迷い込んだのはリリカルな世界 By Build 作:Plusdriver
46話のシーンを一部想像しながら読んで貰うと....
はやては移動中に一斗からの連絡により戦兎の居場所を特定する事が出来たが、本が見付かった以上、ユーノに話をつけておく必要があると考えて、無限書庫に到着した。
「ユーノ君、これなんやけど....」
ユーノを見付けて本が火災事件の現場で見つかったことと戦兎がさらわれた事を伝える。
「はやて。この事は、ヴィヴィオ達には内緒にしておこうと思うんだ。」
「....ウィンターカップが近いからか」
「うん」
それは、ユーノなりに今から戦いにいく彼女たちに心配をかけさせないと考えた結果である。既になのはと話をつけており、大人以外には一斗しか戦兎達の事を知る者はいない。
「それでな、この本っていったい何なんや?」
「本当は戦兎に渡すはずだったんだけどね」
ユーノはビルド式の魔法陣を展開してその中に手を入れる。
「その本には、著者であるロイさんがパンドラボックスで行った研究結果が封印されていたんだ」
そして、魔法陣から一枚のパネルが出て来る。
「白い、パネル?」
「うん。グレンディアさんも研究員として駆り出されたときに生み出された黒と対をなす白のパンドラパネルだよ」
ユーノの手には見たことのない白いパネルがあった。
「これを使うとどうなるん?」
「分からない。僕は、黒が世界の破壊で、白は世界の創造だと思うんだ。」
はやても一斗の話していたパネルの事を思い出していた。
「取り敢えずこのパネルははやてが持っていて」
「いいんか?私じゃ...」
「はやてだからさ。戦兎さんの事を頼んだよ」
「....分かった。必ず助けてくる」
はやてはユーノからパネルを受け取ると家族に連絡を取り、今日の捜索を終わらせた。
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「完成しました...」
ミカは既に肉体が滅んでいるものの、長時間の作業によって精神的な疲れを感じていた。が、マスターである戦兎の無事を確認できてないために、再びチェックをする。全てのメンテナンスが終わった頃、部屋の壁がノックされた。
「ミカさん、僕のビルドドライバー知りませんか?」
「すいません、私が昨夜メンテナンスの為に借りていました。どうぞ部屋に入って下さい。」
一斗と相棒の二体が入ってくる。ミカはすぐに一斗にビルドドライバーを渡す。
「黒い缶は完成しましたか?」
「はい。既に調整を済ませてあります。ですが、今の私ではこれを安定させる事が出来ませんでした。その為、時間制限が掛かっています」
ごめんなさいと謝るミカからクローズビルド缶を受け取った一斗。
「いいんですよ。僕が無理を言っているんですから」
昨夜、戦兎の元へ一度だけ転移できることが分かった為に今日乗り込む事になったのだ。
「そして、もう一つ」
「へ?」
ミカは中が確認できない箱を開ける。すると白い煙があふれ出てくる。
「....マスターと共に、一斗様のエボルトの遺伝子を利用した強化フォーム用のアイテムを途中まで制作していました。ですが、今の一斗様には必要ないだろうとマスターがパーツを完成させてから製作を辞めた一斗様専用のアイテム____
『ブリザードナックル』です」
箱の中からマグマナックルと似たナックルが出て来る。
「僕専用の....」
「はい。それに合わせたこれを」
ミカは箱の中に有ったフルボトルを渡す。
「そのボトルの中には一斗様の戦闘データが入っています。貴方にしか使えないボトルです。ですが、絶対にこれを使って変身しないで下さい。今の一斗様では、消滅してしまう可能性が有ります」
戦兎は原作を見ていた時に出て来た三羽烏のボトルと一斗のデータを元に創り上げたボトルには一斗だけでなく恭也の戦闘データも入っているのだ。だが、ボトルの室力を完全に調整出来なかった為に、一斗が危機に陥ってしまうようになっている。
「武器として使います。約束します」
ミカは全ての準備が済んだら呼ぶよう一斗に言い、部屋の外へ行かせた。
「....先生、ごめんなさい.....」
ミカが泣いていた事は誰も知ることはなかった。