迷い込んだのはリリカルな世界 By Build   作:Plusdriver

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サブタイトルから滲み出る嫌な予感


18.ヤベーイ奴、降臨

一斗が自分の中のエボルトと話し出す少し前まで遡る。

 

無事実験は成功し、クローズビルド缶は一応(・・)完成した。

 

「ふぅ.....何事もなく出来上がって良かった...」

 

『お疲れ様です、マスター』

 

戦兎は椅子の背もたれによしかかり、背伸びをする。コキッっと背中から音がしたが、戦兎は気にしない。

 

「取り敢えずビルドドライバーもメンテナンスしておくか...」

 

戦兎は作業台に置かれたベルトに手を伸ばす。そんな時だった。

 

「なっ!?」

 

『マスターっ!?』

 

突然戦兎の真下に魔法陣が展開された。戦兎はそれを破壊しようとするが、少しずつ転移が始まっていることに気が付くとベルトと缶に手を伸ばした。結果持ったが、転移は止まらない。

 

ミカがその転移を止めようと色々やっているが、後に何処かから飛んできた攻撃で、ビルドフォンが撃たれて机の上に落ちてしまう。

 

「ミカ!!」

 

叫ぶが既に画面が黒くなっている為にミカから返事はない。戦兎は他の人に助けを求めようと思ったが、生憎作業部屋は防音仕様。早急に諦めて戦兎は転移に巻き込まれた。

 

_______________

 

 

「ほがっ!?」

 

戦兎が転移が終了し、目を開けるとそこは水中だった。パニックに陥るも直ぐに水中から出る。

 

「はぁ....ごほっ....」

 

戦兎は呼吸を整えるために、少しずつ水から上がる。

 

「ごめんね、転移先に選んだら面白そうだと思って僕、ついやっちゃった」

 

「!」

 

戦兎は聞こえてきた声の方向へ頭を向ける。するとそこには

 

 

 

「待ってたよ、せ・ん・と♪」

 

 

自身がいたのだった。戦兎は無理矢理にでも体を動かして青年と距離を置く。

 

「折角会えたのにな~、なんで逃げるの?」

 

「俺はお前の正体を知らないからだ」

 

戦兎は手に持っていたビルドドライバーを装着して万が一に備える。

 

「そっか~、僕の正体がわからなかったね......」

 

青年は腰に手を当てる。それがずれるとそこにはビルドドライバーがあった。

 

「なに!?」

 

「戦兎なら僕をわかってくれると思ってたのに!!!」

 

『バット』『エンジン』『ベストマッチ!』

 

青年はベルトにボトルをセットする。戦兎も透かさずボトルをセットする。

 

『スパイダー』『冷蔵庫』『ベストマッチ!』

 

ハンドルを回して展開されるライドビルダー同士は少し衝突しながらもアーマーを形成する。

 

『『ARE YOU READY?』』

 

「変身!」

 

「変身♪」

 

お互いが前後からアーマーに挟み込まれる。お互いがビルドへと姿を変える。

 

『暗黒の起動王!』『バッドエンジン!』『YEAH!』

 

『冷却のトラップマスター!』『スパイダークーラー!』『YEAH!』

 

変身完了と共に青年の変身したビルドの肩のエンジンがドンドンと熱を持ってい行く。戦兎はすぐに左肩の冷蔵庫を開く。すると冷気が放出され辺り一面が白に染まる。戦兎はそれを利用して右手で次々に足元に蜘蛛の巣を配置していく。

 

だが、

 

「そんなことをしても無駄だよ」

 

青年には効かなかった。右肩に付いた羽で冷気を吹き飛ばしたのだ。そして、足元を見ることなく戦兎へと近づいて行く。

 

「何で...」

 

「バットの能力さ。超音波で障害物の位置を把握したんだ。」

 

戦兎は仕方がなく、クローズビルド缶を取り出しプルタブを起こして起動させようとする。だが

 

「!? な、何でだ!?何で起動しない!?」

 

戦兎が何度もやり直すが起動することはなかった。

 

「僕用に切り札を用意してきたみたいだけど無意味だったね」

 

どんどんと近づいてくるビルドから逃げながらも戦兎はハザードトリガーを起動させる。

 

『マックスハザード・オン』

 

ベルトにセットしてフルフルフェニックスロボボトルを使ってビルドアップする。だが、これこそが青年の狙いだった。

 

『ツインフェニックス!』『ヤベーイ!』『マジヤベーイ!』

 

「やっと使ってくれたぁ....僕が戦兎を守ってるんだぁ....」

 

ねっとりとした声で青年は戦兎へと寄っていく。既に変身を解除しており、戦兎はフルボトルバスターを構えるも止まることはなかった。

 

「そう言えば、僕の正体だったね...」

 

青年は両手を広げながら高らかに言い放った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「僕は『パンドラボックス』! 戦兎が好きで好きで堪らないんだよぉ!」

 

 

ここに、ヤンデレでホモな無機物がその正体を現した。





遂に青年がその正体を完全に現した!

既にロリコンとか言われてた彼は何処までも何処までも戦兎の事が好きで好きで堪らない男の娘。


肝心のヒロインはこの時、変な電波を受信したとか。



それでは、また!

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