迷い込んだのはリリカルな世界 By Build 作:Plusdriver
戦兎はアリシアを助け出し、一斗と共に病院へと急いだ。
幸い特に異常はなかった。が、龍斗やフェイトと同じ様に何時目覚めるかが分からない状態になってしまった。
そんな中戦兎は、事件現場になったナカジマジム前に向かったティーダから最後のパンドラボックスの欠片を見つけたという連絡を受けた。
「遂に揃ったか.....」
戦兎は今迄の事件で発見されたパンドラボックスの欠片を繋ぎ合わせて、パンドラボックスを完成させる。だが、
「核になる部分がない?」
完成したのは、外装だけだった。肝心の核になる欠片が見つかっていない。戦兎は後一回、知り合いの誰かか、自分自身が襲われる可能性に行きついた。戦兎は握っていたボトルを見る。それはラビットエボルボトルだったが、強い光と共に金色のラビットボトルへと姿を変えた。戦兎は疑問に思ったが、それよりも先にやることがあると考えを変えた。
「....ミカ。こいつを使って、クローズビルド缶を完成させるぞ」
『はい』
一斗と共に転移で家に帰ってから夕食をとることなく戦兎は作業部屋に籠った。
残された時間が曖昧な為に製作に余り時間がかけられない。
『こちらは準備出来ました』
「分かった、繋いでくれ」
戦兎はツインブレイカーのようにセット出来るスロットに、銀のドラゴンボトルと金のラビットボトルを刺した。
『間もなく、成分が混ざり合います』
始まった実験により、クローズビルド缶に付いた複眼が強い光を放つ。
「このまま続けるぞ」
この日、戦兎が眠ることはなかった。
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「エボルト、聞こえてるんでしょ?」
一斗ははやてが家に帰えるのを見送った後、一人で呟いた。
『......なんだ、気付いていたのか』
一斗にしか聞こえない声で、誰かが一斗に話し掛ける。
「好戦的になるはずなのに、ドンドン冷静に戦えるようになってるんだ。流石に怪しいと思うよ」
『あちゃ~、いきなり弱めすぎたか....』
一斗の中にいるエボルトは、一斗が一番聞きたがっている事を話し出す。
『最近、お前の周りの人間が襲われているだろ?俺はその犯人を知っている』
「やっぱり.....誰なの?」
『お前もよく知っているはずだ。パンドラボックスだよ』
一斗は、戦兎よりも先に、犯人に辿り着いた。
「.....もしかして、僕が破壊したから?」
『ああ、その通りだ。元々パンドラボックスには深層意識があってな。そいつは意識は有っても自分の力を使うこともできず、自分で動くのがやっとだった。だが、お前が破壊した時に、あいつは流れ込んできた俺の遺伝子と戦兎達の思いを溢れ出るほど注ぎ込まれた。結果、パンドラボックスは砕け散った。だが核だけは残った。残された核は少し時間をかけながらも、自分が一番好きだと思った相手を自分自身で再現した。その姿は、戦兎と同じものだ。』
「....父さんと同じ....」
パンドラボックスが意識と肉体を得た。だが、それは一斗に疑問を与えた。
「だけど、体を手に入れることなんて....それに一番好きな人って...」
『可能だったんだよ。元々フルボトルの成分は、パンドラボックスと佐野純一郎の記憶から作られている。つまり、地球その物を再現することもできた。それを使えば容易い。一番好きな人っていうのは、あいつが俺以上に懐いたからだ。俺はあいつに何されても死ななかったが、戦兎は人間だ。あいつに簡単に殺されちまう。それに...』
『あいつはずっと戦兎を見ているぞ』
一斗は戦兎の部屋へ急いだ。だが
「父さん!」
部屋の中には戦兎の姿はなく、机の上に画面が暗くなったままのビルドフォンが置かれていた。
さらわれた主人公。
遂に正体が判明した青年。
あ、最近タグを増やしました。
結局、戦兎に平穏は訪れない。