を物語っているのだろう。戦兎は彼女を抱きかかえて耳元で囁いた。

 

「大丈夫だよ。君に酷いことをした連中はもういないから」

 

「本当?」

 

金髪の中から一本だけ髪の毛が飛び出す。それは単体で意識を持っているかのように動いている。戦兎は上下に動くそれに少し驚きながらも彼女の頭を撫でながら答える。

 

「ああ、本当だとも」

 

戦兎は彼女を連れて研究所から出た。彼女は戦兎の腕の中でぐっすり眠っている。

 

4年間も寝ていたはずなんだけどなと考えていたが、どうやってこのことについて報告するかについて考えることにした。

 

勿論、残されたボトルの回収を忘れずに。

 

 

 

 

__________

 

 

 

 

 

 

一斗はこの日、ノーヴェに誘われてフロンティアジム主催の大会を見に来ていた。

 

「リンネ・ベルリネッタ選手か....」

 

一斗の頭にはベルリネッタという言葉が引っ掛かっていた。

 

「どうかしましたか、一斗さん?」

 

アインハルトに聞かれて自分の中で何かが引っ掛かっている事を伝える。

 

「何処かでお会いしたことがあるのでしょうか?」

 

「僕もそれが思い出せないんだ」

 

そんな会話をしている間にも試合は始まる。スクリーンに食いつくように見入っているフーカを見ながら一斗はその試行錯誤を続けた。

 

幼馴染の二人.....孤児院.....まさか....

 

案外簡単に答えに辿り着いたかも知れない一斗はそのことについて聞きたい人物が浮かび上がってきた。

 

 

その頃、自分の父親が新しい妹に出会っていたとは知らずに。





遂に始まったフーカの物語。


その裏で何かが動き出す。

次回、『少女の決意』

彼女は忘れたころに動き出す。



この先どうしていこうかな?

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